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集落再編整備モデル事業実施計画
1、計画地区の概要
(1)立地条件
ア 沿革および位置
大塔村は昭和31年旧鮎川村、三川村および富里村の3村が合併して発足したが集落再編整備計画地区のうち上小川および愛賀合は旧鮎川村に属し、村の中心地(役場所在地)である鮎川から6Kmはなれた山間部にあり、細野、西大谷、大熊平、中ノ俣、九川、東長、原、五味および木守の各集落は旧三川村に属し鮎川とは、水系の異なる日置川の支流沿いに点在し、最遠の木守とは峠越しで38Kmの距離にある。また、和田、西ノ又は旧富里村地内の日置川支流にあり、なかでも和田は鮎川とは21Kmの遠距離にある。
イ 交通通信条件
村の中心地である鮎川は国道311号線沿いに位置し、この地方の中核都市田辺市および泉都白浜町から13Kmの近距離にあり国鉄バスも30分間隔で運行され交通条件に恵まれているがそれより奥の上小川、愛賀合には1日2往復のバスの便しかなく、かつ下車後徒歩で20分を要する。通信施設も皆無で1日1回の郵便に頼っている。三川地区については地区の中心地合川(役場三川支所所在地)までは1日2往復のバスが運行しているが、それから各集落までは徒歩で平均1時間を要する各集落1ケ所の公衆電話があるが郵便発送については合川まで出向かなければならない状態である。富里地区については地区の中心地下川(役場富里支所所在地)までは1日2往復のバスが運行されているがそれより集落までは徒歩40分を要する。道路も軽四輪通行可能道路が開設されているが年4〜5回崩壊による通行止が見られ、また電話は今のところ架設されていない。
ウ 自然条件
各集落ともV字型のけわしい地形に囲まれた河川の支流および山腹に散在している。気候は概して温暖で年平均気温16.1℃ 降雨量も年3.000mmと多雨である。降雪は12月中旬から2月下旬の間に数回みられるが交通の吐絶することは少ない。また年1〜2回台風が襲来し時には集中豪雨による水害をひきおこすことがある。
 
(2)就業状況
計画地区14集落139戸の昭和44年における全人口549人でそのうち就業人口は41.3%にあたる227人である。これを産業別に見ると第一次産業70.5%(農業9%林業18.5%農林兼業43%)第2次産業14.1%第3次産業15.4%となっている)これを就業地区別に見ると村内199人(87.7%)で村外28人(12.3%)である
第1表 世帯数就業人口構成とその推移
区  分
第1次産業 第2次
産 業
第3次
産 業
農業 林業 農林
兼業
世 帯 数 35 17 28 66 111 18 19 148
44 14 27 63 104 16 19 139
就業人口 35 34 56 135 225 36 39 300
44 21 42 97 160 32 35 227
市町村外
就業人口
35 13 8 21 2 2 25
44 14 9 23 2 3 28
第1図 年度毎産業別就業人口の構成
z1161_02.jpg
(3)土地利用状況
計画地区の農用地は昭和35年に83.4haあったが44年には31.1%に減少して57.5haになっていてさらにこの先25.0ha程度に減少するものと思われる。また、その大部分が林地に転換されたもので、今後とも増加するものと考えられる。
第2表 土地利用状況
  農   用   地 林         地 その他
普通畑 果樹園 その他 小計 森林 原野 その他 小計
35年 66.5 13.1 2.8 1.0 83.4 8,319.0 23.1 5.0 8,347.1 63.0 8,493.5
44年 42.3 10.6 3.6 1.0 57.5 8,350.0 15.0 6.0 8,371.0 65.0 8,493.5
35年に対して% (−)
36.3
(−)
19.1
(+)
28.6
(±)
0.0
(−)
3.61
(−)
0.4
(−)
35.1
(+)
20.0
(+)
1.3
(+)
3.2
(±)
0.0
今後の見通し 20.0 5.0 0 0 25.0 8,378.5 20.0 5.0 8,403.5 65.0 8,493.5
44年に対する% (−)
52.7
(−)
52.8
(−)
100.0
(−)
100.0
(−)
56.5
(+)
0.3
(+)
33.3
(−)
16.7
(+)
0.4
(±)
0.0
(±)
0.0
今後の見通のうち水田20haについては中心集落からの通勤農業および人作によるものでそれも将来はだんだん林地に転換されることが予想される。

(4)農林地の整備、保有状況
計画地区内の水田42.3haは周囲の山林に包まれ日照時間が短く収量(反収)は村平均の350Kgを遥かに下廻っておりその水田も点在し棚田が殆んどで機械化による集団作業の余地は少ない。山林の保有状況も村外所有者が70%を占めている関係上、林業経営規模も1戸当平均2ha未満と少なく主に労務提供により生計を営んでいる。また林業の機械化等についても村外の大山林所有者に依存している状態である。
 
(5)農林業生産物の動向
計画地区における農林生産物は自然条件が不毛のため生産性が低く米10ton梅12tonコンニヤク4ton茶2ton程度である。
木材の年間伐採量は全村の3割を占める12,000m3と多く林産物として椎茸4tonわさび0.5tonである
第3表 農林業生産物
作目別 全村 計画地区
430ton 100ton
400〃 12〃
コンニヤク 12〃 4〃
10〃 2〃
しいたけ 7〃 4〃
わさび 1〃 0.5〃
木材 40,000m3 12,000m3








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