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《4》調査結果の考察
 調査回答数が少なく、統計資料としての価値が存在するかどうか疑問な結果となった。
 昨年は、初年度ということもあって全国調査を行ったが、今年は、開催16県のみの調査としたため調査対象も少なくなり、「不登校生の社会参加」というテーマに関心を持っていただけなかったと思われ、回収率が極めて悪かった。
 調査対象となったところには、埼玉以外には大都市圏がなかったので、インターンシップ、ネットワーク、ボランティアという言葉にもなじみがなく、またインターンを受入れている企業もほとんどない状態で、どう回答したらよいか戸惑っているところが多かった様子である。
 今年度の開催地は、主たるインターン依頼先と考えていた青年会議所の協力があまり得られず、また、青少年委員会を持つところが少なかったため、企業の回答率が極めて低くなったと思われる。
 以上の点をふまえて考察を行った。
 
[1]企業・福祉施設への調査
イ.調査項目1〜4について
 インターンまたはボランティアで社会参加を促すことに関しては、賛成が88%と圧倒的であったが、全国でネットワークづくりをすることについては、賛成77%、無回答23%と賛成がやや減少した。シンポジウムへの参加になると賛成は更に減って35%と半数を割り、相談会への参加では30%になってしまった。
 つまり、一般的に良く言われる「総論賛成、各論反対」の形となり、実際に参加してくださったのは15社(機関)と非常に少なかった。これはやはり、企業や福祉施設のみならず、一般の人も含めて、まだ不登校に対する認識に乏しく、「学校にもいけない人が社会参加(仕事)ができるのか」という疑問があるからであろう。無回答の方からは、「不登校生がどういう人たちかわからないので回答できない」というコメントが多かった。
 
ロ.調査項目9「受け入れ可能か」について
 半数が可能と答えてくれた。これは、返却してくれたところがベンチャービジネス・青年会議所の会員・福祉施設という本事業に協力的なところ、あるいは不登校に理解あるところが多かったためであろうと思われる。受け入れ可能な不登校生の方としては、A:優等生息切れ型が最も多かったが、残りは検討中が多く、受入れてもらうには時間を要するようである。
 受け入れ時期は「すぐにでも可能」がかなり多かったが、そのうちの2/3はボランティアとしてという福祉施設だった。検討中という回答も含め、希望者が具体的に研修を終えてからということのようである。
 
[2]教育機関への調査
 インターンまたはボランティアの形で社会参加を促すことに対しては、91%が賛成で、全国でのネットワークづくりでは更に賛成が増え95%であった。ところが、シンポジウムへの参加は37%と急落、条件次第という回答が55%もあったが、これは交通費が支給されればということであった。
 相談会も、参加が32%に対し条件(交通費)次第は63%と増加した。結果として教育機関も企業等と同様、総論賛成、各論は条件次第ということになろう。
 
[3]進路と社会参加に向けてのアドバイス
 栃木県実行委員会では本調査の際に企業・福祉施設・教育機関等に対し、不登校生やその親に対するアドバイスを求めた。その中から10のアドバイスを掲載しておく。
*いろんな生き方があってよいのです。
*今の自分、今までの自分を否定することなく、何でもいいから興味のあることを見つけてください。
*夢中になれることならどんなことでもいいんだよ。思いっきりやってごらん。
*学校以外の外の世界を体験し、自分の道を歩んで行って欲しい。
*手探りでもいい、自分に誇りを持って歩いていこう。
*どんな仕事が自分に合うか解らないと思えば、とにかく何でもやってみることではないでしょうか。そのうち、仕事の楽しさなど、天職とはいかなくてもやり甲斐のある仕事が見つかるのではないでしょうか。
*学校や社会に戻るべきだ。社会の一員として国民の義務を果たすべきである。
*甘えを捨てよう! 自分の足で歩き出そう!
*勇気を出してはじめの一歩、そしてもう一歩!
*こんなにも自分のことを問うことができるのはすばらしいことです。そしてその時間を必要としている今、十分な時間を与えてあげてください。








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