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別添2
土壌の摂食等による有害物質の摂取量の算定方法
 
1 対象とする暴露経路
 摂食及び皮膚接触(考慮が必要な場合)とする。
 
2 暴露期間
(1)長期的な暴露を対象とする。
(2)具体的には、一般に自然的原因により広範囲に存在している重金属等については、非汚染土壌の上に居住しても一定の暴露を受けるため、汚染土壌の上に70年居住するものとし、一般に人為的原因により局所的にしか存在しないものと考えられるダイオキシン類、PCB、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物等については、汚染土壌の上に一生涯居住し続ける可能性は一般には高くないものと考え、汚染土壌の上に30年、非汚染土壌の上に40年居住するものとしてリスク評価を行う(子供の時期は6歳までの6年間、大人はその後70歳までの64年間とし、子供の時期は汚染土壌の上で居住するものとして評価)。
 
3 土壌の摂食(消化管を経由する経口摂取)のシナリオ
(1)1日当たりの土壌摂食量
 ここでは、ダイオキシン類に係るデフォルト値として、子供200mg/day、大人100mg/dayが採用されていること、平成12年度に実施した「土壌摂食量調査」の結果でも概ね同デフォルト値の範囲内にあり、同調査結果をもって直ちにはデフォルト値の見直しを行う必要はないと考えられることから、同デフォルト値に基づいて要措置レベルを検討する。
(2)土壌中の有害物質の吸収率
 リスク評価の基となるTDI(耐容一日摂取量)等を設定する際には、体内負荷量に基づいて評価を行っているダイオキシン類を除いて、吸収率が考慮されていない。さらに、土壌中の有害物質の摂食による吸収率については、今回検討した項目では通常の食物や飲料水を経由した吸収率と比較して有意に低くなるような知見は得られなかったことから、許容摂取量との比較による要措置レベルの算定に際しては特に考慮しないものとする。
(3)暴露頻度
 ダイオキシン類に係るデフォルト値から、年間365日とする。
 
4 土壌及び巻き上げらた土壌粒子の皮膚接触(皮膚吸収)
 物質によっては関連する知見のないものもあり、また、ダイオキシン類の場合には皮膚からの吸収率を1%と評価しているものの、知見の得られているその他の物質の多くは吸収率1%未満で土壌の摂食による摂取量の数%程度であると見込まれ、土壌及び巻き上げられた土壌粒子の皮膚接触による吸収率は、現行の土壌環境基準の項目のいずれについても特に高いという知見は得られていないことから、ここでは皮膚接触吸収による摂取量は、吸収率が比較的大きいとの知見(1%より大きいと評価)が得られているものを除き、土壌の摂食による摂取量と比較して小さいものとして考慮しないものとする。
 なお、土壌及び巻き上げられた土壌粒子の皮膚接触(皮膚吸収)による吸収率が比較的大きいものについては、
(1)皮膚面積あたりの土壌の皮膚接触量については、ダイオキシン類に係るデフォルト値から、0.5mg/cm2
(2)暴露する皮膚面積については、ダイオキシン類に係るデフォルト値から、子供2,800cm2、大人5,000cm2
(3)暴露頻度については、ダイオキシン類に係るデフォルト値から、晴天率0.6×{子供毎日(7/7)、大人週末(2/7)}として考慮するものとする。
 
5 土壌の摂食等による有害物質の摂取量の算出
(1)有害物質の摂食による摂取量
 有害物質の摂食による摂取量の算出は、
(摂取量)=(土壌中の含有濃度)×(土壌摂食量)
摂取量 :1日当たりの土壌からの有害物質の摂食による摂取量
土壌中の含有濃度 :土壌中の有害物質の含有濃度
1日当たりの土壌摂食量 :1日当たりの土壌の摂食量とする。
(2)有害物質の皮膚接触による摂取量
 有害物質の皮膚接触による摂取量の算出は、
(摂取量)=(土壌中の含有濃度)×(皮膚面積当たりの接触量)×(皮膚面積)×(吸収率)×f
摂取量 :1日当たりの土壌からの有害物質の皮膚吸収による摂取量
土壌中の含有濃度 :土壌中の有害物質の含有濃度
皮膚面積当たりの接触量 :1回当たりの0.5mg/cm2
皮膚面積 :土壌に暴露する皮膚面積子供2,800cm2、大人5,000cm2
吸収率 :土壌中の有害物質の皮膚接触による吸収率
f :晴天率(0.6)×1日当たりの接触回数の頻度
 子供7/7、大人2/7
とする。








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