第9章 施工
9.1 適用の範囲
本章は、第1〜8章の規定に基づいて設計された浮体構造物の施工について適用する。
9.2 鋼殼
図解−9.1に一般的なRCハイブリッド浮体の鋼殻施工要領例を示す。
図解−9.1 浮体の鋼殻施工要領例
9.3 コンクリート
超軽量コンクリートは、土木学会のコンクリート標準示方書(施工編)に従って施工することを原則とする。
【解説】
超軽量コンクリートは、土木学会のコンクリート標準示方書(施工編)に従って施工してよい。超軽量コンクリートを施工する場合の特記事項を次に示す。
(1) 骨材の管理
a) 骨材を取り扱う時は、破砕しないよう、大小粒が分離しないよう、普通骨材、ごみ、雑物等が混入しないようにしなければならない。
b) 超軽量コンクリートは、練り混ぜ前の骨材の含水率により、その性状が異なるため、示方された骨材の含水率に応じなるべく一定となるように管理しなければならない。
(2) 打ち込み
コンクリートの打ち込みは、材料分離がなるべく少ない方法で行わなければならない。軽量コンクリートにおける分離は、モルタルが沈下し粗骨材が上へ浮いてくる傾向によって生じることが多い。これは普通コンクリートの分離の傾向と逆であるので、この点に特に留意する必要がある。
(3) 締め固め
内部振動機を用いる場合は、締め固める1層の高さ、振動時間、挿入間隔等について、適切な方法を定めなければならない。超軽量コンクリートの場合も普通コンクリートと同様に、振動がかけ足りないよりも、かけ過ぎる方が一般によい結果が得られる。しかし、あまり振動をかけ過ぎると粗骨材が上へ浮いてくる場合もあるので注意する必要がある。
図解−9.2に鋼殻完成後の一般的なコンクリート施工のフローを示す。また、
資料2.に、超軽量コンクリートの施工試験結果の例として、単位体積質量1400kg/m
2の超軽量高流動コンクリート及び単位体積質量1900kg/m
2の軽量コンクリートを浮桟橋側壁の実物大模型に打設した結果を示す。いずれも良好な結果が確認された。
図解−9.2 コンクリート施工フロー図
9.4 進水方法
一般にドック注水方式、クレーン吊上げ方式がとられている。
9.5 製作精度
RCハイブリッド浮体構造物については、港湾工事共通仕様書のケーソンの基準を参照して以下の基準に従っている場合が多い。
表−9.1
項目 |
RCハイブリッド
(コンクリート打設後) |
連絡橋 |
許容誤差(mm) |
許容誤差(mm) |
全長L(m) |
-10mm〜+30mm |
±(10+L/10) |
幅 B(m) |
〃 |
±(3+B/2) |
高さ H(m) |
〃 |
±3 |
鉛直度 |
― |
3+H/1000 |
主桁のそり |
― |
5+L/5 |
【解説】
連絡橋の製作精度については、道路橋示方書が参考にできる。
9.6 塗装
(1) 塗装条件
気温が5℃以下の場合、相対湿度が85%以上の場合、塗膜乾燥前に降雨の恐れがある場合、鋼材の表面が湿気を帯びている場合、炎天で鋼材の温度が高く、塗装面に泡を生じさせる恐れがある場合等は、塗装を行ってはならない。
(2) 錆落とし、清掃
本内容については、道路橋示方書・同解説15.7項に適合しなくてはならない。
【解説】
(2)について
(1) 鋼材の表面は、塗装作業に先立ち、錆、黒皮、ごみ、油類その他の付着物を十分除去しなければならない。
(2) 錆落としを完了した鋼材および部材が塗装前に錆を生じる恐れがある場合は、プライマーなどを塗布しておかなければならない。