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レポート[4]
共同作業所なのはなの家を開所して
佐藤 敦子
(福島県立聾学校保護者、ろう重複障害者共同作業所なのはなの家)
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◎ろう重複障害児・者の親の会「なのはな会」を組織する。
 福島聾学校は、県の中央に位置する郡山に本校があり、福島市、会津若松市、いわき市に分校があります。分校は幼稚部と小学部までしかなく、中学部高等部は寄宿舎などに入って郡山の本校に通います。福島在住の息子は福島分校に通ってた小学部の頃重複の子は我が子だけ、どうしたらいいのか、将来はどうなるのだろう、そんな悩みを抱えて参加したのが、浦和で開かれた聾教育を考える討論集会、そうこの集会でした。全国にはうちと同じような子を持つ親たちががんばってる様子に励まされパワーをもらって帰ってきました。本校には重複の子もいることを知り息子が中学部になり本校に入ったのを機にろう重複障害児・者の親の会を作りました。
 正会員6人だけの小さな会でした。それでも卒業したらどうなるのか?何とかせねばと思うようになりました。一生懸命やったのはバザーなどの資金稼ぎ、それと賛助会員を増やすための会報作りも、ない知恵を絞って作りました。素人集団ですし実際に活動できるのは1人か2人か3人位でやってるのもしょっちゅう、本当に大変ですねー。それでも頑張ってこれたのはやはり、関東のつどいなどで知り合いになった他県の先輩(既に作業所や施設を作っていた)親さんたちの様子や話を聞いて勇気づけられたこと、私たちの会を応援してくれる人たちが少しずつですが確実に増えてきて、のろまな私たちを引っ張りあげ、後押ししてくれたこと、そして絶対に在宅にはしないぞ、作業所を作るんだ、という気持ちになれたからかなあと思います。
◎ろう重複障害者共同作業所「なのはなの家」のこと。
 今年の4月8日(日)に開所式を無事に開くことができたこと、感謝、感謝です。
通所者は1人。所長1人、指導員3人。すごいと思われるかもしれませんが、実はそんなことではないのです。1人では勿論補助金はもらえません。無認可の施設に対して郡山市がおこなっている補助金の制度は、中核市なので県からの補助はなく郡山市からのみです、5人以上で郡山市民であることが条件になります。
 今までの蓄えと、賛助会員や収益活動による資金でやるしかありません。ですから職員も正職員できちんと雇うことはできません、パートで交代でお願いしたので3人なのです。でもやはり決め手は人ですね、ろう学校のお母さんや通研の方なのですがそれぞれに持ち味がありとても良い関係で、毎日楽しく仕事や活動に励んでいます。
 仕事は、牛乳パックのリサイクルで紙すきをしてはがきや名刺などを作ってます。ありがたいことに名刺の注文が次々と入ってきているので、毎日紙すきに追われています。
 1人では寂しいのではと思い、近くにある身障者センターで開催しているデイサービス事業の中の陶芸教室、料理教室、3B体操に行っています。仕事に追われ忘れてしまったことがありと通所者のS君共々仕事に真面目に励んでいますが、気分転換も必要なので、少ないならこちらから出かけていこうの精神で活動にも取り組んでいます
 寂しいのではとのことで企画した第2段が、オープン教室です。なのはなの家にたくさんの人に来てもらうきっかけになればとの思いで、やってみたいのを企画し、いっしょにやりましょうと呼びかけました。
 手話教室は年間を通じて月2回午後に、また4月のオープン教室が、絵てがみ、5月・6月がパッチワークをしました。7月はパッチワーク(好評につき続きそうです)とパソコンの予定です。毎日あっという間に終わりの時間になってしまいます。
 うれいしい誤算が、ちっとも寂しくないことです。ほぼ毎日来客やボランティアさんが来てくれることです。
◎課題とこれからの夢
 最大の課題は、補助金がもらえるようになることです。なることではないですね、することですね、積極的に在宅で仕事をしてない聾者や聾重複者の方をお誘いすることも必要と思います。5人を集めることです。
 これからの夢は、福島県はとても広いです、郡山は県のほぼ中央に位置していますが通所できない地域もたくさんあります。新設の入所施設までは無理かもしれないけれどもグループホームとか、聾児の既存の施設光風学園を者も入れるようにするとか、ニーズがあればそれに応えられるように、障害者のあまりにも少ない選択肢を増やしてあげられたらと思っています。
 
司会:駒井(大阪府立生野聾学校)
 5人になるのはいつ?
 
レポーター:佐藤(なのはなの家)
 来年2人は確実、そのあとの見通しは未定。単一ろうで在宅とかリストラの人もたくさんいると聞いているが、見通しは分からない。
 
堤(静岡)
 県と市町村の補助金ですね。国に対して問題を持ちかけていくというのはどうなのですか。小規模作業所に補助金が出るという法律が改正されたということですが、そういうところへの取り組みも必要ではないかと思う。
 
司会:駒井(大阪府立生野聾学校)
 白沢村の健康福祉課の課長さんの話に「補助を考えている」ということがあったが、県内のいろいろな市町村から補助を得ていくということができるということですね。
 
レポーター:佐藤(なのはなの家)
 国の法としては無認可の作業所には決まっていない。
 
前田(奈良県立奈良ろう学校)
 2004年に作業所を建てたい。行政の変わり目だからという理由もあるが、もう1つ5人の壁である。2004年にならないと卒業生が出ない。5人集めて、重複の人達が困っている現状が続いているのだという活動を見て、補助金を出さなくてはいけないのだと行政の方の気持ちを変えていく運動を、現場から起こしていきたい。資金作りの方法を教えてほしい。
 
レポーター:佐藤(なのはなの家)
 バザーは1回に3万円くらい。ろうあ者の大会などあっちこっちどこでも呼ばれれば行ってやっている。親が手を離さないといけないとみんなから言われているので、きちんとした人を雇いたいとは思っている。
 
戸田(富山県ろうあ福祉会)
 私は井波に住んでいる。近くに「まわしえん」という知的・重複・いろいろな障害の人が入っている施設がある。医者にかかるにもコミュニケーションができなくて、体を悪くしてしまうこともある。そういう見通しを含めた運営はどうなのか。
 
司会:駒井(大阪府立生野聾学校)
 重複障害を持っている人達に対して、健康についてどう考えているかということですね。
 
レポーター:佐藤(なのはなの家)
 課題と書いているが、福島は広いので通える範囲が決まってくる。遠い所から入りたい人がいるので、その人達の保障は考えていかなければいけない。その方法として、グループホームとか郡山にあるろう児の施設がある。ろう学校の隣に寄宿舎と光風学園というろう児の施設があり、寄宿舎は高等部以上の子が入る。幼〜中までは光風学園で厚生労働省の管轄。それを将来的には児者転換で、ちょっと手助けが必要な子ども達が入れるような、ろうの重複の大人も子どもも両方入れるような施設に変えていくことを考えている。 作業所と一緒に、宿泊・生活ができるところも考えていかなければと思っている。そうすれば健康の面のフォローも考えていけると思う。








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