(b)底質分析
【調査方法】
2001年6、8、10、12月に、
前述の2水域において、実験用筏の直下および筏周辺(約7m以上離れた地点)で潜水し、柱状採泥器を使用して徒手で堆積物(泥)を採取した。実験用の筏とは、舞根湾の場合、当研究所で所有している実験用筏であり、竹ノ浦の場合は東北大学大学院農学研究科水圏動物生理学分野で所有している筏である。どちらも試験研究用の二枚貝類を主に篭に収容して垂下している。柱状採泥器は直径5cm、長さ50cmのポリカーボネイト製の円筒を使用して作製した。採取した泥の一部は、現場で直ちに表層から5cm下の層で酸化還元電位と泥温を測定し、色、臭気の調査を行った。この泥は粒度分析用の試料とした。残りの泥は、層構造を保持したまま保冷して研究室へ持ち帰り、各層ごとに泥を採取して冷凍保存し、CNS分析用の試料とした。粒度は篩い分けによって分析し、CNS分析は'元素分析装置(CEINSTRUMENTS・NA2500)を使用した。
【結果および考察】
底質分析の結果を図21〜44に示した。図21〜24に粒度分析の結果を示した。舞根湾の筏直下(図21)、舞根湾の筏周辺の海底(図22)では、どちらの堆積物も貝殻が多量に混在しており、細かな粒子状の貝殻を取り除くことが困難であったため酸処理を行った。酸処理によって取り除いた貝殻の量は筏直下で19%、筏周辺では15%であった。酸処理後に粒度を分析した結果、粒径63μm以下の泥が堆積物の大部分を占めており、筏直下では約41%、筏周辺で約62%であった。竹ノ浦の筏直下図(23)、竹ノ浦の筏周辺の海底(図24)でも貝殻が多く、酸処理によって取り除いた貝殻量は筏直下および筏周辺の海底ともに約26%であった。竹ノ浦では、筏直下は約64%が粒径63μm以下の泥で占められていたが、筏周辺では粒径125〜250μmの細砂が約43%を占めている砂質の底質であった。
図21.舞根湾の実験用筏直下の堆積物の粒度分析結果
図22.舞根湾の実験用筏周辺の海底の堆積物の粒度分析結果
図23.竹ノ浦の実験用筏直下の堆積物の粒度分析結果
図24.竹ノ浦の実験用筏周辺の堆積物の粒度分析結果
泥温測定結果を図25、26に示した。舞根湾では12月に、竹ノ浦では6月に筏直下の泥温が、筏周辺の泥温よりもわずかに高かった。
図25.舞根湾の泥温の季節変化
図26.竹ノ浦の泥温の季節変化
図27、28は、底泥の酸化還元電位を測定した結果である。舞根湾(図27)では、筏の直下と筏の周辺海底の酸化還元電位を比較すると大きな相違は見られなかった。4回の調査のうち、10月に測定した酸化還元電位は両地点で正の値を示していた。一方竹ノ浦(図28)では、10月の1点を除いて筏直下の酸化還元電位は常に負の値を示し、筏周辺海底では常に正の値を示していた。竹ノ浦の筏直下は常に還元状態であることが明らかになった。
図27.舞根湾の底泥の酸化還元電位
図28.竹ノ浦の底泥の酸化還元電位