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放送
1.目的
 ワールドゲームズの最大の目的は参加競技・種目の普及発展にある。これを最も効率的かつ広範に実現する手段としてテレビ放送はますます重要性を増している。組織委員会にとっても、秋田からの情報発信は大会開催の大きな目的の一つであり、そのためにも国内外へ向け可能な限り多くの映像を発信することを目指した。
2.国内放送
(1) 経緯
 組織委員会は大会契約書等でホスト放送局との契約締結と毎日52分間のサマリーの国際配信を求められていた。
 しかし、大会そのものの知名度が極めて低いうえに日本国内で馴染みのないスポーツが多いこと、参加全競技をカバーするという組織委員会、IWGAの意向も障害となり、関心を寄せる放送局はキー局、ローカル局ともほとんどなかった。実施競技が固まった99年の年明けからテレビ局との交渉に本腰を入れ、同年3月には在京キー局を集めての説明会も開催したが、反応は極めて鈍かった。
 一方、組織委員会としては、大会目的を最大限実現させるためにも、大会期間中は可能な限り毎日、一定枠の時間で全国放送する局を最優先とする基本方針を固めた。民放BSの放送開始など放送界の技術革新が期待を持たせたこともあったが、民間放送では番組スポンサーと大会スポンサーとの調整も困難であることから、公共放送であるNHKに交渉の的をしぼり、1999年12月に寺田知事と林会長が、NHK海老沢会長との面談で衛星放送での確約を得た後、2001年2月に放送に関する契約を締結した。これに伴い、オリンピック等各種スポーツ大会の国際映像の制作実績が十分で、なおかつ国際映像とBS番組の並行制作が可能な(株)NHK情報ネットワークに国際映像の制作を委託した。
(2) 放送権
 組織委員会の「可能な限り多くの人々とマスメディアの目に触れさせる」という目的に答える形で、NHKは放送権を独占せず、他局が特定競技等の放送を希望する場合には協議の上、可能な限り放送を許諾した。
3.海外放送
(1) 経緯
 国外への放送権の販売については、前回大会や他大会での実績を考慮し、IMG (インターナショナル・マネージメント・グループ) のテレビ部門であるTWI (トランスワールドインターナショナル) に委託した。
(2) 放送権
 組織委員会では、秋田から衛星までの伝送費用 (アップリンク) を負担することで、より多くの海外放送局が放送権を得ることができるような環境作りを行ったところ、最終的には10ヵ国・地域の12放送機関が放送権を取得し、大会の模様を放送した。このうち、中国中央電視台 (CCTV) とドイツテレビ (ARD) は独自取材を行い、CCTVは定時伝送を行った。
 一方、前大会で放送権を取得したヨーロッパのスポーツ専門局との交渉は不調に終わり、最大の目標としていた北米は放送権取得までの関心は示さなかった。
4.国際放送センター (IBC)
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(1) 施設概要
 NHK秋田放送局の1階会議室、ハイビジョンシアターおよび出演者控室を8月10日から8月27日まで借り受け、電話回線ほかの必要機材を設置して国際放送センター (IBC) を開設、主にホスト放送機関である(株)NHK情報ネットワークが使用した。
 また、県庁第二庁舎1階には事前に要請を受けたCCTVのブースおよびTWIが使用するワーキングスペースを設置した。
(2) 業務概要
IBCの業務は以下のとおり
1) 国際映像の制作配信
海外放送局へ、52分間の国際映像サマリーを制作配信。
2) BS−1の番組制作
NHK BS−1で放送される50分間のハイライト番組の制作。
3) ニュースサマリーの提供
要望のある国内放送局向けに、8分間のニュースサマリーを配信。
4) 海外放送局への技術サービスの提供
CCTVからの依頼により、定時伝送を行った。また、CCTV、ARDに県庁第二庁舎5階の映像情報室の機材使用サービスを提供。
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(3) 運営体制
 早朝からの取材、未明までの国際映像の制作・配信、BS−1の番組制作、海外放送局への技術対応等など、IBCがほぼ24時間体制となる中、事務局スタッフ2人、ボランティアスタッフ7人の合計9人が2班体制で対応にあたった。
 会場での取材支援は、各会場運営スタッフが担当したが、取材集中が予想された八橋陸上競技場・秋田市立体育館には、広報部から取材支援班 (ベニューコーディネーター) を配置した。各会場のカメラ位置・コメンタリーポジション等の放送施設は、事前に行われた現地視察に基づいて配置されたが、会場によっては直前の競技ポジションの変更等により配置変更を余儀なくされる場面もあった。
5.放送実績
(1) テレビ放送
1) 国内放送
 日本国内では、NHKの衛星・地上波の生中継と中継録画放送を合わせて約20時間の放送が行われた。
 また、開催直前になり問い合わせが相次いだ民間放送からの各競技に対する放送申請についても前述のとおりNHKと協議を行い、柔軟に対応した。
 国内放送の主な視聴率は、開会式の中継放送が全国平均1.7パーセント (秋田県に関しては18.4パーセント)、9月2日 (日) の総合テレビでの総集編は、4.8パーセントを記録した。
2) 海外放送
 放送権を取得した12の放送局により、10の国・地域に大会の模様が伝えられた。また、TWIが制作している番組「トランスワールドスポーツ」が世界133の放送エリアや21の航空会社の機内で放送されるなど、海外発信という当初の目的はおおむね達成された。
(2) 文字放送
 NHKによる開会式の生中継とあわせ、株式会社日本文字放送による、一般家庭に向けた文字放送が放送された。
(3) ラジオ放送
 FM秋田が開会式の模様を中心に午後1時から3時55分まで、全国中継した。また、ABS秋田放送ラジオでも、同じく開会式を午後3時から3時55分まで秋田県内に向けて実況生中継を行った。
海外放送局の放送実績
  国・地域名 放送局 内 容 放送時間 平均視聴率(%)
1 Chinese Taipei/チャイニーズ・タイペイ VideoLand Sports Men's&Women's pool Final - -
(ビリヤード男女決勝)
  Third place play - -
(ビリヤード女子3位決定戦)
2 China/中国 CCTV Daily HL/Delivered by satellite 9時間 1.3
(ディリーハイライト・衛生配信)
3 Finland/フィンランド YLE Daily HL 2時間10分 -
(ディリーハイライト)
4 Sweden/スウェーデン MTG Daily HL - -
(ディリーハイライト)
VIASAT SPORT 52min HL 2時間 -
(52分ハイライト)
5 Spain/スペイン GESTION DE DERECHOS   - -
6 Germany/ドイツ ARD/WDR   5時間35分 4.68
※8月30日は16.3%
DSF   - -
7 Singapore/シンガポール Mediacorp/city TV Daily HL 1時間 0.8
(ディリーハイライト)
8 Hong Kong China/ホンコン・チャイナ Yes HK VOD   - -
9 Middle East Europe
(中東・ヨーロッパ)
Dubai Sports Channel 52min HL - -
(52分ハイライト)
10 NewZeland/
ニュージーランド
Telstra Saturn Daily HL 21時間 -
(ディリーハイライト)
  合計     40時間45分  
NHKの放送実績(主なもの)
月 日 メディア 番組名 エリア 時間(分)
8月16日(木) 教育 開会式(生中継) 全国 1時間30分
8月20日(月) 総合 競技生中継(ファウストボール) 東北 55分
8月21日(火) 総合 競技生中継(タンブリング・トランポリン・スポーツアクロ) 東北 56分
8月22日(水) 総合 競技生中継(新体操) 東北 57分
8月23日(木) 総合 競技生中継(新体操) 東北 58分
8月24日(金) 総合 競技生中継(フィンスイミング・ライフセービング) 東北 59分
9月 2日(日) 総合 ハイライト 全国 59分
9月 7日(金) 総合 ハイライト 県内 1時間15分
8月16日(木)〜26日(日) BS-1 ディリーハイライト 全国 毎日50分
 ※期間中のニュースおよび情報番組の中での放送分は含まず。
2001年度トランス・ワールド・スポーツ#748を機内ビデオで上映した航空会社
American Airlines
(アメリカン航空)
South African Airways
(南アフリカ航空)
Savena
(サベナ・ベルギー航空)
Ansett
(アンセット航空)
Eithiopian Airline
(エチオピア航空)
US Airways
(USエアウェイズ)
Asiana
(アシアナ航空)
United Airlines
(ユナイテッド航空)
Air Seychelles
(国営セイシャル航空)
Korean Airlines
(大韓航空)
Air New Zealand
(エアーニュージーランド)
Swissair
(スイス航空)
Cathay Pacific
(キャセイ・パシフィック航空)
Royal Jordanian
(ロイヤル・ヨルダン航空)
Ghana Air
(ガーナ・エアー)
KLM
(KLMオランダ航空)
Malaysian Airlines
(マレーシア航空)
Malev Hungarian
(マレブ・ハンガリー航空)
Singapore Airlines
(シンガポール航空)
Iberia
(イベリア航空)
Qatar Airlines
(カタール航空)
     
計21社
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