1.調査研究の概要
1−1.調査研究の目的
港湾や海岸の整備に関連して、世界各地で浚渫が行われ、浚渫された土砂(水底土砂)のうちの一部は海洋に投入処分されている。このような事業に関わる国際条約としてロンドン条約(正式名称:廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約)があるが、1996年の改正議定書の採択によって、海洋投入処分する際の底質の評価方法について統一的な手法が導入されることとなった。現在日本では条約への批准を目指して国内調整が行われている。日本では水底土砂の判定基準及び環境影響評価について欧米とは異なる方式によっているが、欧米の方式の詳細については不明な点が多い。本調査研究では欧米での実態や最新の情報を収集するとともに専門家(環境分野及び港湾分野)による委員会での検討を踏まえ、新しい統一的な手法(1996年議定書に示される方法)を日本に導入する際の具体的な手法を開発し、成果を政府及び関係機関に提案する。これにより我が国の底質(水底土砂)の評価方法がグローバルスタンダードな手法へ円滑に移行、港湾・海岸事業の円滑な実施及び船舶の安全な航行に貢献し、もって地球の発展、福祉の向上に寄与することを目的とする。