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5.4 計画
5.4.1品質目標
(1)“品質目標”(Quality objective)の目標を表す“objective”という言葉には、数値目標という程の具体性はないが、比較検討が可能な程度の表現のある目標という意味合いがある。しかし、今回「5.4.2品質マネジメントシステムの計画」という要求事項があることから、進捗管理が可能な程度の具体的な数値化が必要となるものと判断される。<詳細事例は「品質マニュアル」事例参照>
(2)規格では、relevant function and levelsという原文を、“それぞれの「部門」及び「階層」”と訳しているが、levelsを「階層」と訳すのは適切として、functionに対しては意訳が過ぎるかどうかの検討が出てくる可能性がある。Functionは英語の原意では「機能」というべき言葉であって、せいぜい意訳では「役割」というのが妥当だろう。「部門=機能」という機能ごとに区分された組織体系をもった会社なら良いが、今の時代、複数の役割機能を各部門ごとに担わないというのは有り得ないのではなかろうか。
(3)上記(2)において問題になってくるのは、規格には“relevant function and levelで品質目標が設定されていることを確実にする”という項目があり、functionごとに品質目標を設定しなければならなくなってくることである。そこで、このfunctionという言葉についての捉え方が出てくるのであるが、JISQ9001(JIS訳)の通り「部門」でよいとする立場の認証機関であるなら、「部門」ごとの設定でよいが、もし、英語の原意に忠実に捉える認証機関であった場合、「部門」ではいけないという可能性が出てくる。認証機関に見解を聞くなりして対処する必要がある。
(4)「relevant function and levelごとの品質目標」は、規格にも品質方針との整合性が規定されているが、これは組織全体の「品質方針」及び「品質目標」に対して、展開され整合がある内容でなければならない。
5.4.2品質マネジメントシステムの計画
(1)「品質マネジメントシステムの計画」は以下の2種類が存在する。以下を参考にされたい。

[1]品質マネジメントシステム計画
  <品質目標の満足版>
「品質目標を満足させる計画」ということは、その進捗も含めた管理を求めた計画となる。従って、以下のような管理項目を設定したような計画になると考えられる。
◇要員◇実施手段◇必要設備・計器
◇必要部材◇経費
進捗管理のためにそのチェック時期も明示する形になるものとも考えられる。但し、半年毎のチェックとしても管理体系等において必要十分であれば問題ないであろう。
[2]品質マネジメントシステム計画
  <4.1一般要求事項の満足>
これは、QMS自体を対象にした計画となってしまっている。4.1で要求された事項はQMSの包括的な実施について冒頭に述べた箇所である故この4.1の満足という要求事項はこの「システム全体の計画」を指してしまったとして捉えるのが妥当であろう。そのように捉えた場合、計画自体は全ての文書・マニュアル類となってしまう。これらこそがシステムの有り様を示すものであり、計画書である。従って、この項目に対しては、この文書・マニュアル全体が計画書であり、これをマネジメントシステム等の規格に組み込まれた仕組みに従って計画を運用するという説明になるであろう。








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