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8.5 改善
8.5 改善
8.5.1 継続的改善
 組織は、品質方針、品質目標、監査結果、データの分析、是正処置、予防処置及びマネジメントレビューを通じて、品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善すること。
8.5.2 是正処置
 組織は、再発防止のため、不適合の原因を除去する処置をとること。是正処置は、発見された不適合のもつ影響に見合うものであること。
 次の事項に関する要求事項を規定するために“文書化された手順”を確立すること。
a)不適合(顧客からの苦情を含む)の内容確認
b)不適合の原因の特定
c)不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
d)必要な処置の決定及び実施
e)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)
f)是正処置において実施した活動のレビュー
参考 f)における“是正処置において実施した活動”とは、a)〜e)の一連の活動のことである。
8.5.3 予防処置
 組織は、起こり得る不適合が発生することを防止するために、その原因を除去する処置を決めること。予防処置は、起こり得る問題の影響に見合ったものであること。
 次の事項に関する要求事項を規定するために“文書化された手順”を確立すること。
a)起こり得る不適合及びその原因の特定
b)不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価
c)必要な処置の決定及び実施
d)とった処置の結果の記録(4.2.4参照)
e)予防処置において実施した活動のレビュー
参考 e)における“予防処置において実施した活動”とは、a)〜d)の一連の活動のことである。
アンケート結果
◇品質改善/業務改善制度の有無と、運用
運用している41.5% 制度が無い58.5% 回答数299事業所 (回答率58.4%)
 ISOの指す継続的改善とは多少趣きが異なるが、一般的な改善について設問してみた。6割近くの企業が運用していない結果が判明したが、本来企業の発展から考えるとあまり好ましい状況ではないであろう。
◇クレーム対応管理制度の有無と、その運用
運用している47.9% 制度が無い52.1% 回答数305事業所 (回答率59.6%)
 過半数の企業で制度が無いことが判明した。顧客である元請との濃密な関係からこのような結果が出たのであろう。緊急時に対する対応は、企業経営上も非常に重要な行為であることから、その導入が望まれる。
8.5.1 継続的改善
(1)「継続的改善」とは、用語を定義したISO9000では「要求事項を満たす能力を高めるために繰り返し行われる活動」と定義されるが、要を得ない。そこで、ISO9001規格自体の要求事項を体系化すると、「品質マネジメントシステムの有効の継続的な改善」に関しては、以下の体系になる。それは、計画段階で継続的改善を志向した計画がなされ、実施段階では継続的改善に有用なデータが集められ、検証段階では継続的改善を行うレビューがなされるといった体系である。これは、「以下の体系」=「継続的改善の体系」とすることができるものであり、最初から組み込まれているのである。これを提示して「継続的改善」のシステムとするのもよい。

計画 5.3 品質方針b) ・・・品質マネジメントシステムの有効の継続的な改善に対するコミットメント
5.4.1 品質目標 ・・・品質方針との整合性がとれてること(=継続的改善が含まれている)
実施 8.4 データの分析 ・・・品質マネジメントシステムの有効性の継続的な改善の可能性を評価するために適切なデータを明確にし…
検証 5.6.3 マネジメントレビューからのアウトプットa) 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善

(2)ここで、上記(1)に更に補強したシステムを提示してみる。参考にされたい。
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8.5.2 是正処置
8.5.3 予防処置
(1)「是正処置」及び「予防処置」に関して、次項(2)の通り、処置そのものの手順は類似するが、その処置を講ずる対象の違いが、分かりづらいので以下に、ISO規格の定義と併せて解説する。

区分 処置「対象」定義(ISO9000) 「是正処置対象」
「予防処置対象」の解説
是正処置対象 検出された不適合又はその他の検出された望ましくない状況 手順・規格・基準に適合していない「仕組み」「要員の行為」(既に起こってしまっている)
予防処置対象 起こり得る不適合又はその他の望ましくない起こり得る状況 現在は手順・規格・基準に適合しているか、発生していないが、将来起こり得る可能性のある不適合事項

(2)上記それぞれの「対象」に対する「是正処置」及び「予防処置」の管理概要は以下の通りである。
是正処置・予防処置管理概要
内容
確認
是正
対象
要求事項に適合しない事項(顧客苦情含む)を検出した場合においてその内容を確認し責任者に報告する体系。また、責任者がそれを受理する制度も必要であろう。
予防
対象
将来的には不適合が発生する恐れのある事項を検出した場合における内容確認。上記是正処置と同様の体系が必要。受理制度はこの予防の場合は特に機能する。
原因
究明
是正
対象
何が原因で不適合事項が発生しているかを究明する仕組みが必要。原因が解明されていないと、次の恒久対策案が作成できない。処置対策で一番重要な箇所である。
予防
対象
将来的には不適合が発生する恐れのある事項の原因を究明する仕組み。また、処置にコストがかかる場合が多い場合には実証の仕組みがあると便利である。
処置
決定
是正
対象
[1]不適合事項に対する「再発防止処置計画」の検討。以下事項を満足する。
◇恒久対策であること◇発見された不適合の影響に見合う程度の処置であること
[2]上記処置計画に対する内容の適切性及び処置の必要性に対する評価。
[3]上記[2]にて問題がない場合には処置計画を承認し処置が決定される。
予防
対象
[1]不適合事項に対する「予防処置計画」の検討。以下事項を満足する。
◇恒久対策であること◇起こり得る問題の影響に見合う程度の処置であること
[2]上記処置計画に対する内容の適切性及び処置の必要性に対する評価。
[3]上記[2]にて問題がない場合には処置計画を承認し処置が決定される。
処置
実施
是正
対象
再発防止計画に従った処置の実施。尚、処置実施に当り同類同種もしくは過去に遡り是正処置を講じる場合の仕組みもあると更に良い。必ず実施記録をとる。
予防
対象
予防処置計画に従った処置の実施。尚、コストの許す限り、是正処置と同様な遡及処置の仕組みがあると良い。
上記活動に対するレビュー 是正
対象
上記一連の是正処置活動は全て記録がとられ、レビュー(見直し)される。実施された処置に対するこの見直しが完了して、一連の処置活動は完了する。
予防
対象
上記一連の予防処置活動は全て記録がとられ、レビュー(見直し)される。実施された処置に対するこの見直しが完了して、一連の処置活動は完了する。








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