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8.2.3 プロセスの監視及び測定
8.2.3 プロセスの監視及び測定
 組織は、品質マネジメントシステムのプロセスを適切な方法で監視し、適用可能な場合には、測定をすること。これらの方法は、プロセスが計画どおりの結果を達成する能力があることを実証するものであること。計画どおりの結果が達成できない場合には、製品の適合性の保証のために、適宜、修正及び是正処置をとること。
8.2.4 製品の監視及び測定
 組織は、製品要求事項が満たされていることを検証するために、製品の特性を監視し、測定すること。監視及び測定は、個別製品の実現の計画(7.1参照)に従って、製品実現の適切な段階で実施すること。
 合否判定基準への適合の証拠を維持すること。記録には、製品のリリース(次工程への引渡し又は出荷)を正式に許可した人を明記すること(4.2.4参照)。
 個別製品の実現の計画(7.1参照)で決めたことが問題なく完了するまでは、製品のリリース(出荷)及びサービス提供は行わないこと。ただし、当該の権限をもつ者が承認したとき、及び該当する場合に顧客が承認したときは、この限りではない。
アンケート結果
◇品質マネジメントシステム中のプロセス監視測定の有無と、その運用
運用している19.4% 制度が無い80.6% 回答数279事業所 (回答率54.5%)
 これも認証取得、それも2000年度版による運用でもしていないと該当しない制度である。但し、認証取得では必須であり、その機能はシステム運用上の要とも言えるため、導入が望まれる。
◇製品/成果監視・測定制度の有無と、その運用
運用している34.7% 制度が無い65.3% 回答数288事業所 (回答率56.3%)
 製造した“製品”及び工事やサービスで提供した“成果”を監視及び測定し検証することは、企業運営上、必須の行為である。そのことから、3分の2の企業で制度が無いという今回の結果は、改善すべきであると言える。
 
(1)まず「8.2.3 プロセスの監視及び測定」と「8.2.4 製品の監視及び測定」を明確にするため以下に図を掲示する。行動時間や時期が異なることも分かるが、それ以上に対象が異なることに注目したい。「プロセス」は工程の稼動や状態を指すのである。
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(2)プロセスに対する監視・測定としては、以下の内容が想定される。

区分 監視・測定分類 参考事例
包括的
監視
A.人間の目視・内容確認による包括的な監視 ◇管理者による直接監視(要監視記録)
B.監視機器使用による包括的な監視 ◇敷設カメラの画像映像に対する監視
サンプリング測定 C.人間の人力による試料のサンプリング及びそれらの測定 ◇検査担当者による工程中時期・契機を設定しないサンプリング検査
D.サンプリング測定可能な測定装置によるサンプリング測定 ◇機械的な抽出方式による検査
連続
測定
E.連続測定可能な測定装置による連続測定 ◇地震の連続測定機による連続測定
◇CCD探傷装置による連続測定検査

(3)前頁(2)を、4業種に適用させると、Aが主体となり、若干鉄構業でBやCが適用される会社が出てくる可能性があるようである。
(4)これら「プロセスの監視及び測定」によって、プロセス上の不具合が検出された場合には、以下に従い対策することになる。

不具合の状態 対策
「7.1製品実現計画」内容レベル 当該計画書を修正することで対応する。
プロセス自体の不具合・欠損 プロセスに対する“恒久対策”が必要となることから、「8.5.2 是正処置」もしくは「8.5.3 予防処置」が必要となる。

(5)この項目の適用に関して、「測定」機能が存在する場合には、次項「8.2.4 製品の監視及び測定」における「検査」同等の管理手順が必要となるが、「監視」機能のみならば必要としない。
8.2.4 製品の監視及び測定
(1)この要求事項は、「7.5 製造及びサービス提供」において生み出された「製品」「サービス成果」もしくはその途中の「半製品」「サービスを構成する部分的な成果」に対する「検査」と考えてよい。
(2)「検査」に関して手順化する場合、製造及びサービス提供プロセスに対してどの時点で行うものかということも、その手順化においては重要である。この時期の区分によって行われる検査の内容やその後の検査手法も変わることもある。以下にその種類を提示するが、名称・機能は会社によって異なるものと理解されたい。

検査種類 検査内容
工程直前
検査
製造・サービス提供の工程に入る前に行われる「直前検査」。購買物品や購入サービス成果に対して行う。事後の検査に依拠して割愛する場合も多い。
工程内
検査
「工程直前検査」と「最終検査」の間に行われる検査。工程いかんでは割愛する場合も多い。その内容・範囲・程度・頻度は会杜の判断で設定する。
最終検査 製造・サービス提供の工程が存在する限り、実施しなければならない検査。この検査によって、製造・サービスの最終的な品質保証程度が決まると言える。

(3)「検査」の手順としては、以下の項目の明確化が必要となる。機能的に統合され割愛される項目もあるが、業種・業態による差異よりも、会社ごとの考え方による違いも大きい。

手順化事項 内容説明
契機・時期 検査開始の契機(きっかけ)や時期を明確にする。
検査対象範囲 検査対象が何であって、どのような範囲までを検査するのかを設定する。
対象抽出方式 検査対象を抽出するのは全て(全数)なのか、サンプリングなのか。もし、サンプリングならば、サンプリング方式がどのようなのかも設定する。
検査方式・手法 検査の方式や手法がどのようなのかを明記する。機器や装置を使用するならば、その操作・使用方法も明記する。
使用機器・装置 検査に際して、検査機器や装置を使用する場合には、その機器・装置を特定する。
合否判定基準 検査においては、対象の状態が“合格(適合)”“不合格(不適合)”なのかを明確にする必要があり、その基準が必要である。
対象の識別 「検査前」「検査中」「検査後」の対象事態の識別管理を明記する。
検査後の処置 検査後における“合格”“不合格”それぞれの処置対応について明記する。

(4)「(半)製造・サービス」を次工程へ引渡しを行ったり、顧客へ出荷・引渡しを行う場合には、検査種類も承認印も含めて完備していなければならないということに注意したい。








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