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7.漁船法改正
 漁船法の改正は、基本的には、政府の規制緩和(行政事務の簡素化及び民間能力の積極的活用)の流れに対応しつつ、漁船の登録制度の整備に関わるものである。登録された漁船及び登録票の検認期間の延長(3年から5年へ)、漁船工事完了後の検認につき民間機関(いわゆる指定機関)によることを認めるといった、基準認証制度に関する規制緩和のための措置が立法化されている[9]
 これと同時に、今回の漁船法改正では、漁船の建造許可について、農林水産大臣の許可によるものと、都道府県知事の許可によるものと仕分けについて、一定の整理がなされている。すなわち、従来の漁船法の仕組みでは、動力漁船の長さが10メートル以上のものについて事前の建造許可制度を設定しつつ、長さ15メートル未満は都道府県知事の、長さ15メートル以上又は長さ15メートル未満で大臣許可漁業に従事する漁船について農林水産大臣の、それぞれ許可に服するもの、とされていた。今回の漁船法改正では、15メートルという長さによる仕分けを止めて、大臣許可漁業に従事する漁船には農林水産大臣の許可、都道府県知事許可漁業に従事する漁船については知事の許可、という形に、漁業の許可を行う行政庁と、漁船の建造許可を行う行政庁とを一致させるという形での整理を行った[10]
 以上のような漁船建造許可に関する法改正の趣旨については、近年になって漁船のスリム化等によって15メートルを超える長さのものが増加し、知事許可漁業に従事する漁船建造につき大臣許可が必用になるケースが増え、さらに、漁船の大型化により船舶法による総トン数の測度を行う行政庁(20トン未満について都道府県知事が実施・20トン以上は国土交通大臣が実施)との関係でも手続が煩雑になったことから、建造許可審査の円滑化・漁業者の負担の減少といった事柄が説明されている。
 漁船法による漁船の規制システムは、無許可操業船が出現することを未然に防止することが趣旨のひとつとされており、本来的に、漁業管理のシステムと共通する部分がある。もっとも、漁船法による漁船の規制システムが、直接的に漁業資源の管理に結びついているものでないこともまた明らかである。漁業許可制度と、漁船建造許可制度のリンクは、EUの共通漁業政策におけるMAGPを連想させるものでもあるが、今回の漁船法改正はそこまでを視野に入れたものではなかろう。
 漁船法改正による規制緩和は、漁業者のコスト削減という効果がある。また、規制緩和・許認可手続の整理合理化という観点で、今回の漁船法改正の趣旨には、評価される部分がある。しかし、漁船法の定める法的仕組みと、漁業管理に関する水産政策との結びつきは間接的なものにとどまっている。この点、漁船法による漁船建造等の許可・登録の仕組みを、資源管理(あるいは資源管理のための行政計画法制)とリンクさせることが、日本の水産資源の適正な管理を強化し、同時に、漁業という産業の構造改善を両立させてゆくための、将来の課題として考えられてもよいと思われる。








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