2、集落移転統合計画
集落移転の必要性
村内奥地14集落(上小川、愛賀合、細野、西大谷、大熊、平、中ノ俣、九川、東長、原、五味、木守、和田、西ノ又)については最近の厳しい過疎現象により
ア、農林業等生産性の低下
イ、学校教育、社会教育の低下
ウ、医療、防災の困難
エ、弱年労働力の流出に伴う産業発展の停滞
オ、受益者負担能力低下に伴う生活環境施設整備の遅延
カ、住民の孤独感に伴う生活意欲の減退等があらわれ、山村集落の基礎的条件の推持が困難となってきている。
このような状況に対処する統合的な対応策として住民の意向を尊重しながら、村の拠点となる集落にこれらの集落の移転を誘導し、住民の福祉水準を向上するための集落再編整備を計画した。まず45〜46年度に第1期計画として村の拠点集落である鮎川の下附地内に44戸を受け入れられる新集落団地を造成し10集落50戸を対象に移転を誘導する。
(1)就業区分別場所別移転計画
第4表
集落名 |
昭和45年度 |
移転戸数 |
備考 |
世帯数 |
人口 |
九川 |
9 |
36 |
5 |
|
東長 |
3 |
11 |
3 |
|
原 |
8 |
24 |
8 |
|
細野 |
2 |
10 |
2 |
|
大熊 |
6 |
22 |
6 |
|
平 |
2 |
11 |
2 |
|
西ノ俣 |
3 |
6 |
3 |
|
和田 |
26 |
107 |
14 |
|
上小川 |
3 |
12 |
3 |
|
愛賀合 |
4 |
21 |
4 |
|
計 |
66 |
260 |
50 |
|
第5表
就業 区分 |
移転戸数 |
移転先 |
備考 |
村外 |
村内 |
下附団地 |
その他 |
一次産業 |
農業主体 |
15 |
5 |
9 |
1 |
|
林業主体 |
17 |
7 |
9 |
1 |
|
農林業復合 |
13 |
2 |
9 |
2 |
|
小計 |
45 |
14 |
27 |
4 |
|
二次産業 |
1 |
|
1 |
|
|
三次産業 |
4 |
1 |
3 |
|
|
計 |
50 |
15 |
31 |
4 |
|
(2)住宅建設計画
第6表
就業 区分 |
公営住宅(二種) |
持家住宅(分譲) |
備考 |
一次産業 |
農業主体 |
2 |
7 |
|
林業主体 |
2 |
7 |
|
農林業復合 |
1 |
8 |
|
小計 |
5 |
22 |
|
二次産業 |
|
1 |
|
三次産業 |
|
3 |
|
計 |
5 |
26 |
|
(3)新集落施設配置図
下附地内に18.620m2の用地を造成し第4図のとおり住宅公共施設等(集会施設 共同作業場 広場遊園 花木生産施設 農機具格納庫)を配置する。また団地中央部に幹線道路それに接続して肋骨状に支線を配し道路に沿って側溝を設ける。なお団地内排水処理のため両サイドにコルゲートパイプ、コンクリートパイブを埋設する。(第4図下附団地レイアウト図参照)
(4)交通通信施設整備計画
新集落団地は国道311号線沿いに位置するため最寄都市田辺市へは13Km(約30分)で連絡できる。団地内道路として国道に接続しで巾員6m道路を配し支線としてそれぞれ5m〜4m巾員道路を配する。また有線放送施設は村役場を基地とした既設放送施設に接続し利用する。
(5)教育医療施設整備計画
医療施設は新集落団地の近くに診療所および歯科診療所が開設されているのでこれを利用する。また幼児保育についてはあゆかわ保育園(団地から0.5Km)児童生徒については鮎川小、中学校(0.4Km)高校生については隣接上富田町ならびに田辺市の高等学校へ通学できる。
(6)供給処理施設整備計画
飲料水については鮎川地区一円を包括した簡易水道施設を昭和47〜48年に新設する計画であるが差し当り新集落団地には既設の下附簡易水道の増設を行って供給する
またゴミ処理においては隣接の上富田町、中辺路町と共同して田辺周辺広域市町村圏計画の中で処理施設を新設する。
(7)その他の施設整備計画
新集落団地近隣に共同菜園、共同墓地を設置する。また団地内に防火用消火栓ならびに街灯を設けて防犯および非行の防止につとめる。
3、生産条件等整備計画
(1)農林業経営整備計画
集落移転に伴う跡地利用については通勤農業希望者にはその営農改善指導を行うとともに地域の特性を活かした特産物(ワサビ シイタケ 花木等)の生産団地を造成する また新集落団地には花木生産施設を設置して移転者の協業による花木生産を行う。
なお移転跡地の大半は造林地に転用される計画である。なお林業については山林所有規模が零細なことおよび山林の管理は季節的なものであるところから新集落団地から通勤して経営管理する。
(2)観光資源開発計画
大塔村は林野率97%の山村で自然景観に恵まれとくに鮎川温泉 深谷花木生産園場 三川ダム 百間山渓谷および安川の景観地を結ぶ観光開発を積極的にすゝめているが移転跡地の旧家屋、集会所等については都会人の山の家憩の場として活用をはかる。
(3)工場誘致計画
昭和45年秋新集落団地に隣接する宮代地区に大塔金属工業株式会社(将来100名程度の男子就労可能)を誘致し、集落移転転職者および一般就労者の就労斡旋を行なっているまた婦女子については縫製工場 編立工場の誘致を行ない団地内共同作業場を利用して就労させる。
(4)就労計画
通勤農業希望者には地区特産を中心に営農指導を行ない通い耕作を行なわせることとし、林業労務希望者は森林組合の林業労務班に加入せしめ通勤林業労務を行なう。また転職希望者についてはすでに操業を開始している誘致工場に就労を斡施する。なお老人は花木の生産ならびに共同菜園の管理にあたり婦人は共同作業場での軽工業に就業する。
第7表 就学計面(一般)
|
通勤農業 |
林業労務 |
誘致工場就労 |
その他 |
計 |
備考 |
村内 |
村外 |
一般就業者 |
2 |
8 |
18 |
1 |
2 |
31 |
|
第8表 就労計画(老人、婦人)
区分 |
人員 |
花木生産 |
軽工業 |
通勤就労 |
その他 |
計 |
老人 |
男6 |
5 |
|
|
1 |
6 |
|
女4 |
3 |
1 |
|
|
4 |
|
小計10 |
8 |
1 |
|
1 |
10 |
婦人 |
31 |
7 |
18 |
2 |
4 |
31 |
計 |
41 |
15 |
19 |
2 |
5 |
41 |
(5)離農促進計画
集落移転跡地は新集落団地から平均20Kmの遠距離にあり一部の通勤農業者を除き殆んどは通い耕作が不可能に近い状態にあるので、極力離農をすゝめ跡地は地域の特性を生かした花木等の生産団地とするほかは大半を造林地に転換を指導する。
大塔村資料 ふるさと定住促進住宅整備事業実績
区分
年度 |
団地名 |
戸数 |
構造 |
事業費(千円) |
備 考 |
建築費 |
用地費等 |
計 |
平成7年度 |
木守団地 |
2 |
木造平屋建 |
22,557 |
887 |
23,444 |
|
平成8年度 |
平瀬団地
鮎川団地 |
2
1 |
木造2階建 |
36,019 |
2,964 |
38,983 |
|
平成9年度 |
向山団地
合川団地 |
2
2 |
木造2階建 |
54,059 |
252 |
54,311 |
|
平成10年度 |
竹ノ又団地 |
2 |
木造2階建 |
48,198 |
5,024 |
53,222 |
|
平成11年度 |
竹ノ又団地
向山団地 |
2
2 |
木造2階建 |
46,823 |
50 |
46,873 |
|
平成12年度 |
竹ノ又団地 |
3 |
木造2階建 |
41,856 |
10,228 |
52,084 |
|
平成13年度 |
竹ノ又第2団地 |
5 |
木造2階建 |
74,950 |
24,148 |
99,098 |
(見込額) |
合 計 |
|
23 |
|
324,462 |
43,553 |
368,015 |
|
(団地内訳:木守団地2戸・平瀬団地2戸・鮎川団地1戸・向山団地4戸・合川団地2戸・竹ノ又団地12戸)
多良木町資料 多良木町における定住促進団地整備事業の概要
事業所管 |
国土庁地方振興局過疎対策室
(現在の総務省自治行政局過疎対策室) |
補助事業名 |
過疎地域集落等整備事業(定住促進団地整備事業) |
団地名 |
上ノ原団地 |
事業年度 |
平成8年度(平成8年9月〜平成9年2月) |
場所 |
多良木町大字多良木字上の原 |
総面積 |
14,204m2 |
総戸数 |
30戸 |
総事業費 |
83,673千円 |
国庫補助金 |
18,394千円(補助対象経費の1/2) |
現況
30区画の内訳 |
個人購入23区画 |
町利用6区画(特定公共賃貸住宅建築) |
遊休地1区画 |
購入者の状況(23名) |
[1]世帯員数 |
[2]購入者の年代 |
1人 5世帯 |
30代 7世帯 |
2人 6世帯 |
40代 5世帯 |
3人 5世帯 |
50代 5世帯 |
4人 6世帯 |
60代 3世帯 |
5人 1世帯 |
70代〜 3世帯 |
前の居住地 |
多良木町内 15世帯 |
人吉球磨地域内市町村(多良木町除く) 2世帯 |
人吉球磨地域外市町村(県内) 1世帯 |
〃 (県外) 5世帯 |
*UJIターンについては不明 |