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(3) 大会旗等及び選手団入場
 選手団の入場は、秋田大会が、IWGAとIOCの協力関係が急速に発展する過渡期にあたったため、従来方式の競技団体毎とも、オリンピックのような国毎とも違う、オリジナルなものとなった。
 まず、ボーイスカウト秋田県連盟の支持により、大会旗等が入場した。それに続き、参加国旗及び国名プラカード、参加IF旗及びIF名プラカードが、それぞれ一団となって入場した。選手団は、それぞれ自国の小旗を振りながら、概ねIF毎だが混然とした固まりとなってそれに続いた。
 この選手団は、なまはげ(男鹿市)、小町娘(雄勝町、JAグループ秋田)に先導され、また、1,000人を超える子供達にエスコートされた。子供達は競技のピクトグラムの入った直径2.7メートルのバルーン22個、本物の雪でできたミニかまくらを持っており、また、雪玉を客席に投げ入れながらの行進で、歓声を浴びた。
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 入場行進曲は、第1部を日本を代表する作曲家の一人である田中賢さん、第2部を石井さんが手がけ、自衛隊音楽隊が演奏した。音楽が途中で終わってしまうハプニングがあったが、観客が、手拍子やウエーブを行い、選手団を温かく迎え入れてくれた。
 
(4) 国旗・大会旗掲揚
 自衛隊音楽隊による国歌演奏にのせて国旗が、秋田県出身のエレクトーン奏者であり、大会テーマソングの作曲者でもある加曽利康之さんの生演奏による大会テーマソング(スローバージョン)にのせて大会旗等が掲揚された。掲揚は、いずれもボーイスカウトが行った。
 
(5) 開会宣言
 遠山敦子文部科学大臣が大会の開会を宣言し、石井さん作曲によるファンファーレが自衛隊音楽隊によりきらびやかに演奏された。
 
(6) 挨拶
 はじめに寺田秋田県知事が歓迎の挨拶を行い、大会主催者のフローリックIWGA会長、運営主体の林AOC会長、ケバン・ゴスパーIOC副会長が挨拶を行った。
 これら開会宣言と挨拶は、すべて大型画面に日英双方の訳文を同時に流した。
 
(7) 選手宣誓
 水上スキーの選手である成田童夢・夢露さんの兄妹が行った。2人は、それぞれ15歳と13歳であるが、そろって前年の世界選手権を制したトップアスリートである。子供らしい躍動感溢れる宣誓は、アドリブの「ハッピーで行こう。でなきゃお留守番ですよ。イエーイ」のセリフとともに、大会を通じて話題となった。
 
(8) 大会テーマソング演奏
 選手団は、アトラクションを観るためにバックスタンド側に移動した。これを、歌手の森川美穂さんが、自身が作詞した大会テーマソングを歌いながら出迎えた。また、ボーイスカウトが、選手席を覆っていた巨大な布を剥ぎ、トンネルを作って選手団を通す、などの演出を凝らした。演奏は、加曽利さんが行った。
 
(9) アトラクション
 秋田の伝統芸能、祭りをダイナミックに再編成。4,000人以上の県民参加により、感動のパフォーマンスを行った。
 
○序章
 世界の人々を結ぶ大綱会わせの儀式。柿崎竹美さんが歌う「ひとつうた」にのって刈和野大綱引き(西仙北町)が、約600人の担ぎ手(地元住民・中学生、公募ボランティア)によって入場した。
 忽然と大地から湧き出たように登場した大駱駝艦(舞踏集団)が、鮮やかな緑色の衣装をまとい、怪しい舞踏で出迎えた。
 
○第1章「大地」
 綴子大太鼓(鷹巣町)の豊穣を願う響きを皮切りに、秋田県太鼓連盟約300人による、地鳴りのような和太鼓の共演。三吉神社梵天(秋田市)と梵天歌が勇壮に盛り上げた。
 
○第2章「恵み」
 約60人によるモダンダンス、約300人の中学生による団体演技。緑の木々、澄んだ水。秋田の豊かな自然を、加曽利さん演奏のエレクトーンの調べにのせて表現した。
 
○第3章「躍動」・フィナーレ
 館山囃子(角館町)、花輪囃子(鹿角市)、土崎湊囃子(秋田市)。秋田の三大囃子が初めて共演。竿燈(秋田市)も登場し開会式はいよいよクライマックスを迎えた。
 フィナーレは2つのバージョンのオリジナル秋田音頭「ヤートセ」そして「まほろば」。秋田県出身の歌手、岩本公水さん、柿崎竹美さん、現役の高校生、浅野江里子さん等が歌い、わらび座が演奏し、踊った。
観客、選手、出演者が一体となって盛り上がり、グラウンドは色とりどりの祭りの輪で埋め尽くされた。選手は、最後には、一人残らずグラウンドに降り祭りの輪に加わった。
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4.運営
 実施内容が固まりつつあった2001年4月頃から、観客への対応など運営業務の準備作業が本格化した。
 登録ボランティアだけでは十分な要員を確保できなかっため、行政、学校、団体からの協力を得て、まず、人集めから行わなければならなかったが、最終的には1,400人を超える数となった。
 業務の割付、運営マニュアルの作成、業務研修と進めたが、経験もなく数も少ない事務局員でこなすのは大変で、連絡の不備も多々あったほか、研修の前日に徹夜して形ばかりの資料を仕上げるのがやっと、ということもあった。
 結局、事務局から提示できたマニュアルや実施体制は万全なものとは言えず、また、業務によって完成度に差のあるものとなってしまった。それでも、要員の大多数は、その不備をもって事務局を責めるのではなく、自主的に補完するような意見を出す、打ち合わせを行うなどの取り組みをして、本番に備えてくれた。
 こうした姿勢が、マニュアルを超えた観客等への対応の良さにつながり、開会式の評判が良かった一因となった。
 当日は、30度を超える暑さとなり、満員でもあったため救護所は大忙しであった。医師8人、看護婦・保健婦12人、救急車2台、救急救命テントを9ヶ所に配置したが、51人が利用し(うち熱中症の疑い26人)、6人が救急車で搬送された。
 また、秋田県警も臨時交番の設置、爆発物処理班の待機など万全の警備体制を敷き、秋田市消防本部も救急車の他に消防車も待機させるなどの安全対策を取ってくれた。このおかげもあり、警備・防災面で大きなトラブルは発生しなかった。
 予想を上回る観客数となったため、急遽、関係者席の一部を一般席に割り当てるなどの対応をするなどトラブルはそれなりにあったが、開会式の進行を妨げるようなものは無く、総じて運営は、ほぼ順調であった。








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