祝辞 (石川県教育委員会教育長 山岸 勇)
このたび、第13回ろう教育を考える全国討論集会が、「聴覚に障害をもつすべてのこどもたちの教育と将来」をテーマに、歴史と文化が息づく金沢において、盛大に開催されますことを心より歓迎するとともに、一言お祝いの言葉を申し上げます。
さて、本年は、21世紀という歴史の大きな節目を迎えております。
国は、新世紀が始まる本年を「教育新生元年」と位置付け、「21世紀教育新生プラン」における七つの戦略に基づき、改革を果断に実行していく決意を示しております。特殊教育においてもご存じのとおり、近年のノーマライゼーションの進展や障害の重度・重複化や多様化、教育の地方分権など特殊教育を巡る状況の変化に対応するため「21世紀の特殊教育のあり方について(最終報告)」が平成13年1月に出されております。
このような変化を受け、本県におきましては、今後10年間程度の学校教育の在り方を示すため、「石川の学校教育振興ビジョンの策定」に取りかかるとともに、特殊教育におきましても、平成12年度より「特殊教育拠点化事業」を立ち上げ、盲・ろう・養護学校が地域における拠点校となり、教師の専門性を生かし、相談員として派遺し、特殊学級や通常の学級に在籍する障害のある子の担任や保護者の相談・支援に応ずるなど、特別な配慮のもとにきめ細かな教育の推進に積極的に取り組んでいるところであります。
本県における聴覚障害児教育の始まりは、京都盲唖院の設立から遅れること2年。明治13年に私立盲唖院が設立され、また、明治41年には金沢盲唖学校が設立されております。以来、明治から続く聴覚障害教育の歴史の中で、保護者や教師、関係機関等には、聴覚障害児の生涯にわたる幸せを願う各位の熱意の基に、一人一人の能力や可能性を最大限に伸ばす教育の推進に積極的に取り組んでいただいております。
なお、石川県では、本年9月からの全国都市緑化いしかわフェアの開催に向け、金沢城址も公園としての整備完了を目前にしております。その折には、又お訪ねいただくなど、時間の許す限り花と緑と本県の歴史や文化に触れていただき、石川の魅力を満喫していただければ幸いに思います。
最後に、本大会のご成功と、各県の聴覚に障害のある子の教育がますます充実することを心から祈念するとともに、各県でご活躍中の皆様にとって思い出に残る有意義な会となりますようご期待申し上げ、祝辞といたします。