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<寄稿>
インドネシアにおける航空輸送の概要
インドネシア航空総局航空安全局航空交通管理専門家
山本 哲士
1.航空輸送の現状
1.1輸送実績の概要
 インドネシアにおける航空輸送は、近年の経済発展とともに著しい成長を続け、最近の約20年間で旅客輸送量は年平均18.7パーセント、貨物輸送量では同じく33.4パーセントの伸び率を示してきた。しかしながら、1998年には、旅客・貨物とも一気に減少に転じ、経済危機の影響を大きく受けた。特に、国内旅客輸送量は前年の60パーセントを割るレベルにまで落ち込む等、国内輸送が深刻な打撃を受けた。更に、1999年においては、国際旅客及び貨物輸送量は前年比4〜5パーセント程度の増加を示したが、国内輸送量については旅客及び貨物とも、依然、前年比20パーセント程度の減少となっており、国内旅客輸送量は、この2年間で一気に1985年当時のレベルにまで落ち込んでいる。
 
図-1 旅客輸送実績
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図-2 貨物輸送実績
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 1997年から1998年にかけての旅客輸送量の落ち込みはインドネシアのみならずアジア地域の主要空港で見られる傾向であるが、特に、ソウル及びジャカルタが顕著である。また、その後について各空港が回復傾向となっているのに対し、ジャカルタについては引き続き減少傾向が続いている。
 なお、アジア各国DGPの推移は、旅客輸送量の動向と概ね一致している。
 
 インドネシアは東西約5,000キロメートル、南北約2,000キロメートルの範囲内に大小一万数千の島から成る島国で、約300箇所の民間空港のうち約160箇所が国内空港として、また23箇所が国際空港として指定されており、これらの空港間には、首都ジャカルタ及びバリを中心とする国内及び国際合計約200の定期路線が設定されている。なお、1997年以前にあっては、国内及び国際合計約250の定期路線が設定されていたが、経済危機直後、定期路線の運休や廃止が相次ぎ現在に至っている。諸外国との間の航空協定は、現在、62カ国と締結されており、24カ国、34社の外国航空会社の定期便が乗り入れている。一方、インドネシア側の国際定期路線は、ガルーダ、ムルパチ及びボーラクの3社が12ヶ国、32地点に就航している。
 旅客輸送量の国内・国際比率は、近年、徐々に近づいてきていたが、1988年以降急速に接近している。また貨物輸送量の国内・国際比率は、1986年以降、接近傾向となっていたが、1999年には対等となった。特に、国際貨物輸送量では、1986年以降インドネシアから出発する、即ち、輸出量が輸入量を上回っている状況が続いている。なお、国際空港として指定されているのは次のとおり。バンダ・アチェ、メダン、パレンバン、パダン、プカン・バルー、タンジュン・ピナン、バタム、ジャカルタ(スカルノハッタ)、バンドゥン、スラカルタ、スラバヤ、ポンティアナック、バリクパパン、タラカン、ウジュンパンダン、マナド、バリ、クパン、マタラム、アンボン、ジャヤプーラムラウク、ビアック。
図-3 アジア主要空港別旅客輸送実績
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図-4 アジア各国GDP推移
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図-5 旅客輸送実績 国際/国内比率
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図-6 貨物輸送実績 国際/国内比率
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図-7 国際貨物輸送実績 出発/到着比率
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 空港別の旅客輸送量については、ジャカルタ、バリ、スラバヤ、メダン及びマッカサル(ウジュンパンダン)の各主要空港が全体輸送量の約75パーセントを占めている。特に、1984年のジャカルタ・スカルノハッタ空港供用開始以降、同空港の利用率は極めて高く、1999年には全旅客の約80パーセントがスカルノハッタ空港を利用している等、ジャカルタ中心の旅客輸送傾向が強いものとなっている。
図-8 主要空港旅客利用率
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