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3. 航空交通業務
3.1 実施機関等
 インドネシアにおける航空交通業務は、政府(運輸通信省航空総局航空安全局)の管理の下に、原則として、航空総局、第1及び第2空港会社並びに軍が実施している。なお、地方自治体、公共企業体及び民間企業が管理する空港における航空交通業務については、当該空港に定期便が就航している場合、航空総局が実施している。
 また、航空交通業務機関の数は次のとおりとなっている。
航空路管制所:4箇所(将来的に2箇所への統合が計画されている)、進入管制所:22箇所、飛行場管制所:36箇所、飛行場対空通信局:37箇所、飛行情報センター:6箇所、飛行支援局:9箇所、ATIS:17箇所、空港航務事務所:約200箇所。
 
3.2 実施状況
 インドネシアにおける航行援助無線施設は、空港施設の一部として空港内に設置されているケースが殆どで、その地理的な制約から、効率的な航空路網の設定には不十分な配置状況となっている。したがって、低高度における無線覆域の確保が困難であり、管制空域は空港周辺部を除き高度24,500フィート(約7,500メートル)以上に設定されており、これ以下の高度を飛行する航空機については巡航中における管制業務の提供を受けることができず、有視界飛行により運航されている。
 なお、管制方式基準等、航空交通業務に係る規定は国際基準に準拠してインドネシア国基準が制定されており、各実施機関はこれに基づいて業務を実施している。
 
3.3 航空保安無線施設
 
(1) 通信施設
 現在、管制施設相互間及び管制施設等と航空機間の通信用に地上通信網とVHF(超短波)及びHF(短波)対空通信網が整備されている。対空通信施設は、約200空港に主として先進国からの援助でVHFが、欧州及びオーストラリアからの援助でHFが設置されている。
 
(2) 航法施設
 NDBは1970年頃から、主に英米の援助により整備が進み、現在158箇所に設置されている。VOR/DMEはカナダ、オーストラリアの援助により、現在50箇所に設置されている。またILSも順次整備が進み、現在22空港合計26装置が設置されている。これらは欧米製である。
 
(3) レーダー施設
 現在のレーダーは1975年以降に設置されたもので、航空路と進入管制の両方に供されている。また、殆どがフランス製で17箇所に設置されている。
(4)照明施設
 従来のVASISに代わるPAPIの整備が徐々に進んでいる。
 
3.4 主要課題
 
(1) 航空交通の安全性確保について
 航空保安業務における最大の課題は航空交通の安全性確保であるが、インドネシア国においても同様である。インドネシア国においては、ニアミス等の航空交通の安全性に影響する重大不具合に対する対応体制が立ち遅れている状況で、効果的な組織的対応体制の整備が急務である。
 
(2) 次世代CNS/ATMシステムへの移行推進について
 航空総局は1995年1月にフランスの協力により航空管制次世代システム基本計画を策定した。
しかしながら、折からの経済危機等により中長期計画の一旦休止と見直しを余儀なくされている。この間、先進諸国における最新技術の具体化が進み、インドネシア国における計画見直しの中でこれら最新技術の導入について検討が進められているところである。
 
(3) 民営化
 1998年頃、主要空港の管理及び航空保安業務を行っている第一及び第二空港会社が含む国営企業12社の民営化について政府内で検討が開始され、当初の民営化目標時期は1999年12月とされていた。航空総局は、空港会社については、その業務が行政と密接に関連しているため、民営化が与える行政への影響、民営化後の企業形態及び採算性等の問題について検討を進めてきたが、2000年12月現在、同会社に係る民営化について具体的な情報は得ていない。








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