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VI マーケティング
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 バブル崩壊後、景気が低迷し底が見えない中、本大会のマーケティングは、大会そのものの知名度の低さと一般にはなじみのない競技の多さから、オリンピックに比べ非常にマイナーなスポーツの大会ととらえられ難航した。しかしながら、ひとつひとつ大会の趣旨と内容を説明するにつれ、企業・団体から理解を得たことと、本大会は、新しい施設を造らず、既存施設において競技が可能なものを行うこと、事業費が他の世界スポーツ大会と比べると非常に安価に行えること、ひいては地球環境に優しい大会であることも好感を得る要素となった。また、秋田県及びAOC役員にゆかりのある企業から協賛を得たことで、協賛金は予算を大きく上回ることができた。
 入場券については、県民性を考えるとある程度は予想はしていたものの、前売りが予想以上に伸び悩み苦慮した。しかし、大会が始まると当日券の完売が相次ぎ、予定していた入場者及び収入を上回る結果となった。
 観客数が当初計画していた26万人を超え、約30万人となったことから、各会場内に設置したブースでの大会グッズ、飲料等の販売も好調であった。
 放映権は、NHKのほか海外10ヵ国・地域の12放送機関が取得した。
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1.オフィシャルスポンサー
(1) 公式企業協賛制度の概要
 公式企業協賛制度は、1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックを契機に確立された制度で、近年では、より多くの協賛企業を獲得するため、スポンサーメリットを細分化し、ランク別に協賛企業を募集するようになってきた。
 この制度は、1業種1社を原則に、大会を活用して協賛企業が販売促進や各種コミュニケーション活動を展開できる場や機会を提供することによって、その対価として大会運営に必要な協賛金や商品・役務の提供を受けるものである。
(2) オフィシャルスポンサーの獲得
 本大会でも運営費の確保と必要な商品・サービスの提供を受けるため公式企業協賛制度を採用することとした。
 オフィシャルスポンサー獲得には、スポンサーメリットの設定やその後の看板等の企画、契約後のスポンサーフォローなど専門的知識、経験が必要なことから、専門会社に委託することとした。いくつかの会社と交渉したが、本大会のマーケティングにはすべて消極的であった。このため、最終的には、世界レベルのスポーツイベントに豊富な経験を持つ(株)電通と交渉を重ね、同意を得たことから独占契約を結んだ。
 対象となる業種と企業の選択に当たっては、近年のスポーツマーケティングの動向を踏まえ、各業種・企業別の広告宣伝費や販売促進費、スポーツイベントに対する理解と類似大会での協賛実績など電通のノウハウにより企業の選定を行うとともに、対象企業別協賛金についても経営規模、過去の実績、提供を期待する商品・サービスなどを勘案して金額の設定をした。
 2000年春から、リストアップした企業と具体的な交渉を開始したが、バブル崩壊後の景気が底を打つ状況であったことや企業の広告宣伝費や販売促進費の圧縮などにより、交渉が難航した。
 しかし、本大会の誘致、運営を民間主導で行っていたことや99年12月末にNHKがBS放送で本大会を放映することを決定していたこと、また、企業に説明していく中で、競技そのものに興味を示してもらったことなど、徐々に理解をもらえるようになってきた。
 そんな中、組織委員会の役員には民間経営者が数多くいたことから、関連企業に対し積極的に協賛を働きかけ、スポンサー獲得に動いた。このため、夏頃には協賛の意向を示す企業が出始め、最終的には、予想を上回る21社のオフィシャルスポンサーの協賛を得ることができた。
(3) オフィシャルスポンサーの権利
 協賛金額や商品・サービス等の提供内容に応じて、権利内容に格差を設けたが、おおむね次のような権利とした。
1) オフィシャルスポンサー称号権
 オフィシャルスポンサーとして名称を使用する権利
2) カテゴリーの独占権
 参加する業種で同業他社を排除し、独占する権利
3) マークの使用権等
 大会マークなどを自社宣伝のため広告、販売促進に使用する権利
4) マーチャンダイジング権
 商品に大会マークなどを使用し、製造・販売する権利
5) 広告看板等の掲出権
 会場内の広告看板、街並み装飾用バナー、フラッグ広告や事前告知用のポスター、パンフレット、チラシへの掲出権利
6) 会場内商品販売(展示)権
 会場内において商品・サービス等を販売(展示)する権利
(4) マークの使用権
 組織委員会は大会のシンボルマーク、マスコットキャラクター、コミュニケーションキャラクター及びその愛称について、オフィシャルスポンサーがこれらを広告や販売促進に使用することを認め、テレビCM、新聞広告、ポスターなどに活用された。
(5) マーチャンダイジング権
 オフィシャルスポンサーが、販売を目的に大会マークなどを使用することを認め、Tシャツ、ポロシャツ、帽子、タオル、清涼飲料、パッケージなどが商品化された。
(6) 広告看板等の掲出権
 広告看板の掲出は、テレビカメラの位置からテレビ放送の際に最も効果的な位置を検討し、また、競技運営に支障がないよう各競技団体や施設管理者の了解を得て掲出場所を決定した。
 26の公式競技会場、開・閉会式など20会場に14社、536枚の広告看板を掲出した。また、開会式、ワールドゲームズプラザ、パラシューティング会場の大型画面において、12社のCMを延べ1,776回にわたり放映した。
 公式印刷物への企業名の掲出については、公式ガイドブック、開・閉会式プログラム、公式競技プログラムや事前告知として製作したパンフレット、ポスター、チラシに協賛企業のロゴマークを掲出した。
オフィシャルスポンサー
番号 スポンサー名 カテゴリー
1. TDK株式会社 電子部品(磁性材料、高周波部品)、記録メディア商品、コンピューター周辺機器
2. 日産自動車株式会社 自動車
3. 東北電力株式会社 電力
4. ミズノ株式会社 スポーツ用品、スポーツウエア
5. みちのくコカ・コーラボトリング株式会社 清涼飲料水
6. 株式会社ジェイティービー 旅行代理業
7. 株式会社タニタ 計量機器
8. 富士ゼロックス株式会社 複写機、ファクシミリ、プリンター、及びこれらの機能を含む複合機
9. 安田火災海上保険株式会社 損害保険
10. 東洋ゴム工業株式会社 自動車用タイヤ
11. ミスタードーナツ ドーナツ、リース
12. 株式会社エドウイン ジーンズ
13. 株式会社ジャパンエナジー 自動車専用ガソリン、オイル
14. 株式会社東京機械製作所 新聞用印刷機器、及び周辺機器
15. 富士写真フイルム株式会社 写真用フイルム
16. 株式会社秋田魁新報社 新聞
17. JAグループ秋田 農産品、農産加工品、畜産加工品(ただしアイスクリームは除く)、生命共済
18. 王子製紙株式会社 製紙製造業
19. 日本製紙株式会社 製紙製造業
20. 秋田日本信販株式会社 クレジットカード
21. 株式会社ムツワ 大型画像サービス
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