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(3)静岡
会場: 静岡駅ビル パルシェ
日時: 平成13年6月3日(日)午前10時〜17時
来場者: 5人
相談ボランティア: 3人
受入機関: 8団体
概要: 地元静岡新聞の告知が紙面の見付けにくい所だったので来場者が少なかった。しかしそれだけに来場者はシンポジウム・相談会共じっくり余裕を持って聞き相談もでき、皆喜んで帰っていった。テレビ局が取材に来ていたので、相談ボランティアたちは緊張して声をつまらす場面もあった。彼らの中には遠く東京や名古屋・岐阜から来た人もおり人の役に立ちたいという熱心さがヒシヒシと感じられた。終了後、本協会チーフアドバイザーの広谷氏が相談ボランティア全員にアドバイスを与え研修のような形になったが、これは後々役に立つと思われる。
 
[1]「不登校生の進路と社会参加」シンポジウム
期日: 平成13年6月3日(日)
会場: 静岡駅ビル・パルシェ
パネラー: 元気学園 学園長 清水 和重 氏
  学校法人中野学園 オイスカ開発教育専門学校 校長 友田 和臣 氏
  城西神経内科クリニック 院長 医学博士 石垣 康則 氏
  相談ボランティア 長倉 智恵子 氏
  相談ボランティア 相羽 泉美 氏
司会: 社団法人 日本青少年育成協会 専務理事 近藤 正隆
討議内容:
清水:小学生は立ち直りが早いが、中学生・高校生の不登校は時間がかかる。操舵に来る子供は、親の無理解に皆怒っている。不登校生は就職困難なので自ら元気食堂という職場を作った。しかし挨拶ができるようになるまで1ヶ月以上かかる。訓練して仕事が普通にこなせるようになると、企業に紹介するがなかなか続かない人が多い。継続して初めて本人がやっとやる気が出てくる。そこまでいって始めて仕事と言える。
石垣:時代の流れが、不登校を作ったと思う。今の不登校生は皆いい子です。私の病院を訪ねた子には、診断をして平静な気持ちを保つための薬を処方する。苦痛をなくすような薬を処方する。ボランティアからインターンという方法は、まさにリハビリテーションであり時間がかかるのは当然。1段ずつ登る必要がある。親はあせるが待ってあげる必要がある。親や本人が相談に来れるようになれば解決は近い。
友田:オイスカ専門学校は発展途上国の支援と環境問題を中心に教育している。なぜ不登校生が入学してくるのかを聞くと、ボランティア活動を行うことで「心を開く。役に立ちたい。今までは自分のことだけを考えていたので、これからは他人のことも考えたい。」という人が多い。農業分野が多いので、学歴は関係なく全寮制ゆえ年齢もさまざま。元社会人の人も多く、元不登校生にはよい刺激となり1ヵ月位でかなり変わってくる。また、外国人の人たちと同室になり日本語の余りできない人達に日本語を教えることで、元不登校生は人の役に立ち自信となる。
相羽:中2・中3は全くの不登校。大学は1年で中退し留学しようとしたが、うまく行かなかった。今は英会話講師として働いているが、心の中には不安感を引き摺っている。だから、まだ他人の相談に乗れるような立場ではないが、何か役に立ちたい。人には会いたくないが、誰かに会いたいという相反する気持ち。当時は不登校ということで自分を責めていたので、その上他人から言われたくなかった。
長倉:姉がいたので、比較的家庭が自由にしてくれた。小3から中3まで不登校。中3までは全く成績がつかなかったが、高校では料理が好きで食物科に入り好きな勉強ができたので成績もトップになれた。それで自信ができたが人と話しができなかったため、友達はできずに担任としか話せなかった。短大に合格し、今度は友達もできた。卒業して公務員になったが外国に行きたいという気持ちもあって退職し、その後アルバイトをしている。不登校でも自分のやりたい事を見付けることが大切。今後は留学・教師・カウンセラーなど様々な夢を追って、今模索している。まだ方向性が定まっていない。
清水:周囲の人は自分を含めて、あせってしまう。このバスに乗らなければ!バスに乗り遅れるな!と思ってしまう。しかし、本人はそう感じていない。そこでただ待つだけでなく、少しでも改善されるように働きかけながら待ってあげることが必要。ひきこもり・家庭内暴力には親だけでなく他人が入っていく必要がある。母親が子供との間合いの取り方に気をつける必要がある。日本には努力教信者が多く「働かざるもの食うべからず」という考えが、未だに多いので本人にとっては辛い。
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[2]相談会
 相談会は来場者が少なかったので、一人一人じっくりと相談に乗ることができた。特にひきこもりと社会参加の点では、清水氏・石垣氏・広谷氏と相談員が3人も揃っており、相談者にとっては大変恵まれた相談会となった。
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