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[2] カナダ(オンタリオ州)
 オンタリオ州では汚染された底質は環境に影響を与えるものと認識され、バイオアッセイを取り入れたガイドラインが新たに設定された。このガイドラインでは、「Provincial Sediment QuaIity Guidelines(PSQGs)」による化学分析に基づく毒性評価と、底生生物を用いたバイオアッセイにより毒性を評価している。
 最初に浚渫前の底泥について、化学分析により毒性の評価を行う。評価は3段階(No effect,Low effct,Severe effct Level)で行われる。自然環境に生息している底生生物の95%が生息可能な濃度(Screening Level Concentration;SLC)を規定し、SLCの5%、95%濃度を各毒性物質のLow effct,Severe effct Levelとする。Severe effct Levelを超えたと評価された底質について生物試験を行う。
 底質の評価方法の流れを図2−6に、またPSQGsガイドライン値の一部抜粋を表2−12に、生物試験の概要を表2−13に示した。
 浚渫土砂は、原則としてLowest effct levelを超えない場合に限り海洋投入が認められている。ただし、Lowest effct levelを超えた場合でも、特定の条件を満たせば投入が認められる。
 生物に対する影響が大きいと評価された底質は、現場改善(浚渫等)または現場管理(モニタリング等)を行わなくてならない。
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図2−6 カナダ、オンタリオ州における底質の評価方法の流れ
表2−12 Provincial Sediment Quahty Guidelines(PSQGs):地域的な底質ガイドライン
(単位:μg/g(ppm) 乾泥(他に特記がない場合)) *:μg/g organic carbon)
Compound No
Effect Level
Lowest
Effect Level
Severe
Effect Level
Metals
Arsenic - 6 33
Cadmium - 0.6 10
Chromium - 26 110
Nutrients
TOC(%) - 1 10
Total Kjeldahl Nitrogen - 550 4800
Total Phosphorus - 600 2000
PCBs
PCB(total) 0.01 0.07 530*
Organochlorine Pesticides
Chlordane 0.005 0.007 6*
Dieldrin 0.0006 0.002 91*
Polycyclic Aromatic Hydrocarbons
Anthracene - 0.220 370*
Benz[a]anthracene - 0.320 1,480*
PAH(total) - 4 10,000*
注) 「-」は、不充分なデータ/適当な方法がないことを示す。
 
表2−13 カナダ(オンタリオ州)での生物試験について
生物試験の
種類
供試生物 試験
期間
エンド
ポイント
急性毒性
(亜致死性)
Pimephales promelas(生後3〜4ヶ月)
コイ科で日本には生息しない。
10日間 生存率
急性毒性
(亜致死性)
Hexagenia limbata(生後3〜4ヶ月)
マダラカゲロウ科で巣穴を形成。日本には生息しない。
10日間 生存率
出典)
Ontario Ministry of the Environment(OMOE),1993,Guidelines for the protection and management of aquatic sediment quality in Ontario
(出典)
・Ontario Ministry of the Environment(OMOE),1993.Guidelines for the protoction and management of aquatic sediment quality in Ontario.
・カナダ、オンタリオ州インターネットサイトhttp://www.ene.gov.on.ca/envision/gp/index.htm
 








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