2.49 A2§4.1.5 地域の境界付近における転換期の運用モード
2.49.1 提案する明確化の文言
AIS装置は、地域の境界の5海里以内、または、転換域(表35を見ること)に位置している時は、2チャンネル転換域運用モードヘ、自動的に切り換わるべきである。このモードにおいては、AIS装置は、当該AISが入り込んだ地域に特定されている基本AIS周波数で送信し受信すべきである。また、最寄りの隣接地域の基本AIS周波数においても、送信し受信すべきである。
送信機は、1台だけが必要である。更に、第4.1.2項で規定されている二重チャンネル運用については、報告率が通報16によって指定されている場合を除き、このモードで運用している時は、報告率は、2倍にされ、二つのチャンネルの間で(相互送信モードにより)分担されるべきである。AISは、転換期モードに入りつつある時は、丸1分間に亘っているフレームの間、現在のチャンネルを送信用に使用し続け、その間に、受信機の1台を新しいチャンネルへ切り換えるべきである。TDMAアクセスの規則は、現在のチャンネルの各スロットを空にし、新しいチャンネルの各スロットへアクセスする動作に適用されるべきである。この転換期の動きは、チャンネルが変わりつつある時にのみ必要である。
地域の境界は、この2チャンネルによる転換期運用モードが、できる限り簡単で安全に達成されることができるような方法で、担当機関により確立されるべきである。例えば、どのような地域境界の交叉域においても、3地域を超える隣接地域を含むことは避けるように注意が払われるべきである。この意味において、公海域は、ディフォルトの運用設定値が適用される地域である、と考えられるべきである。移動体のAIS局は、地域の隅が互いに8海里以内にある隣接地域運用域を持っていて3種類の異なっている地域運用設定値がある場合は、チャンネル管理命令はどれをも無視すべきである。
各地域は、できる限り大きい範囲にされるべきである。実際上の目的においては、各地域間で転換を安全に行なわせるようにするためには、各地域は、何れの境界面についても、20海里未満の短い距離になるべきではなく、また、200海里を超える長い距離になるべきでもない。受け容れ得る地域境界及び受け容れられない地域境界の例が、図19a及び19bに図解されている。
図19a
図19b
2.49.2 明確化の根拠
地域運用域の隅についての情報は、移動局がチャンネル管理入力を受信している時は、当該局により簡単に点検されることができる。担当機関により定義されており基地局により放送されている地域運用域は、正確であると想定され得る(責任者は担当機関である)が、移動局は、手動入力によりまたは船舶に搭載されているシステムにより設定することもできる。これらの情報源からのものが誤った地域運用域となるのを避けるために、明確化が必要とされた。8海里は、転換域の最大のサイズから導き出されたものである。
2.49.3 修正の日付: 2001年10月
2.49.4 所見
この明確化は、移動局が影響を受けるという限りにおいて、船舶に搭載される等級A移動体用AIS局についての設計と試験とに、既に、取り込まれている。この明確化に対して今後変更を行う場合は、何れも、将来に遺る問題を作り出さないように配慮すべきである。
2.50 A2§4.1.6 手動入力によるチャンネル管理
2.50.1 提案する明確化の文言
手動入力によるチャンネル管理には、地理上の範囲が、当該範囲で使用するために指定されているAISチャンネルと共に、含まれているべきである(
通報22を参照のこと)。手動入力は、TDMAの命令・DSCの命令・船舶に搭載されているシステムの命令、つまり第4.1.8項で設定されている規則に従って呈示インターフェイス経由で来る命令の入力、に優先することを前提としているべきである。
利用者が地域運用設定値を手動入力する必要がある場合は、使用中の地域入力設定値は、ディフォルトの運用設定値になっている可能性はあるが、当該利用者へ提供されるべきである。次いで、当該利用者がこれらの設定値を部分的にまたは全面的に編集できるようにされるべきである。移動局は地域運用域が常に入力されており地域運用域の規則に適っていることを、確実にしているべきである(第4.1.5項参照)。受け容れ得る地域運用設定値一式の入力が完了した後で、AISは、入力データが保管され多分即時に使用された筈であることを再度確認するように、利用者に要求すべきである。
2.50.2 明確化の根拠
1)船舶に搭載されているシステムからの命令は、呈示インターフェイス(使用できる場合。船舶に搭載されている等級A移動体用装置には、呈示インターフェイスが要求されている。)によってのみ入力されることができる。
2)移動局のチャンネル管理設定値へ不完全なまたは無効な手動入力を行うことを避けるために、利用者は、自分がその時に編集作成することができる、現在の地域運用設定値を催促されることになろう。次いで、移動局が、最小限の一致性について当該入力を点検し、利用者に当該入力を確認するように要求する。この後でのみ、当該手動入力が地域運用設定値として受け容れられることができる。これは、局地的に必要がある時に手動入力を行うことができるようにさせつつ、注意を要するチャンネル管理設定動作が軽く取り扱われる変更になること、を防ぐために行われるものである。
2.50.3 修正の日付: 2001年10月
2.50.4 所見
この明確化は、移動局が影響を受けるという限りにおいて、船舶に搭載される等級A移動体用AIS局についての設計と試験とに、既に、取り込まれている。この明確化に対して今後変更を行う場合は、何れも、将来に遺る問題を作り出さないように配慮すべきである。
2.51 A2§4.1.8 チャンネル管理命令の優先順位
2.51.1 提案する明確化の文言
A2§4.1.8 チャンネル管理命令の優先順位及び保管されている地域
運用設定値の消去
受信された最も新しくて適用できる命令が、以下の規則に従って、それまでのチャンネル管理命令よりも優先されるべきである。
移動体のAlS局は保管されている地域運用設定値のどれかが持っている地域運用域の最も近接している境界が自局の現在の位置から500海里を越えて離れている場合、または、保管されている地域運用設定値のどれかが5週間よりも古い場合は、即時に、点検すべきである。保管されている地域運用設定値は、以上の状態の何れか一つを満足する場合は、メモリから消去されるべきである。
地域運用設定値一式は、全体として取り扱われるべきである。つまり、地域運用設定値のパラメーターの何れかについて要求される変更は、新しい地域運用設定値として解釈されるべきである。
移動体のAIS局は、新しい地域運用設定値が、第4.1.5項に定めてある地域運用域についての規則に適合していない地域運用域を含んでいる場合は、どのような設定値も、受け容れるべきではない、つまり、無視すべきである。
移動体のAIS局は、新しい地域運用設定値が船舶に搭載されているシステムの命令により、つまり、呈示インターフェイス経由で、当該局へ入力されたものであり、この新しい地域運用設定値の地域運用域が、保管されている地域運用設定値で過去2時間以内に通報22によってまたはDSC遠隔命令によって基地局から受信されているもののどれかの地域運用域と、部分的または全体的に重複しているまたは一致している場合は、この新しい地域運用設定値を受け容れるべきではない。
自局宛の通報22または自局宛のDSC遠隔命令は、当該移動体用AIS局が保管されている地域運用設定値の一つによって定義されている地域内に存在している場合にのみ、受け容れられるべきである。この場合、当該地域運用設定値一式は、受信した各パラメーターと使用中の地域運用域とを結合することにより構成されるべきである。
新しく受け容れられた地域運用設定値の地域運用域が、一世代以上古い地域運用設定値の地域運用域と部分的または全体的に重複しているまたは一致している場合は、その古い地域運用設定値は、メモリから消去されるべきである。新しく受け容れられた地域運用設定値の地域運用域は、極めて近接している可能性があり、従って、古い地域運用設定値と同じ境界線を持っている可能性がある。このことは、古い地域運用設定値の消去へとつなげさせるべきではない。
以上により、移動体用AIS局は、新しく受け容れられた地域運用設定値を、地域運用設定値用に設けてあるメモリ8個の中の自由メモリ区画(free memory block)の一つに保管すべきである。自由メモリ区画が無い場合は、最も古い地域運用設定値が新しく受け容れられたものと入れ換えられるべきである。
ここに定義されている以外の手段は、どのような手段も、保管されている地域運用設定値の何れかまたは全部を消去できるようにさせるべきではない。 特に、新しい地域運用設定値を入力しないで、手動入力または呈示インターフェイス経由の入力により、保管されている地域運用設定値の何れかまたは全部を単に消去することは、不可能とすべきである。
2.51.2 明確化の根拠
選び出すべきメモリ区画が8個あり、これらのメモリ区画が少なくとも部分的に重複しているまたは一致している地域運用域を持っている時に、「最も新しく最も適用するのにふさわしい」地域運用設定値を使用するための規則」とは正確には何を言うのか、ということについて明確化が必要とされた。加えて、入力事項及び入力事項の情報源の老朽化、地理上の重複などのために、メモリがどのように管理されることになるのかについて、明確化ないしは厳密で世界的に一様なアルゴリズムが必要とされた。
2.51.3 修正の日付: 2001年10月
2.51.4 所見
この明確化は、移動局が影響を受けるという限りにおいて、船舶に搭載される等級A移動体用AlS局についての設計と試験とに、既に、取り込まれている。この明確化に対して今後変更を行う場合は、何れも、将来に遺る問題を作り出さないように配慮すべきである。
2.52 A2§4.3.2 指定報告率
2.52.1 提案する明確化の文言
担当機関は、どの移動局に対しても、基地局から指定通報16を送信することにより、報告率を指定することができる。船舶に搭載されている等級A移動体用AIS局の場合を除き、報告率を指定されることは、報告率を変更することについての、他の全ての理由に優先する。自律的モードが通報16によって指定された報告率より高い報告率を要求する場合は、船舶に搭載されている等級A移動体用AIS局は、自律的モードを使用すべきである。
2.52.2 明確化の根拠
1)基地局と中継局との機能性の区別。組み合わされた基地/中継局が通報16を送信している場合は、基地局の機能性により行っているものである。
2)A1;§4.2.1「報告率」及びA2;§3.3.6「指定運用」の明確化に伴う変更。
2.52.3 修正の日付: 2001年10月
2.52.4 所見
この明確化は、移動局が影響を受けるという限りにおいて、船舶に搭載される等級A移動体用AIS局についての設計と試験とに、既に、取り込まれている。この明確化に対して今後変更を行う場合は、何れも、将来に遺る問題を作り出さないように配慮すべきである。