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8.今後の展開に向けて
 本調査の成果を明らかにし、今後の展開方向をまとめる。
(調査の成果)
 本調査の成果をまとめると、概ね次の通りである。
 [1]これまでの大阪湾ベイエリアにおける「なぎさ海道」を中心とする取り組みを踏まえて、海辺を辿りながら楽しく歩くことのできるみち=なぎさトレイル整備の基本的な考え方として、次の3点を明確にした。
 ○水際(水辺、ウォーターフロント)にある
 ○公園・緑地や周辺の地域資源とネットワークしている
 ○誰もが安全に楽しく歩くことができる
 [2]なぎさトレイルの整備・活用にあたって参考となる情報や留意事項を明確にするため、先進事例としてりんくう公園(大阪府泉佐野市)と横須賀10000メートルプロムナード(神奈川県横須賀市)を取り上げて関係機関にヒヤリングを行い、なぎさトレイルの整備と活用にあたっての留意点をまとめた。
 [3]大阪湾ベイエリアにおける「なぎさトレイル」のモデルルートを、「歩いて楽しいかどうか」「近くに魅力ある資源・施設があるかどうか」「アクセスがしやすいかどうか」の視点より20ルート抽出した。
 [4]海辺の市民利用策を具体的に検討し、市民の具体的なニーズを踏まえたガイドマップの作成に役立てるため、甲子園浜地区と舞子・垂水地区の2地区について、市民参加によるモデルルートの為のワークショップを開催した。ワークショップには、地元に住んで日頃から海辺に親しんでいる人々、なぎさのクリーンアップの取り組みをしている人々、移動に制約のある身体障害者など多彩な市民が参加して、海辺をより市民が利用しやすいようにするためにどのような改善策が必要なのかについて活発な意見交換を行い、提案をまとめた。ワークショップとは別に実施した「なぎさウォーク」に参加した市民にも、ウォーキングを楽しむために必要な施策等について意向を把握した。
 [5]上記の調査を踏まえて、なぎさの市民利用向上策として、「情報の提供」「ストックの活用」「感動を演出する工夫」の3つの考え方を示し、具体的な向上策について明らかにした。
 [6]最後に、舞子〜垂水〜須磨ルートと、泉佐野〜りんくう公園〜マーブルビーチ〜田尻〜サザンビーチルートの2ルートについて、市民利用向上をめざす視点を踏まえたなぎさトレイルのガイドマップを作成した。
 [7]全体として、平成13年度の本調査は、これまで平成9年以降「なぎさ海道推進マスタープラン」に基づいて進めてきた一連のなぎさ海道関連の取り組みの成果を踏まえ、さらに一歩前進させる有意義な調査成果を得ることができた。
(今後の展開)
 平成14年度以降においては、本調査の成果を踏まえて、次のような展開が考えられる。
[1]「なぎさトレイル」モデルルートの充実
 平成13年度本調査では、なぎさトレイルのモデルルートとして20地区を抽出・選定し、その中から、2地区(舞子〜垂水〜須磨地区と泉佐野〜りんくうタウン〜マーブルビーチ〜田尻〜サザンビーチ地区)を対象に、先導的なモデルルートとしてのウォーキングマップを作成した。
 今後は、地域のニーズを把握しながら、モデルルートをさらに追加するとともに、作成条件に合致する地域において「なぎさトレイル」のガイドマップの追加作成も検討し、その活用を図っていくことが考えられる。その際、関係自治体の理解と協力を頂いた上で、地域の市民団体や関係する民間企業との連携も検討し、魅力ある地域づくりの一環として、地域のニーズに応えるガイドマップづくりを進めていくことが望まれる。
[2]「なぎさ海道」の取り組みのさらなる展開
 本調査は、市民が海辺に近づき、誰もが安全かつ快適に楽しく歩くことのできる「なぎさトレイル」づくりをめざしたものであるが、この取り組みは、これまで「なぎさ海道」のシンボルプロジェクトとして、国、関係府県、市町、経済団体、民間企業等が連携して推進してきた「なぎさ海道」の理念を具体化したものである。今後もなぎさの地域学、なぎさのワークショップ、なぎさウォーク、なぎさ海道の地域資源登録、なぎさの地域連携などの取り組みとも連携して、人と海とが豊かに触れ合う魅力ある海辺空間づくりに取組んでいくものとする。
 大阪湾ベイエリアの魅力を多くの一般市民に伝える為、以上の取組みを、引き続き、当財団広報誌(名称:OBAY)やホームページを中心に広報していく。








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