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ロンドン条約会議に提示された「浚渫物の特性分析に係るサンプリングガイドライン(案)」の目次
 
用語の定義
1. 序文
1.1 参考文献
 (注)参考文献としては以下の機関からの資料が挙げられている。
 ・Environment Canada(1994)
 ・ASTM(1998A)
 ・IADC/CEDA(1996/97)
 ・ISO(2000 draft)
 ・USEPA/USACE(1991,1998)
 ・EC(1995)
 
2. サンプリング計画の作成
2.1 関係者及び最小限必要な情報
2.2 調査の種類と検証可能な仮説
2.3 調査計画の内容
2.4 既存データ
2.5 分析必要項目の決定
2.6 統計上の配慮事項
2.7 調査期間及び資金面の配慮事項
2.8 分析に必要な浚渫物の量(容積・重量)
2.9 品質保証及び品質管理
 
3. 現場サンプリングにあたっての最終的な準備
 
4. サンプリング計画の実施
4.1 地点配置
4.2 サンプリング器材
4.3 船舶使用上の配慮事項
4.4 サンプルコンテナー
4.5 データ記録
4.6 サンプルの取扱い
4.7 サンプルの妥当性
4.8 運搬
4.9 貯蔵
 
5. 結論
 
付録1. ケーススタディ
事例1. 地域特性に配慮したサンプリング計画
事例2. 造船所におけるサンプリング及び分析計画(アメリカ、ワシントン州)
 
参考文献(これ以降はまだ公表されていない)
 引用文献
 一般手引書
 水質分析
 堆積物の物理的分析
 生物試験
 間隙水分析
 サンプリング器材、手順、サンプル取扱い
 統計
 品質保証/品質管理
 〔出典11
No 参考事例
参考-18:OSPAR条約GL7.2〜7.7項 ・浚渫土量に応じたサンプリング地点の目安、頻度表示などを記述。(以下、GLより抜粋)
投棄許可発給を目的としたサンプリング
7.2項⇔ロンドン条約議定書WAG4.5項)浚渫予定地点のサンプリング
 浚渫地点の調査を実施すべきである。サンプリングの地点の分布と試料採取の深さは浚渫地点の規模(水平的広がり)と深さ、浚渫土量、汚染物質の分布状況の水平垂直方向の変動を反映するように決めるべきである。浚渫の深さと予想される垂直方向の汚染状況により判断し、適宜コアサンプルを採取すべきである。その他の地点では、通常、グラブサンプリングで十分である。海洋投棄許可のためのサンプリングに投棄用船舶を利用することは推奨しない。
7.3項⇔対応箇所なし)浚渫土量とサンプリング地点数の関係
 以下の表は、浚渫される対象堆積物はほぼ均等なものであるという前提で、再現性のあるサンプルを得るのに必要な地点数を決定する際の目安となる。
浚渫土量(m3) サンプリング地点数
<25000 3
25,000〜100,000 4〜6
100,000〜500,000 7〜15
500,000〜2,000,000 16〜30
>2,000,000 100万m3追加ごとに10地点追加
 サンプル地点数は、浚渫予定地点に基づいて決定することもできる。また、サンプル地点数は、その場所の海水交換特性についても配慮しておく必要がある。半閉鎖性・閉鎖性水域等においては、より多くのサンプル地点を必要とすることがある。

7.4項⇔対応箇所なし)個別地点から採取した試料の取扱い

サンプリングの頻度
7.5項⇔対応箇所なし)清浄と判定された地点における頻度
 分析結果により清浄と判断された地域においては、その地域の環境が変化しない限り、3年に1度の調査で十分である。

7.6項⇔対応箇所なし)
サンプリング地点または調査項目の減少とフルサンプリングの頻度
 初期調査の結果によってはサンプリング地点数または調査項目を減らしうる。調整した計画による調査結果が初期調査の結果を保証するものでなければ、もう一度、調整前の計画に戻す必要がある。

7.7項⇔対応箇所なし)底質汚染の度合が高い地域の調査頻度・項目
 強度に汚染されている堆積物の分析は、懸念される全汚染物質の調査は頻度多く行うべきであり、この頻度は許可の更新手続きと関連付けて回数を決定すべきである。
出典5
参考-19:日本の水底土砂の区分と排出海域 日本の水底土砂の区分と排出海域は以下のとおり。
(1)有害水底土砂−水銀、カドミウム、鉛、有機リン、六価クロム、ヒ素、シアンまたはPCBを含む水底土砂で判定基準に適合しないもの。→海洋投入禁止。(ただし、鉛等を基準値を超えて溶出する水底土砂等一部については固形化して海洋投入処分が可能。この場合はA海域に排出。)
(2)特定水底土砂−銅、亜鉛、フッ素、ベリリウム・クロム・ニッケル・またはバナジウムを含む水底土砂で判定基準に適合しないもの。→海洋投入処分可能。A海域に排出。
(3)指定水底土砂−田子の浦港及び三島川之江港から除去された水底土砂のうち熱しゃく減量20%以上の状態であるもの。→海洋投入処分可能。C海域に排出。
(4)(1)〜(3)以外の水底土砂→海洋投入処分可能。F海域に排出。判定基準は別表-8、排出海域は別図-3に示すとおり。
別表−8 総理府令による水底土砂の判定基準
  項目 判定基準
1 アルキル水銀化合物 検出されないこと。
2 水銀又はその化合物 0.005 mg/L以下
3 カドミウム又はその化合物 0.1 mg/L以下
4 鉛又はその化合物 0.1 mg/L以下
5 有機リン化合物 1 mg/L以下
6 六価クロム化合物 0.5 mg/L以下
7 ひ素又はその化合物 0.1 mg/L以下
8 シアン化合物 1 mg/L以下
9 PCB 0.003 mg/L以下
10 銅又はその化合物 3 mg/L以下
11 亜鉛又はその化合物 5 mg/L以下
12 ふっ化物 15 mg/L以下
13 トリクロロエチレン 0.3 mg/L以下
14 テトラクロロエチレン 0.1 mg/L以下
15 ベリリウム又はその化合物 2.5 mg/L以下
16 クロム又はその化合物 2 mg/L以下
17 ニッケル又はその化合物 1.2 mg/L以下
18 バナジウム又はその化合物 1.5 mg/L以下
19 有機塩素化合物 40 mg/kg以下
20 ジクロロメタン 0.2 mg/L以下
21 四塩化炭素 0.02 mg/L以下
22 1,2-ジクロロエタン 0.04 mg/L以下
23 1,1-ジクロロエチレン 0.2 mg/L以下
24 シス-1,2-ジクロロエチレン 0.4 mg/L以下
25 1,1,1-トリクロロエタン 3 mg/L以下
26 1,1,2-トリクロロエタン 0.06 mg/L以下
27 1,3-ジクロロプロペン 0.02 mg/L以下
28 チウラム 0.06 mg/L以下
29 シマジン 0.03 mg/L以下
30 チオベンカルブ 0.2 mg/L以下
31 ベンゼン 0.1 mg/L以下
32 セレン又はその化合物 0.1 mg/L以下
注)判定基準:「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行令第5条第1項に規定する埋立場所等に排出しようとする金属等を含む廃棄物に係る判定基準を定める総理府令」(昭和48年2月総理府令第6号、最終改正平成7年10月総理府令第51号)で定められた水底土砂に係る判定基準
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出典)「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の解説」(海洋汚染・海上災害防止法研究会編、平成8年7月)
別図−3 廃棄物の排出海域
No 参考事例
参考-20:アメリカの例 ・DOTS(Dredging Operations Technical Support Program:浚渫事業技術支援プログラム(仮称))の一環として各種データベースを管理。(1),(2),(4)についてはインターネットよりアクセス可能となっている。
(1)ERED(Environmental Residue-Effects Database)…堆積物の生物影響に関するデータベース。
(2)E2D2(Environmental Effects & Dredging and Disposal)…浚渫関連の文献データベース、世界規模で収集、4000件以上。
(3)BSAF(Biota Sediment Accumulation Factor) Database…BSAF(堆積物蓄積の生物圏への影響要素)に関する室内・現場実験データ等のデータベース。浚渫物評価の階層IIに活用できるよう設計されている。ファイルとしてダウンロードが可能。
(4)ODD(Ocean Disposal Database)…1976年からの浚渫個別案件に関するデータべ一ス(ロンドン条約対応分)。
出典12
参考-21:OSPAR条約GL13.1項 ・OSPAR条約加盟国への浚渫物投棄許可発給件数・処分量の報告の義務付けについて記述。事務局では、北東大西洋における総負荷量についての報告を統括している
(13.1項の記載内容⇔対応箇所なし)
 −加盟国への浚渫許可件数、浚渫土量、汚染物質とともに投棄された土量のOSPAR事務局への報告義務付け
 −特性分析のプロセスは許可発給にあたり必要情報を提供することを目的として作成されているが、同時に、この方法は、汚染物質の総インプット量に対する浚渫物の寄与分に関する情報ももたらす現在考えられるところの唯一の方法である、としている。
 −特性分析を免除された浚渫物に対しては汚染物質の負荷は微小であるとし、(投棄された汚染物質量の)計上には入れていない、としている。
出典3
参考-22:オランダの例 (国レベルの収容量評価(「10年シナリオ」))
・オランダでは、「10年シナリオ」を作成し、2001〜2011年における浚渫土砂管理政策を策定。手法は以下のとおり。
(1)2011年までに予想される全浚渫土砂の発生量とそれらの特性についての目録作成(全国レベル)
(2)DB管理用のコンピューターモデルの構築…より効果的な処理方法、費用、環境効果の算定も可能。現在の方針や法制度に従った最初の計算は実施済みであり、現在可能な変更点を加えて再計算中。現在の環境方針に添った処理方法の順序としては、[1]浅海域での移動→[2]海洋投入→[3]陸上処理→[4]有効利用→[5]CDFにおける処理、となっている。
(現在までの結果(初期の結果))
(a)浚渫土量の集計結果…今後10年において、4億m3の浚渫土砂が発生予定。このうち60%は現行の基準に照らし合わせると移動(リロケーション)可能、残り40%は投棄、あるいは再利用のため処理を施す必要がある。
(b)処理に必要な費用総額…40億〜50億ユーロから70億ユーロ(より高度な処理技術を考慮した場合)。現在の予算は10〜15億ユーロ。経済負担のより少なく、かつ環境に配慮した方法を模索する必要あり(例:投棄場所の新たな開発とそれに関連した簡易な処理技術の開発、汚染堆積物の直接的な利用など)。
(c)有効利用を前提とした処理技術の開発、(処理された土砂の)建築材としての利用の合法化、製品の市場開拓等にも力を注ぐ必要あり。
(d)汚染堆積物の直接的利用の案としては、深く掘削された土砂採取場の環境修復や、その他の自然環境修復への利用等が挙げられる。これらについては大規模パイロットプロジェクトとして扱う必要があり、これに伴う法規制枠組みも作成の必要がある
出典3
参考-23:OSPAR条約GL10.2〜10.5項、11.5〜11.10項など (以下、GLより抜粋)
潜在的影響の評価
(10.2項⇔ロンドン条約議定書WAG7.2)
潜在的影響の検討における情報の統合と影響の特定
 この検討により、浚渫物の特性と処分予定地点の状況は統合されるべきである。これには人の健康、生物資源、快適性及び海洋のその他の適切な利用に対する潜在的な(起こり得る)影響を要約して含むべきであり、また、適切に悲観的な仮説に基づき予想される影響の性質及び時間的・空間的規模についても定義すべきである。
(10.3項⇔対応箇所なし)基線調査実施の必要性及び実施の視点
 仮説作成のため、環境特性だけでなく環境変動をも把握するための基線調査が必要となる場合がある。また、堆積物輸送、水の流動及びその他のモデルの開発は、投棄による起こり得る影響を決定するのに有用である場合がある。
(10.4項⇔対応箇所なし)滞留場(retentive site、沈降場)に関する留意点
 滞留場(沈降場)においては、投棄した浚渫物が近傍に留まるが、このような場所の影響評価では、投棄された浚渫物の存在により明確に変化を受ける場所の線引きと、環境変化の程度を表示すべきである。
 極端な場合には、直接投棄された場所の全体が閉塞するという仮説もありえる。このような場合は、投棄終了後の生物群集の回復あるいは再形成のタイムスケールを可能な範囲で予測し、また再形成される底生生物群集の組成が現在生息しているものと同様か異なるかといった傾向についても言及するべきである。影響評価は、初期影響ゾーン外での残留影響の傾向と規模を特定するものであるべきである。
10.5項⇔対応箇所なし)拡散場(dispensive site)に関する留意点
 拡散場においては、影響評価は、予定された浚渫物の投棄により短期間に変化がもたらされる海域(周辺海域)を特定し、関連する影響の程度についても表示すべきである。また、この海域からの長期的な物質輸送の傾向や、既存のフラックスと本地域からのフラックスの関係について特定し、これにより、長期的かつ広域的影響の起こりえる規模と程度について検討した予測(書)を許可する形とすべきである。
処分実施上の管理事項(影響を低減させる技術や留意点について記述している箇所であり、影響仮説を立てる際にこれらの事項に留意することも重要と考えられる。)
11.5項⇔対応箇所なし)浚渫物投棄による物理的影響の低減技術について
 セクション全体として、浚渫物の投棄による物理的影響を低減するための管理技術について記述。管理の要は、慎重な地点選定と、その他の関心事や活動との軋轢が生じる可能性の評価にある。
 さらに、浚渫及び投棄に係る適切な技術を選択することにより、環境影響の最小化を図るべき。
11.6項⇔対応箇所なし)浚渫物による海底の覆土及び処分量(累積)に関する留意点
 多くの場合、海底の比較的小区画をおおうことは、環境的に許容可能な浚渫行為に伴う結果と考えられている。
 海底全体における過度の環境悪化を回避するため、投棄地点数は可能な限り制限し、各地点は船舶の航行に影響がない範囲において最大限利用するべき。
11.7項⇔対応箇所なし)投棄場所の性質と拡散戦略の利用
 浚渫物とその投棄地点の堆積物組成が類似のものであれば、環境に対する影響は最小化される。
 局所的には、自然の物理的撹乱が大きな場所における影響も低減すると考えられる。自然拡散が起こりにくい場で、清浄で微細な浚渫物を投棄する場合、特に小区画などでは、計画的な拡散投棄戦略を作成し、覆土による影響の防止・低減を図ることが適切な場合もある。
(11.8項⇔対応箇所なし)浚渫物の沈殿率
 浚渫物の沈降率は、しばしば投棄地点において強い影響力を持つため、重要な配慮事項となりえる。したがって、投棄地点の環境管理目的を超えないことを保証するよう、適切な管理が必要となる場合がある。
(11.9項⇔対応箇所なし)浚渫物の覆土(封じ込め)等の技術について
 特定の環境下においては、漁業やその他の適切な活動の妨げにならないよう、凹地の穴埋め、計画的な覆土またはその他の封じ込め方法などといった浚渫物の処分方法が適切である場合もある。
11.10項⇔ロンドン条約議定書6.4項)潮位・季節変動による処分活動の制限と汚濁防止膜の利用による移動性魚類等への影響の低減について
 浚渫物投棄の低減技術の一つとして、汚濁防止膜の利用に言及。(前述)
出典3
参考-24:オランダの例 (オランダにおいて浚渫物の海洋投棄申請書類に必要な情報)
(1)許可期間(希望)
(2)投棄予定地点
(3)対象となる浚渫物の浚渫地点(汚染状況は均一な地域からの浚渫であることが前提
(4)浚渫の種類及び使用器(機)材
(5)浚渫物の物理的特性
(6)判定基準項目に係る汚染の程度
(7)浚渫の必要性を低減するための全措置
(8)汚染の程度を低減するための全措置
(9)対象浚渫物に係る海洋投棄以外の用途や他の投棄場所の可能性についての検討結果
 サンプリングに先立ち、許可官庁と事業者の間で協議が行われ、サンプリング地点、サンプリング方法、報告する必要のある物理的・化学的特性項目とその分析方法についての決定がなされる。
出典2
参考-25:GKSS調査結果 ・複数機関が関与したGKSS調査(ドイツにて実施)により、ライン川水質や港湾の浚渫物に係る将来シナリオの検討を実施。(別図-4に示すとおり)
出典14
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ライン川上流の一部地域における亜鉛、ベンゾ(a)ピレンに係るシナリオ分析結果
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ロッテルダム港東部における浚渫物の現状と将来(2015年)の予測結果
(オランダ、2000年における基準との比較による)
出典14








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