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1−2.調査研究内容
 港湾における浚渫土砂は、埋立材、人工海浜や人工干潟の造成材料等として有効活用される他、海洋に投入処分されている。平成11年の実績によると浚渫土砂発生量は約3,300万m3であり、処分方法は、埋立約2,600万m3、養浜等約400万m3、海洋投入処分約200万m3となっている。ちなみに海洋投入処分量の諸外国における実態は、米国が日本の約6倍、英国が約3倍となっている。
 廃棄物の海洋投入処分については1972年に採択されたロンドン条約によって国際的に規制され、海洋環境の保護が図られている。規制は順次強化されており、特に1996年の改正ではリバースリストに示された7品目以外の海洋投入処分は禁じられ、また7品目についても海洋投入処分する際にはWAFと称する統一的な手法によって、物理的、化学的、生物学的な側面で環境影響評価を行うこととなる。浚渫土砂は有害な廃棄物ではないものの、大量に海洋投入処分されていることから、7品目に含められ、WAFに則った環境影響評価を行うこととなる。
 一方、日本で現在行われている手法は、浚渫土砂に含まれている重金属、有機塩素化合物等の溶出量等を測り、それが基準値以下であれば海洋投入処分が許可されるという方式である(包括アセスと呼ばれる方式)。米国、英国等の欧米諸国は個別案件毎に環境影響評価を行う個別アセス方式を採っている。基準値についても、溶出量と含有量のいずれを採るのかといった点や基準値の数値自体についても日本の方式と欧米の方式との差異がある。また、基準値の事業実施時における運用についても日本と欧米との間に差異があるようであるが、実態については現段階では十分明らかになっているとはいえない。
 このような実態を受け、本調査研究では以下の点についての検討を行う。
(1)底質の基準値について国際的な比較、分析を行う。
(2)浚渫土砂の海洋投入処分や養浜等の事業を実施する際に欧米で実施されている物理的、化学的、生物学的なアセスメントとその運用について実態を把握する。
(3)日本における事業実施を踏まえ、国際的に通用する環境影響評価方式を採用する際の課題を抽出する。
 








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