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第5章 材料
5.1 材料の単位体積重量
 各材料の単位体積重量は表−5.1に示すものを標準とする。ただし、重量の明らかなものはその値を用いるものとする。
表−5.1 材料の単位体積重 量単位(kN/m3)
材  料 単位重量 材  料 単位重量
鋼・鋳鋼・鍛鋼 77.0 アスファルトコンクリート舗装 22.6
ステンレス(SUS304) 77.7 砂、砂利、栗石 湿潤18.0
飽和20.0
鉄筋コンクリート 24.0 海水 10.1
プレストレストコンクリート 24.5 淡水 9.81
無筋コンクリート 22.6    
超軽量コンクリート 12〜16    
【解説】
 超軽量コンクリートの単位体積重量は、2.4項に示したように、使用する超軽量コンクリートの単位容積質量の実測値等を用い適切に定める。
5.2 鋼材
5.2.1 鋼材の材料定数
 使用する鋼材は、日本工業規格(JIS)に適合するか、またはこれと同等の品質を有するものとし、設計計算に用いる鋼材の材料定数は標準の値とする。
【解説】
表解−5.1 鋼材の規格と名称
規格、及び名称 記 号 備 考
JIS G 3101
JIS G 3106
一般構造用圧延鋼材
溶接構造用圧延鋼材
SS400
SM400,SM490,
SM490Y,SM520
構造用鋼材
JIS G 3112 鉄筋コンクリート用棒鋼 SR235,SR295
SD295A,SD295B
SD345,SD390
鋼棒
表解−5.2 鋼材の材料定数
種  類 材料定数の値
鋼材のヤング係数
鋼材のせん断弾性係数
ポアソン比
200kN/mm2
77kN/mm2
0.30
表解−5.3 鋼材の材料強度の特性値
鋼材の材料強度の特性値(N/mm2)
鋼 種 SS400,SM400 SM490 SM490Y,SM520
引張(圧縮)降状強度 fyk 235 315 355
せん断降状強度 fvyk 135 180 205
鉄筋の材料強度の特性値(N/mm2)
棒鋼の種類 SR235 SR295
SD295A,
SD295B
SD345 SD390
引張(圧縮)降状強度 fyk 235 295 345 390
せん断降状強度 fvyk 135 170 200 225
5.2.2 鋼材の設計強度
 
 鋼材の設計強度fdは、強度の特性値fkを鋼材の材料係数γsで除したものとする。
 ・設計引張降状強度   fyd=fyks
 (5.2.1)
 ・設計圧縮降状強度   f’yd=fyks
 (5.2.2)
 ・設計せん断降状強度   fvyd=fvyks
 (5.2.3)
【解説】
 鋼材部の設計などにおいて鋼材の座屈を考慮する必要がある場合には、その項において定められた設計強度の規定に従うものとする。
5.2.3 応力―ひずみ関係
(1)SRC部材及び鋼部材の鋼材の応力―ひずみ関係は、引張側鋼材、圧縮側鋼材ともに図−5.1に示すものを用いる。
(2)合成版部材の鋼板の応力―ひずみ関係は、引張側鋼材と圧縮側鉄筋については、図−5.1によることとし、圧縮側鋼板については、局部座屈を考慮して、圧縮降状応力度の低減を適切に行う。
 
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図−5.1 鋼材のモデル化された応力―ひずみ曲線
5.3 コンクリート
5.3.1 コンクリートの規格
普通コンクリート: 日本工業規格(JIS A5308)レディーミクストコンクリートを用いるのを標準とする。
超軽量コンクリート: 2.4項に述べた規格を満足するものとする。
【解説】
 本節に示されていない材料についても、日本工業規格(JIS)に示されているものを使用してよい。
5.3.2 使用する超軽量コンクリート
(1) コンクリート材料は次に示す材料を用いるのを標準とする。
 a)セメントはJISR5210、JISR5211、JISR5212、JISR5213に適合するものとする。
 b)水は油、酸、塩類、有機不純物、懸濁物等、コンクリート及び鋼材の品質に悪影響を及ぼす物資の有害量を含んでいないものとする。
 c)骨材は「コンクリート標準示方書(土木学会)」に適合するものとする。
 d)混和材料は「コンクリート標準示方書(土木学会)」に適合するものとする。
(2) コンクリートの材料定数は、実験あるいは既往のデータに基づいて定めることを原則とする。
【解説】
(2)について コンクリートの材料強度、材料定数は、5.3.1、5.3.3、5.3.4に従う。
5.3.3 超軽量コンクリートの材料強度の特性値
 超軽量コンクリートの材料強度の特性値は、実験あるいは既往のデータに基づいて定めることを原則とする。
【解説】
 超軽量コンクリートの特性値として、「平成12年度高性能軽量コンクリートを用いた港湾構造物検討調査報告書(国土交通省 北陸地方整備局 新潟港湾空港技術調査事務所)」より抜粋して示す。
(1) 圧縮強度の特性値
 コンクリートの圧縮強度の特性値は、原則として設計基準強度f’ckとしてよい。
(2) 引張強度の特性値
 コンクリートの引張強度の特性値f’ck(設計基準強度)に基づいて式(5.3、1)により求めてよい。
   ftk=η1・0.23f’ck2/3
(5.3.1)
   η1=(ρ/2300)1/2
   ρ:使用する超軽量コンクリートの単位容積質量(kg/m3)
 
(3) 付着強度の特性値
 コンクリートの付着強度の特性値fbokは、圧縮強度の特性値に基づいて式(5.3.3)より求めてよい。
   fbok=η1・0.28(f’ck)2/3
(5.3.3)
 ただし、 fbok≦η1・4.2N/mm2
     η1=(ρ/2300)1/2
     ρ:使用する超軽量コンクリートの単位容積質量(kg/m3)
 
 ただし、かぶり厚が薄く鉄筋に沿った割裂破壊が懸念されるときは別途検討するものとする。
5.3.4 ヤング係数及びポアソン比
 コンクリートの材料定数は、実験あるいは既存のデータに基づいて定めることを原則とする。
【解説】
(1) コンクリートのヤング係数は、原則として土木学会規準「コンクリートの静弾性係数試験法」によって試験を行い、応力―ひずみ曲線を求め、圧縮強度の1/3の点とひずみが50×10−6の点とを結ぶ割線弾性係数の試験値の平均値とする。
(2) コンクリートのヤング係数Ecは、式(5.3.4)により求めてよい。(「平成12年度 高性能軽量コンクリートを用いた港湾構造物検討調査 報告書(国土交通省北陸地方整備局 新潟港湾空港技術調査事務所)」による)
 
  Ec=η2・8500(f’ck)1/3
(5.3.4)
     η2:普通コンクリートに対する低減係数
       η2=(ρ/2300)3/2
    ρ:使用する超軽量コンクリートの単位容積質量(kg/m3)
(3) 繰返し荷重を受ける場合、あるいは作用する応力度が小さい場合、初期弾性係数に近い値を示すので、一般に式(5.3.4)で算出した値を10%程度割増してもよい。
(4) 資料集に示した超軽量コンクリートの試験値と上式による計算値との比較例を表解−5.4に示す。いずれの値も試験値が計算値を上回っており、上記の計算式によれば安全側の値を与えることが確認できる。
表解−5.4超軽量コンクリートのヤング係数の比較
  f'ck(N/mm2) ftk(N/mm2) fbk(N/mm2) Ec(x104N/mm2)
計算値 30 1.8 3.3 1.4
資料集の試験値 (30) 2.8 4.4 1.5
普通コンクリート 30 2.2 4 2.8
注)普通コンクリートの値は、土木学会のコンクリート標準示方書による。
(5)コンクリートのポアソン比は、弾性範囲内では一般に0.2としてよい。
(6)超軽量コンクリートの熱特性は、実験あるいは既往のデータに基づいて定めることを原則とする。なお、コンクリートの熱膨張係数は、一般に10×10−6/℃としてよい。 超軽量コンクリートの熱特性は、骨材の特性によって大きく影響され、また、同一配合のコンクリートでも、その含水状態や温度によってかなりの幅で変動する。参考のために、高性能軽量骨材を絶乾状態で用いた超軽量コンクリートの熱特性に関する実験結果を表解−5.5に示す。この実験結果から、超軽量コンクリートは、普通コンクリートに比べて熱伝導率、熱拡散率、熱容量が小さくなるが比熱および熱膨張率は大差ないことが分かる。一方、吸水率が大きい従来の軽量骨材はプレウェッチングして使用することを前提としているため、比熱および熱容量が大きくなっている。
表解−5.5 コンクリートの熱特性に関する実験結果
種  別 密度
(kg/m3)
熱伝導率
(W/m・℃)
熱拡散率
(m2/h)
比熱
(kJ/kg・℃)
熱容量
(kJ/m3・℃)
熱膨張率
(×10-6/℃)
1)超軽量
γ=1.2
1290 0.535 0.00131 1.140 1470 10.8
2)超軽量
γ=1.5
1570 0.722 0.00168 0.985 1550 10.0
3)超軽量
γ=1.8
1820 1.099 0.00223 0.975 1770 9.9
4)普通コンクリート 2300〜
2400
2.60〜2.80 0.0030〜
0.0040
1.05〜1.26 2700程度 6〜13
5)従来の軽量 1600〜
1900
1.28〜1.63 0.0014〜
0.0020
1.68〜1.80 2900程度 6〜9
5.3.5 応力―ひずみ関係
(1) 曲げモーメントおよび曲げモーメントと軸方向力を受ける部材の断面破壊の終局限界状態に対する検討においては、図−5.2に示したモデル化された応力―ひずみ関係を用いてよい。
(2) 使用限界状態に対する検討においては、コンクリートの応力―ひずみ関係を直線としてよい。この場合のヤング係数は、5.3.4に従って定めるものとする。
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図−5.2 設計に用いる応力―ひずみ関係
5.4 鋼材の防食
 金属材料の腐食に対して必要な措置を講じなければならない。
【解説】
 鋼材の防食に関しては、防食・補修マニュアル(沿岸開発技術研究センター)を参考に決定する。
5.5 ずれ止め
(1) 鋼板と鉄筋コンクリートとの一体化に使用するずれ止めには、十分信頼性のある材料を使用するものとする。
(2) ずれ止めにスタッドを用いる場合は、頭付きスタッドを原則とする。
(3) スタッドの溶接に従事する溶接工はスタッド溶接協会技術検定委員会により実施される検定試験に合格し、技術資格を有する者でなければならない。
【解説】
(1)について ずれ止めにはスタッドが広く用いられるが、形鋼や鉄筋などの剛材によるずれ止めの採用も可能である。ずれ止めとしては、JISB1198で規定される頭付きスタッドあるいはJIS規格に適合する形鋼及び鉄筋を用いることを標準とする。
(2)について 頭付きスタッドは、JIS B 1198に規定される形状・寸法のスタッドを用いることを原則とする。頭付きスタッドの形状を図解−5.1に示す。これまでの施工例では、頭付きスタッドの標準的なサイズとしてφ16x100、あるいはφ19x100程度のものが使用されている。
スタッドの軸径dと鋼板厚tとの関係は、施工性からd≦3tを満足するように選定することを標準とする。また、スタッドの最大間隔は、一般に版厚程度(ただし、60cmを超えない)とする。最小間隔は一般に8cm以上とする。
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図解−5.1 頭付きスタッドの形状
呼び名 軸径d 頭部直径D 頭部厚T
(最少)
首下の丸み r
13 13 22 10 2以上
16 16 29
19 19 32
22 22 35
 
 なお、ずれ止めに形鋼を用いた場合については、「複合構造物設計・施工指針(案)」等を参考にして、設計せん断強度を求めてよい。








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