警備
1.組織委員会による警備
(1) 計画
開閉会式及び各競技会場警備の主要な部分は警備会社に委託して対応。会場内外誘導、駐車場誘導等は支援職員およびボランティアでの対応とした。
(2) 実施内容
警備業務について指名競争入札を実施し主要警備業務について警備会社に委託。
具体的な内容は以下の通り。
1) 目的
[1] 開閉会式および競技会場における火災、盗難、破損行為、不正行為、加害行為の予防・防止・早期発見
[2] 開閉会式および競技会場の円滑な運営
[3] 開閉会式および競技会場に来場する観客の保護
[4] 開閉会式および競技会場の保全
2) 警備物件
[1] 八橋陸上競技場およびその周辺
[2] 県立中央公園内駐車場
[3] 本荘マリーナビーチハンドボール会場
[4] 岩城町道の駅周辺ライフセービング会場
[5] 大潟村運動公園内パラシューティング会場
[6] 大潟村水上スキーコース
[7] 秋田駅西口バスターミナル
3) 警備方法
開閉会式および競技会場での適切な人員体制による常駐警備
4) 警備業務
[1] 開会式における手荷物検査
[2] 開会式における入場口管理
[3] 開会式における会場内巡回警備
[4] 開会式における会場周辺巡回警備・交通整理
[5] 開会式における駐車場整理・自動車誘導
[6] 閉会式における駐車場整理・自動車誘導
[7] [3]〜[6]会場の機器監視警備
[8] 火災、盗難、不法行為、人身事故、緊急事件等発生時における関係機関担当職員への通報・連絡
[9] 警備業務に関する報告
5) 警備委託期間・人数
8月10日〜27日まで延べ228人
以上の警備内容の他、支援職員およびボランティアが入退場の規制や各会場内および駐車場整理業務にあたった。
2.警察による警備
(1) 計画
秋田県警察本部内に設置されたワールドゲームズ対策本部を窓口に開閉会式会場および全競技会場について実地調査を実施、警備検討票を作成し警備内容を各管轄署と共に検討した。
(2) 実施内容
1) 開会式
県警による実施本部と秋田署による移動交番を設置。警備機動隊等により会場各所の警備が実施された。
2) 各競技会場
各競技会場の状況を把握の上、会場の事情に応じた警備・交通整理を実施した。
3) 閉会式
秋田署による移動交番を設置し、場内の誘導・警備にあたった。
医事・救護
1. 医長体制
(1) 計画
大会に参加する選手役員の滞在中の傷病に対応するため、関係市町村の救急医療機関に対し対応を依頼、病院から要請がある場合は通訳等の手配をする事とした。
また、選手・役員・観客等の傷病に対応するため各会場に看護婦を配置、医師・救急車については競技の特性に合わせた配置とした。IWGAルールに基づき、競技ルールにより医師の配置が義務づけられている競技に関しては、競技団体が医師の手配をする事とした。
(2) 実施内容
1) 開会式
日本赤十字社秋田県支部と秋田赤十字病院の協力により救護用エアーテントを設置したほか救護テント9カ所と医師8人、看護婦・保健婦を12人、救急車2台を配置し熱射病等の疾病に対応した。
2) 各競技会場
競技の特性に合わせ医師・看護婦を各競技会場に配置、柔術・空手道・ラグビー・パラシューティング・水上スキーの会場には自衛隊及び消防署の協力により救急車を待機させた。
※開閉会式および各競技会場に配置した看護職員は全て秋田県および秋田市看護職員延べ115人で対応した。
2. SOSセンター
(1) 計画
1) 目的
傷病、トラブル等、外国人からの通報があった場合、言語補助を行い、関係機関と連携しながら適切に対処するほか、通訳派遣の要請に応じ出動することとした。
2) 場所
県庁第2庁舎35会議室に設置。この部屋は語学ボランティアの控室ともなり、他言語センターとしての機能も併せ持つ。
3) 期間
8月14日午前9時から27日午後5時までの間、24時間体制とした。
4) 要員配置
[1] 日中
・本部担当職員 2人
・雇用通訳 36人(英語・仏語・独語・西語・葡語・伊語・中国語・露語・ハングル各4人)
※14〜15日(16日9:00まで)は英語のみ2人。
・語学ボランティア 10人前後
※勤務時間は基本的に8:00〜15:00、15:00〜22:00の2交替制
・警察職員 4人
・国際交流員 4人(英語、露語、中国語、ハングル)
※勤務時間は9:00〜17:00
[2] 夜間
・本部担当職員 2人
・雇用通訳 9人(英語、仏語、独語西語、葡語、伊語、中国語、露語、ハングル)
※14〜15日は英語のみ。
・警察職員 4人
5) 設備
[1] 専用の電話回線(ISDN回線)
[2] ID確認用パソコン
(2) 実施内容
開設期間中雇用通訳延べ400人、語学ボランティア延べ210人、秋田県警延べ56人が常駐し各種トラブルに対応した。
受理件数は次の通り
通訳依頼…43件
宿泊輸送・競技照会…83件
出入国関係…17件
傷病…20件
金融…12件
相談…9件
地理・案内…45件
遺失物拾得…15件
事件…1件
その他…37件
合計…282件
通報者割合
外国人57.4% 日本人42.6%
通訳派遣回数…32回
警察対応…17件(内1回出動)
※SOSセンターの目的からして当初対象は外国人参加選手・役員のみであったが、マスコミ等の報道により、一般からの問い合わせが極端に増え上記件数となったが、本来の目的に見合った相談件数は100件以下であった。
つかの間の休息(SOSセンター)
3. 協力団体
秋田県医師会
秋田市医師会
秋田県薬剤師会
秋田県歯科医師会
市立秋田総合病院
秋田組合総合病院
中通総合病院
秋田赤十字病院
秋田赤十字病院救命救急センター
秋田大学医学部附属病院
県立脳血管研究センター
藤原記念病院
湖東総合病院
秋田県警察
秋田県国際交流協会
4. ドーピング・コントロール
(1) 計画
本大会におけるドーピング・コントロールは、IOC医事規定に準拠しIWGA医事委員会で定めた規則に従って、全ての公式競技を対象として実施することとした。
1) 選手の抽出
検査対象となる選手は、参加選手の10パーセント以内とし、その内訳、抽出方法はIWGA医事委員会の決定による。また、この内容についてはIWGAの責任においてIOC医事委員会に報告される。
2) ドーピングコントロールステーション(以下「DCS」という)
検体を採取するためのDCSを秋田市、横手市、天王町及び大潟村に設置する。DCSは3つの部屋とトイレから成り、2つは男女別に選手およびその同伴者が待機するウェイティングルーム、もう一つは検体の採取業務用のワーキングルームとして使用する。ワーキングルームにはトイレが含まれる。
3) 開設日
設置場所 |
設営日 |
運営日 |
秋田市老人福祉センター |
8月15日(水) |
8月17日(金)〜26日(日) |
横手市保健センター |
8月21日(火) |
8月21日(火) |
天王町保健センター |
8月18日(土) |
8月18日(土)午後 |
大潟村保健センター |
8月23日(木) |
8月23日(木)午後 |
4) 開設時間(予定)
秋田市老人福祉センター
開設日 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
開始予定時間(時) |
13 |
10 |
13 |
10 |
13 |
12 |
  |
11 |
|
10 |
12 |
予備 |
終了予定時間(時) |
17 |
17 |
22 |
20 |
22 |
22 |
  |
23 |
  |
22 |
20 |
予備 |
横手市保健センター:午前10時〜午後9時
天王町保健センター:午前10時〜午後8時
大潟村保健センター:正午〜午後8時
5) 所在地
設置場所 |
住 所 |
秋田市老人福祉センター |
秋田市八橋戌川原2-18 |
横手市保健センター |
横手市横手町1 |
天王町保健センター |
南秋田郡天王町上江川47-610 |
大潟村保健センター |
南秋田郡大潟村中央1-13 |
6) 配置人員
医事委員長:Pierre Dernier MD
医事委員会メンバー:Dr Karl Heinz Kerll
医事委員会メンバー:湊 昭策 医師
ドーピング・コントロール係官2人 (常駐:秋田市保健所派遣)
秋田県内医師への協力依頼のアンケートを実施、協力が得られる医師に対し事例研究等の研修を実施し、組織委員会からIWGA医事委員会に推薦、I WGAが任命する。
また、8月18日午後は2班に分かれ秋田市DCSと天王町DCSをそれぞれ分担する。
雇用通訳を3人(仏語、ロシア語、スペイン語)期間中DCS待機とする。
ドーピング・コントロール・エスコート(語学ボランティア)
ドーピング・コントロール・エスコート(以下エスコートという)は抽出された選手にドーピング・コントロール通知書を渡し、競技者を監視下に置き、最寄りのDCSまでの案内業務を行う。エスコートはAOCがIOC医事規定等の研修を実施の上任命する。
  |
17日 |
18日 |
19日 |
20日 |
21日 |
22日 |
23日 |
24日 |
25日 |
26日 |
人数 |
10 |
21 |
16 |
6 |
8 |
12 |
8 |
21 |
14 |
予備 |
運転手・車輌(支援職員)
  |
17日 |
18日 |
19日 |
20日 |
21日 |
22日 |
23日 |
24日 |
25日 |
26日 |
人数 |
10 |
12 |
12 |
6 |
8 |
12 |
9 |
12 |
9 |
予備 |
ドーピング・コントロール・クーリエ (支援職員3人)
ドーピング・コントロール・クーリエ(以下クーリエという)は採取された検体を責任を持って分析機関まで輸送する。クーリエはAOCがIOC医事規定等の研修を実施の上任命する。
輸送日 |
8月20日(月) |
8月23日(木) |
8月27日(月) |
輸送検体数 |
66検体(×2) |
44検体(×2) |
50検体(×2) |
7) 搬送先(検体分析機関)
東京都板橋区志村3丁目30番1号
(株)三菱化学ビーシーエル・ドーピング
検査室長・植木眞琴
8) DCS勤務職員・ボランティア
上記の他DCSに勤務する職員、通訳、ボランティアについてもIOC医事規定等の研修を実施の上任命する。
(2) 実施内容
1) ドーピング・コントロール・ステーション(DCS)設置場所
秋田DCS : 秋田市老人福祉センター
横手DCS : 横手市保健センター
天王DCS : 天王町保健センター
大潟DCS : 大潟村保健センター
2) DCS設置期間
2001年8月15日〜2001年8月26日
3) DCS運営要員
IWGA医事委員長 : Pierre Dernier MD
IWGA医事委員 : Dr Karl Heinz Kerll
AOC医事委員 : 湊 昭策 医師
参加医師 : 13人(延べ19人)
係官 : 2人(延べ16人)
エスコート : 16人(延べ79人)
運転手 : 38人(延べ88人)
クーリエ : 3人(延べ9人)
通訳 : 4人(英語、仏語、西語、露語延36人)
4) 検査実施数 : 145検体
(143人 : 男性87人、女性56人)(参加選手の6.6%)
5) 検査委託先 : (株)三菱化学ビーシーエル
(3) 結果
2001年10月のIWGA総会で、ドーピング検査結果が下記のとおり報告された。
1) 選手のリストが最新情報に更新されていなかったため、対象者を間違ってピックアップすることがあった。(欠場した選手を指名するなど)
2) 選手のノミネートを競技のない日に行ったため、(外出などで)選手が捕まらないことがあった。
3) 選手が入賞者でない場合、(無名のため)選手の名前と顔が特定できず、結果、エスコートできないことがあった。IFの協力が必要であった。
4) 若年選手にドーピングの必要性が理解されておらず、選手がパニックに陥ることがあった。(※IFへのアンケートで事前にドーピング検査があることを周知していた団体は53%であった。)
5) 陽性(positive)反応は全部で4件であった。(2.75%;カンナビノイド2件など)。
また、検体が水にすり替えられているものが1件発見された。
清掃・廃棄物処理
ワールドゲームズ実施会場は全て既存施設であるため、各会場の清掃・廃棄物処理方法に準じて行うこととし、各会場の簡易清掃については会場ごとに清掃班を編制し、支援職員及びボランティアが対応した。