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1.5 航空会社及び就航機材
 インドネシアにおける定期便運航会社は、2001年1月現在10社となっている。このうち、最大手は国営ガルーダ航空で主要国内及び国際路線を運航しており、所謂、インドネシアのフラッグ・キャリアである。国営メルパチ航空は国内路線及び近距離国際路線を運航している。
 また、純民間会社は、ボーラク、マンダラ、ディルガンダラ、エアーマーク、エアーワゴン、インドネシア、ライオン、プリタ・エアーサービスの8社でボーラクは国内及び近距離国際定期、他は国内定期路線を運航しているが、将来的に近距離国際路線の運航を計画している会社もある。なお、エアーマーク、エアーワゴン、バユー・インドネシア、インドネシア、ライオン、プリタ・エアーサービスの5社は1999年以降に運航を開始した定期航空会社。以前、国内定期路線を運航していたセンパチ航空は1999年以降運航をしていない。
定期航空会社・機材・路線数一覧表
会社名 機材 合計機数 路線数
ガルーダ B747-400×4、A330×6、
DC10×5、
B737-300/400/500×19、
F-28×5
39 27
ムルパチ B737-200×2、F100×3、
F-28×7、F-27×6
CN-235×3、CASA212×5、
DHC-6×4
30 93
ボーラク B737-200×6、HS748×2 8 14
マンダラ B737-200×6、F-28×1 7 11
ディルガンダラ CASA212×8、BN-2×9 17 22
エアーマーク CASA212×2 2 2
エアーワゴン A310×2 2 7
インドネシア B737-200×2 2 2
ライオン B737-200×2 2 1
プリタ・エアーサービス F-28×5 5 11
合計   114  
(2001年1月現在)

2. 空港

2.1 空港管理

 上記1.2に記したとおり、当国において国際及び国内空港として指定されている約180の空港は、その管理運営を運輸通信省航空総局、2つの国営空港会社及びバタム開発公社(バタム島ハングナディム空港のみ)の4組織が所掌している。
 また、これ以外に地方自治体、民間会社、宗教団体などが所有する小型飛行機用の飛行場が約500ヵ所あり、その3/5がイリアンジャヤに存している。
 国営空港会社は、それぞれPT. Angkasa Pura 1及びPT.Angkasa Pura 2と称され、ジャワ島のほぼ中央でその管理区域を東西に分かち、前者はバリ、スラバヤをはじめとする東部地区の主要13空港を、後者はジャカルタ・スカルノハッタ空港やメダンなどの西部地区の主要10空港を管理運営しており、その内訳は以下のとおりである。
・PT. Angkasa Pura 1:スマラン、ジョグジャカルタ、スラカルタ(ソロ)、スラバヤ、バリ、マタラム、クパン、バンジャルマシン、バリクパパン、ウジュンパンダン、マナド、アンボン、ビアック
・PT. Angkasa Pura 2:バンダ・アチェ、メダン、プカン・バルー、パダン、パレンバン、ジャカルタ(スカルノハッタ)、ハリム、バンドゥン、ポンティアナック、タンジュンピナン
 それぞれの空港における維持管理及び小規模な改修等は、それぞれの組織が行っている。維持管理予算は、管理対象数に比して潤沢ではなく、例えば空港内の草地の管理について、刈り草を地元農民に与える見返りに自ら刈らせたりして経費削減に努めている空港もあるが、空港の管理上の基本的な施設である場周フェンスの全域に亘っての設置が出来ず、住民が施設内を横断するというような安全上不十分な状態も見受けられる。
 
2.2 空港整備
 空港整備に係る基本的な考え方としては、地方自治の拡大、社会活動の世界規模化、市場競争原理を踏まえ、空港を一般市民の社会生活向上の関連施設ととらえ、その発展を強力に進めていくこととしている。
 中でも、航空輸送ネットワークの中心的役割を担い社会経済活動上のゲート及び他の交通機関との連携の場となるものについては、その役割を引き続き維持して行くものとし、当面は現在の空港の格付け(注1)を変更しないこととしているが、いずれはハブ、ノンハブの二極分化を目指している。しかし、そうした時においても、国際空港として指定されているものの数は、現行と同様に23空港と考えている。
(注1) 空港の格付け(hierarchy)について
 空港会社所管のものを除いた空港は、その取り扱い旅客数、発着回数や施設規模に応じてクラス1からクラス5及びそれ以外のものとの格付けがなされ、これによってDIKと呼ばれる運用、維持管理に関わる予算の配分規模が決定される。
 
 
 先に記したとおり、空港施設の管理はそれぞれの管理主体が行っているが、外国ローンによる大規模な改修や新設に関わるプロジェクトについては、航空総局管理下の空港だけでなく空港会社所管の空港についても、設計や工事契約、監督等を航空総局主導で行い、完了後、空港会社管理の空港については移管されている。
 

2.3 空港整備プロジェクト
 こうした現有空港の大規模改修や、空港の新設に関わるプロジェクトについては、現在概ね完了となるものを含め実施中のもの、近日中に契約見通しのものを含め準備中もの、中断中のものと様々であるが、経済危機以前に計画されたものであり、計画検討のベースとなる需要予測は、その後経済危機の影響を受けた現実の数値とは乖離しており、計画施設規模の見直しや段階建設検討などが行われていたり、その進行をスローダウンさせたりもしている。
 以下に現在実施中或いは準備中の空港整備に関わるプロジェクトの概要を記す。

1) マナド空港
 (概要) 需要増に対応し就航可能機材を現状のB737からDC10とするため滑走路の延長及び旅客ターミナルビル(以下PTBと記す)の新設、現行PTBを改良した貨物ビルの設置等を実施
 (現状) 概ね工事は完了
2) アンボン空港
 (概要) 上記同様DC10の就航を目途に滑走路の延長及びPTBの新設、併せて排水施設の改良等を実施
 (現状) 社会情勢悪化に伴い、中断
3) バリ空港
 (概要) 需要増、特に国外からの観光客増加に対応するためのPTBの増設、B747-400対応駐機スポット増加を含めたエプロンの拡張及び平行誘導路の延長等の実施
 (現状) 3期に分けた段階施工の第2フェーズ工事のうち、残る誘導路の西側への拡張を実施中。第3フェーズ(PTBの新設移設)については未定
4) ウジュンパンダン空港
 (概要) 現有滑走路は軍民供用であることから、民間航空専用の滑走路を新設すると共に、これに対応したエプロン、PTB等を新設
 (現状) 経済状態の悪化に伴い計画を延期、実施時期は需要動向をにらみ決定、現時点では未定
5) スラバヤ空港
 (概要) 拡張困難な現有のターミナル地区に代わり滑走路を挟んだ向い側(北から南へ)にターミナル地区一式を新設。また滑走路を延長すると共に平行誘導路を新設
 (現状) 工事契約の準備中
6) パレンバン空港
 (概要) 現有滑走路の舗装改修のため、平行誘導路を新設しこれを仮の滑走路として運用しながら滑走路改修を行う。また併せエプロン、PTB等の新設も実施
 (現状) 誘導路工事が完了。引き続き滑走路の改修を実施
7) ゴロンタロ空港
 (概要) 就航可能機材を現状のF27(プロペラ)からF28(ジェット)とするための滑走路の延長及びPTBの新設の実施
 (現状) ほぼ完了
8) ニューパダン空港
 (概要) 現有空港では需要増に対応した拡張が困難なため、北西約14kmの場所に、A300/B737の就航に見合う滑走路長2750m新空港を建設
 (現状) 工事契約に向け準備中
9) バンダアチェ空港
 (概要) メッカ巡礼の為の、いわゆるハジフライト(注2)用として、DC10の就航が可能なよう滑走路の延長を実施(空港会社自前で実施)
 (現状) 完了し供用を開始

(注2)ハジフライトについて
 メッカ巡礼をハジ(Haji)と称し、毎年各地から多くのイスラム教徒が出かけており、今年は2月中旬から3月中旬までメッカに滞在し、その総数は約19.5万人とのことである。
 航空機はガルーダ航空及びサウジアラビア航空が使われ、使用空港及び機材の内訳は下記のとおりで、使用機材が上記バンダアチェ空港のように、施設改修の要因となる場合もある。
 ジャカルタ(B747)、スラバヤ(B747)、ソロ(A330,A340)、メダン(MD11)、バリクパパン(MD11)、バンダアチェ(A330)、ウジュンパンダン(B767)、バタム(B747)
 なお、今年の総便数は23便となっている。

10) その他
 上記の他、現在設計を実施中のものとして、ソロン空港、ニューサマリンダ空港、ポンティアナック空港がある。
ア)ソロン空港:DC10の就航に向けた滑走路の延長等
イ)ニューサマリンダ空港:現有空港が市中にあり拡張が難しく、移転新設を計画
ウ)ポンティアナック空港:DC10就航に向けた滑走路の延長等
 

2.4 需要予測
 なお、こうした施設改修、新設の前提条件となる需要については、現時点では経済状況の影響から、その伸びは鈍化あるいは減少の傾向にあるが、国内経済の成長と共に伸びると予測しており、伸び率に関する航空総局の現有計画数値は下記のとおりである。


年次 旅客数 貨物量
  国際線 国内線 国際線 国内線
2005〜2010 10% 5% 9% 3%
2010〜2015 15% 10% 13% 12%



 上記数値にほぼ2000年初頭に予測されたもので、現在見直しが行われているところである。 


2.5空港管理・整備の今後
 上記1.4で記したとおり、地方分権化の推進と共に、国の権限として残されるもの以外の権限は地方に移管されて行くこととなり、現有空港の管理が州等に移ったり、州自らが建設し管理する空港が出現する可能性がある。
 空港の管理・整備に関し、航空総局は、国の権限として残るものに照らし所要の基準等を策定し、それの執行について監視して行くこととしている。








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