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第6章 安全性に対する性能照査
6.1 静的安定性の検討
 「港湾の施設の技術上の基準・同解説(平成11年4月)」の「12.3.3 ポンツーンの安定」に従い、安定性を検討する。なお、この際、2.4節(4)その他の荷重も考慮する。
【解説】
 検討方法
 港湾の施設の技術上の基準・同解説に準拠した検討例を下記に示す。
ケース名 状   態
ケース1 上床版上に上載荷重1)を満載した場合
ケース2 ポンツーンの長手方向及び、短手方向の片側半分にそれぞれ上載荷重を満載した場合
ケース3 ケース1の状態に、全区画がポンツーンの高さの10%浸水した場合
注)上載荷重は一般に大型、中型浮体構造物が5kN/m2(0.5tf/m2)、小型浮体構造物が2kN/m2(0.2tf/m2)〜3kN/m2(0.3tf/m2)
ケース1)
 連絡橋の支点反力やカウンターウェイト等を考慮し、床版上に分布荷重を満載した場合、浮体の安定条件を満足し必要な乾舷を有すること。ここでいう必要な乾舷とは、対象浮体の乾舷、浮体床版上の利用状況や対象波高等を勘案して設定されるものである。
 浮体が、等分布荷重を受ける場合には、次式を満足すれば安定である。
 
z1029_03.jpg
 
ここに、
I : 吃水面の長軸に対する断面二次モーメント(m4)
W2 : 浮体と等分布荷重の重量(kN)
ω : 海水の単位体積重量(=10.1kN/m3)
C : 浮心
G : 重心
 
ケース2)
 浮体の長手対称軸のいずれか一方の床版上に分布荷重を満載した場合、また、この側に連絡橋等があれば、さらに、その反力を加えた上で浮体の安定条件を満足し、床版の傾斜が1:10以下で小さいほうの乾舷が0以上であること。
 式(1)を解いて求めたtanαが、式(2)を満足すれば良い。
 ただし、一般にαは小さいので、式(1)の中のcos2αは近似的に1−tan2αとしてよい。
[1] 単胴型浮体の場合
z1030_01.jpg
図解−6.1 偏心荷重を受ける単胴型浮体の安定
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ここに、
W1: 浮体重量(N)
P: 偏心荷重合力(N)
B: 浮体の幅(m)
h: 浮体の高さ(m)
d: Pを中心に載荷した場合の浮体の吃水(m)
c: 浮体の重心の底面からの高さ(m)
a: Pの浮体の中心軸からの偏心量(m)
α: 浮体の傾斜角(ラジアン)
 
ケース3)
 床版上に分布荷重を満載し、かつ、フロート内部の一区画に浸水(浸水高は浮体全高の10%とする)した状態の場合、浮体の安定条件を満足し小さいほうの乾舷が0以上であること。ただし、フロート内部に発泡材等を充填する場合はその効果を考慮して浸水高を決めることができる。
 浮体内に浸水している場合には、次式を満足すれば安定である。 ただし、W2、I、C、Gは浸水した状態におけるものとする。
z1031_01.jpg
ここに、
i: 各区画内の水面の浮体の回転軸に平行な中心軸に対する断面2次モーメント(m4)
6.2 浮体構造物の全体強度
 浮体は、その供用時、製作、曳航、据付時に対し十分な縦曲げ強度、水平強度、ねじれ等の全体強度を有さなければならない。
【解説】
 浮体の全体強度につき、代表的な照査荷重状態を図解−6.2に示す。
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図解−6.2 浮体全体強度の代表的な照査荷重状態
6.3 設計断面力の算定
 設計断面力は「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に従い設計するものとする。
(1) 床版
 床版は次の荷重のうち、最も大きな応力を与える荷重に対して、受梁及び側壁で固定された四辺固定の二方向版として設計することを標準とする。
 a) 積載荷重のみ作用する時
   (積載荷重)+(自重)
 b) 活荷重が作用する時
   (活荷重)+(自重)
 c) 連絡橋の支点が載る時(調節塔のない場合)
   (連絡橋の支点反力)+(自重)
(2) 側壁
 側壁は浮体上端が水中に0.5m沈んだ場合の静水圧及び波圧力に対して、床版、底版及び側壁または受梁で固定された四辺固定の二方向版として設計することを標準とする。
(3) 底版
 底版は浮体上端が水中に0.5m沈んだ時の静水圧及び波圧力に対して、側壁または受梁で固定された四辺固定の二方向版として設計することを標準とする。
(4) 隔壁
 隔壁は一区画に浸水が充満した場合の水圧に対して、四辺固定の二方向版として設計することを標準とする。
【解説】
(1) 浮体の局部強度を検討する船舶の接岸力は8.1解説(1)で規定する防舷材反力を用いるものとする。
(2) 側壁及び側壁端壁は、次のような荷重に対して設計する。
z1033_02.jpg








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