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解説
7.1 製品実現の計画
(1)「製品実現の計画」は何故、規格で要求しているかと言うと、この構築するQMSにおける各種文書類は、非常に特定の「設計図書」や横断的に業務を綴った「手順書」などのように多岐に渡り、もし個々の仕事をこなす場合に、それらがどのように適用されるかが分からない。規格では逆の理由(個々の製品をプロセスを明確にした方法で計画する云々としている)からこの項目を規定しているようであるが、現実的な問題として、手順書や基準を適用する場合には、その一部しか適用されないことが多い。そのことを解する仕組みが、この「製品実現の計画」である。前頁にこの計画と各種文書類との相関関係を記載したので、参考にしてほしい。
<製品実現計画の他文書類との相関図>
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(2)この計画書の書式は、都度詳細を立案するか、もしくは全体を当初から標準化しておいて工程その他を選択する方法の2種類ある。薦めるのは当然、後者であるが、業務内容が建設やソフトウェアの開発のように、プロジェクト活動にあっては、都度内容を初めから計画する場合もあるかもしれない。
(3)この計画でひとつだけ問題点がある。それはその計画すべき事項において、「設計・開発」における計画事項が、「7.3.1設計・開発の計画」という事項があるためダブってしまっているのである。これはISOの規格自体の問題であるが、適用するためにはどちらかに合わせるか統合する形で、その整合を図らなければならないであろう。
(4)規格において要求された製品実現の計画の項目は以下のとおり。

規格要求事項
(意味合い的に分割)
コメント
a1)“製品に対する品質目標” 製品・サービスごとに設定される品質目標であるが、一般的には、当該の設計文書や手順書に記されていることが多く、計画書ではその関連を示すような表記になるであろう。
a2)“製品に対する要求事項” 製品・サービスごとに設定される要求事項であるが、やはり、当該の設計文書や手順書に記されていることが多く、計画書ではその関連を示すような表記に同じようになるであろう。
b1)“製品に特有なプロセス&文書の確立の必要性” これらも上記と同じく、当該の設計文書や手順書に記されていることが多く、計画書ではその関連を示すような表記に同じようになるであろう。
b2)“製品に特有な資源の提供の必要性” 物品や外注などについては上記と同じ方法で表記すれば良いが、人的資源については、当該の技能者や職位を計画書中に示す必要がある。
c1)“当該製品用検証・妥当性確認・監視・検査・試験活動 「7.3.4設計・開発のレビュー」「7.3.5設計・開発の検証」「7.3.6設計・開発の妥当性確認」「7.4.3購買製品の検証」「8.2.3プロセスの監視及び測定」「8.2.4製品の監視及び測定」が該当する。
c2)“当該製品用製品合否判定基準” 規格の表記通りであると、上記のうち、「8.2.3プロセスの監視及び測定」及び「8.2.4製品の監視及び測定」のみが該当する形となるが、合否判定基準そのものとしては残りの各検証においても存在するため、これらにも言及した内容の方が現実的である。








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