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(15)熊本
会場: 熊本県青年会館
日時: 平成13年6月24日(日)午前10時〜17時
来場者: 65人
相談ボランティア: 3名
受入機関: 5団体
概要: このシンポジウムで初めて教育機関である武田南高校の本多氏から、卒業後仕事につけない生徒のため職業訓練を行っているという喜ばしい話を聞くことができた。尾里氏・山口氏ともボランティアからの社会参加の方法論を示してくれたので、非常に意味のあるシンポジウムであった。
[1]「不登校生の進路と社会参加」シンポジウム
パネラー: 社会福祉法人藤崎台童園 副園長 尾里 裕子 氏
  学校法人稲葉学園 竹田南高校 総務主任 本田 恵三 氏
  学習社ゼミナール 代表 中道 久雄 氏
  介護老人保健施設 フォレスト熊本 ボランティアコーディネーター 山口 温代 氏
  相談ボランティア柴田和氏
司会: 社団法人 日本青少年育成協会 専務理事 近藤 正隆
討議内容:
本田氏:竹田南卒業後、就職がうまくいかない子が出てきたので、62年、訓練研究を始めた。63年からパン作り、味噌作り等食品加工を指導している。中退生のための単位制コースも設けた。現在15名ほどが卒業後のコースに入り、食品加工、寮舎監補佐等も手伝っている。竹田南の卒業生だけでなく、外部の学校を卒業した生徒も受入れている。平成11年から、社会的自立を目指す人を対象としている。自信がもてれば社会参加は可能。食品加工は5名くらい。他に木工・陶芸・農園芸(サツマイモ、じゃがいも、大根、白菜が現在は主体だが、今後は夏野菜、もち米、筍も扱いたい。)を行っている。次のステップとして、インターン先が現在10ヶ所ほどあるので、職場実習も可能。フリースクール部門も設け、高校入学に結びつけるような指導も行っている。
中道氏:自らあらゆる相談にのっている。私は1970年からイスラエルのギブワとヘブライ大学で「志あるところに成功あり」ということを学んだ。一番大切なのは、親子関係、母子関係だと思う。
尾里氏:社会に自立していく子を育てるのを目標としている。子どもは群れで育つ。不登校生は、生活習慣不適応・対人関係不適応が多い。最初は対人関係が成り立たないが、子ども同士の働きかけで少しずつできるようになる。入所者の85%が社会参加できるようになっている。現在高校3年生6名中4名が不登校、高校1年生1 1名のうち5名が不登校である。学習ボランティアを募集しており、現在マンツーマンで指導してくれる人が10人以上いる。
山口氏:現在私のところでは、200名のボランティアが活躍している。その中には3歳の保育園児から92歳の高齢者までいるので、それぞれのできることを手伝ってもらっている。CAPPという動物と遊ぶ時間や散歩の時間が、ボランティアと高齢者とのコミュニケーションが最も生まれやすいときである。高齢者は行動するのが遅いので、「待つこと」を知るのによい。園芸やCAPPは不登校生にも良いプログラムだと思う。彼らには自立、相手を思いやる感性、命の大切さがキーワードだと思う。彼らには地域の人たちとともに社会参加していくのがよいと思う。
柴田氏:小学校低学年のころは成績がよかったが、高学年になってから不登校になり、勉強が手につかず成績は急降下した。それでも親は「行こうと思うまで学校へ行かなくてもいいよ」といってくれたので、逆に行こうと思うようになった。中学・高校は何とか行けたが、波が大きく、落ち込んだこともある。今でも大勢の前だと緊張感が強くなる。きょうもかなり大勢の前で、しかも一段高いところからなので、緊張して話しにくい。当時は自分で自分側からいなくなることもあったので、今、同じような状態の人に対して何か役に立ちたい。
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[2]相談会
 相談員が各分野ともそろっていたので、相談者もうまく分散して相談にのることができた。柴田さんと竹田南高校の卒業生が大活躍で、相談にのっていた。熊本でのシンポジウム・相談会終了後、新聞を見たということで、熊本市役所内にある福祉総合相談室の家庭相談員・井上牧子様から当日の資料請求があった。資料を送ったところ、井上様が熊本の情報を送ってくださった。今年開設したばかりの「こどもレックセンター」をはじめ、貴重な情報であると考え、以下に紹介しておく。
 市内中央、熊本市教育センターに適応指導教室フレンドリーがある。ひきこもりの子供に関しては大学生のメンタルフレンドが家庭訪問を行う、外へでるようになると午後の時間を利用して個別指導がある。情緒障害児短期療養施設として開設された「こどもレックセンター」は他県からの利用もある。また、ここでもひきこもりの方へは「ハートフルフレンド」という大学生を派遣する制度もある。市役所内福祉総合相談室では、相談員2名が相談にあたっている。相談は、就学・不登校・進路・就職等多岐にわたっているが、必要な専門機関につなぐよう努力している。また、母親への支援及び月2回、精神科医による心理相談も実施している。
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