日本財団 図書館


(3)プレゼンテーション ハロン湾管理局
フォー・ドゥック・ティン副局長
 
 本日、ハロン湾における海上安全管理セミナーにご参加させていただきまして大変嬉しく思います。日本のJTCA代表者のご発表およびヴィエトナム側の方のご発表は、我々として非常に深い関心を持ち、私達の、ハロン湾の環境保護の仕事にいろいろ役に立つことを与えてくれました。ハロン湾管理局の代表として、本セミナー参加の皆様方に感謝申し上げます。
 
 皆様、ハロン湾管理局は、クアンニン人民委員会に属し、世界遺産地域を中心に、ハロン湾全体を直接管理する組織です。我々の組織の主な職能・義務は、世界遺産であるハロン湾の自然価値を保存・維持し、発展させることです。
 
 この義務は、我々の機関はもとより、クアンニン省の人々、更には全国の国民にとって、大きな誇りでもあれば、クアンニン省の人々、その中にある世界遺産を直接管理している我々にとって非常に大きな責任にもなります。
 
 ご存知のように、ハロン湾は世界でも偉大で美しい自然遺産の1つとして有名ですが、自然地理が複雑な遺産でもあります。ハロン湾は面積が1,500km2、長さが60km、幅が30kmあり、2,000近くの大小の岩島があります。ここは典型的な地形で、世界でも大変価値のあるカスター石灰岩があります。そのため自然景色と地質・地形において、ハロン湾はユネスコから1994年と2000年の2度にわたり、世界遺産として指定されました。
 ハロン湾管理局は1995年末に設立されました。短期間ではありますが、クアンニン省人民委員会および地方省庁、中央(政府)機関、国際組織から様々なご関心・ご援助をいただき、我々はこの5年間、かろうじて任務を遂行することができました。しかしながら、まだ、世界遺産の管理においていろいろな問題が残されています。
 
 本セミナーでは、いくつかの困難・問題点および提言を取り上げたいと思います。もちろん、我々の提言はハロン湾の海上安全管理に関係します。
 
 具体的な提言を述べる前に、本セミナーでJTCAの専門家の方々が発表の中で述べたご意見、対策、提言、評価、経験等に対して、賛成の意を表したいと思います。
 
第1の提言:
 ヴィエトナム政府および関心を持つ国際組織にお願いしたいと思いますが、ハロン湾における港湾システム建設計画プロジェクトを再度立案していただきたい。この港湾システムはカイラン港のような国際レベルの港や他の港を含んでいます。
 
 現在に至り、ヴィエトナム政府は日本政府と国民のご援助を受け、カイラン港とバイチャイ橋を建設することになりました。これに合わせ、クアンニン省政府もバイチャイ観光港の建設計画を作りました。
 
 ハロン湾を保存・維持するには、短期・長期にかかわらず、適切かつ即時性が大切です。しかし、ハロン湾内には、港や小型のバージ、そしてガソリンを売る船もまだ多いのです。この問題も再び計画する必要があります。特に最近、船でハロン湾に来る観光客の数が日増しに増加しています。そこで、クアンニン省は石炭港を観光港に改造する計画があります。しかし、国際水準の観光港を完成させるには、この観光港をより拡大する必要があると考えます。現在、毎週の火曜日にスタレオ観光船がハロン湾に来て観光客を運んできます。しかし、この船が長すぎてこの港に入港できないため、この船が来る度に、少なくとも20-30隻の小型の観光船がお客さんを迎えるために行ったり来たりしています。今後も船でハロン湾に来るお客さんが増える一方と考えます。
 
第2の提言:
 ヴィエトナム運輸省およびVINAMARINEにお願いしますが、中央政府機関と地方機関と合わせて、ヴィエトナム海事法、ヴィエトナム環境保護法、国際海事法およびユネスコの世界遺産保存条約に基づいて、ハロン湾における港の活動を管理する具体的な規制法を立てるべきだと考えます。我々もJTCA専門家が取り上げた方策に賛成し、各港は固形ごみや液体ごみを処理する設備を整えるべきだと考えます。
 
第3の提言:
 液体ごみについてですが、我々はB12石油会社の港の存在に特に関心を持っています。菅野船長が取り上げた油流出事故の処理対策にも賛成します。近い将来、B12石油会社の港に対しては大量の油流出事故に対する防止および処理する適切な施設整備が必要です。そして油流出事故を処理する専門チームを設立する必要があります。B12石油会社の港および地方の関係機関は力を合わせ油流出事故に対して、いつ発生しても処理を行えるように準備すべきです。現在ではそういうような機動部隊はまだいません。より高い省レベルの指導機関が必要で、訓練計画も立案すべきです。
 
 しかし、長期的に見るとB12石油会社の港の位置は不適切で、世界遺産と指定されるハロン湾に常に直接損害を及ぼす危機があります。そこでヴィエトナム政府は、B12港のハロン湾移動に関して検討すべきでしょう。
 
第4の提言:
 ハロン湾における捜索救助の問題です。VMS長官の報告に賛成しますが、菅野船長が取り上げた海難対策にも賛成します。従って、VINAMARINEはハロン湾における捜索救助隊を設立することに関心を持つべきだと思います。
 
 ハロン湾管理局は昨年、海上捜索救助センターを設立しましたが、本日グエン・ヴィエット・ズオンセンター長も私と一緒に本セミナーに参加しております。しかし、ハロン湾捜索救助センターは設立されたばかりですので、規模も小さく、設備も非常に不足しています。そこで、万一天災や事故が起こった時、捜索救助作業を円滑に実施するため、VINAMARINEからのご援助およびご協力を望んでおります。
 
 最後の問題になります。これはVINAMARINEおよびJTCAにお願い致しますが、庶民に世界遺産であるハロン湾に対する環境保護の意識を高めるために、宣伝かつ教育の活動を実施しさらに関心を持っていただけるようにしたいと思います。ハロン湾に対する環境保護の意識を高めるために宣伝、教育を行うことは基本的で、長期的な方策だと思います。
 
 これまでハロン湾管理局も地方の組織機関や国際の組織と協力し、庶民を対象とした教育活動を増強して参りましたが、成果は限られています。先程、日本の専門家の方が見せてくださった、ハロン湾のごみを撮影した3枚の写真を見た時は非常に恥ずかしく思います。ハロン湾管理局は、これまでも湾内のごみ処理事業に懸命な努力を尽くして参りましたが、一部の庶民、中には観光客の低い環境保護意識のため、現在でもごみはまだ、ハロン湾に存在しています。ですから、ハロン湾の環境保護及び海上安全向上ために、宣伝活動の実施に関してVINAMARINEおよびJTCAからのご協力をいただきたいと思います。
 
 再度、本セミナーで発表する機会を与えてくださったVINAMARINEおよびJTCAに感謝申し上げます。本セミナーにおいて皆様からのご意見を受け入れさせていただきます。
 
 ありがとうございます。皆様のご健康をお祈り致します。
 
司会(ズン局長):
 ティンさん、どうもありがとうございます。
VINAMARINEにはクアンニン省地域の海運管理機能を果たしている窓口組織があります。クアンニンポートオーソリティのタ・クアン・ヴィエット副港長からご意見を伺います。
(4)プレゼンテーション クアンニンポートオーソリティ
タ・クアン・ヴィエット副港長
 
 クアンニンポートオーソリティを代表しまして、意見を発表させていただきます。自分の席で発表することをお許し下さい。発表時間があまりありませんので、海上安全問題だけを中心に意見を述べさせていただきます。
 
 現在ハロン湾内の海上地域で、船舶の出入ができるターミナルは5つあり、船舶修理・造船工場は2つあります。そして、ハロン湾では,ハロン湾と隣接する地域で大型船と小型船の停泊を許可しています。毎年、ハロン湾地域とハロン湾中間地域を出入りする船舶の輸送量は450万トンぐらいあり、その中で石油は150万トンで、残りはドライカーゴです。一方、内水の船や漁船、観光船の輸送量(石炭、クリンケ、魚など)は200万トンぐらいあります。そこで航行の複雑化したハロン湾内では,大型船と小型船を対象にした規則が設けられました。
 
 これらの問題について,ハロン湾の海上安全確保のため,輻輳する船舶運行の管理・監視が必要となります。
 
 現在では、船舶運行は規則に基づいて実施されております。我々の統計ではここ5年間は毎年2-3回の小規模の事故しか起こらなくなりました。大事故については,2-3年連続して発生しない時もあります。しかし、内水の船や観光船、漁船はいまだに規則に従っておらず、そのため我々の統計では、事故はほとんどこれらの小型船が引き起こしたものとなっています。我々の調査では、事故原因の60%は人間のミスにより、残りは大波や大風、旋風などの天災による結果が得られました。今までは,ハロン湾内で発生する事故が少なかったですが、カイラン港建設が終了する2003年には,おそらく出入りする船舶および貨物量が増えることでしょう。そこで、日本の方々からいただいた意見・助言はVINAMARINEおよび下の管理組織であるクアンニンポートオートリティの関心事でもあります。
 
 また,海上安全事業を確保するために、船舶管理や船長を対象とした法律遵守の指導以外に、以下のようなことも必要だと考えます。
 
第1、海運管理機関と内水管理機関とは、統合することが必要です。
第2、船舶の航行量増加に合わせ、航路幅を拡大するべきだと思います。現在の航路幅では狭すぎます。航路幅を拡大すれば船舶は双方向で航行できますし、船舶量が増加しても広い航路幅ならば対応可能です。私達の意見として、航路量を増やすためにも検討すべきだと思います。
 
 以上は大型船舶の海上安全問題に関する内容です。
 
 もう一つの内容としては、航路標識に関する問題です。ホンガイ・バイチャイ航路の灯台は改造・増強されましたが、まだ不合理な点があります。それは灯台の高さはまだ低く過ぎることから、灯台の光と道路の照明光や附近の家・ホテルの照明光と混在してしまいます。そこで,灯台を後ろの丘に移すことを提案したいと思います。一方、航路の湾曲するところにも航路標識を増加すべきだと思います。また、ホンバイ灯台の光力も増強が必要となるでしょう。
 
 以上は本セミナーで、海上安全問題に関する我々からの意見でした。皆様のご健康、セミナーの成功をお祈り致します。
 
司会(ズン局長):
 ヴィエットさん、ありがとうございました。
 
 この他にも何名かの代表者から発表の申し込みを受けましたが、時間が足りないため、非常に残念ですが、ヴィエットさんの発表を最後とさせていただきます。
 ご意見を述べたい方は,この後VINAMARINEに送ってくだされば、後ほどJTCAの方にお伝えいたします。皆様がセミナーで述べたご意見は今後反映されることになります。
 
 それでは、続きましては、VINAMARINEヴオン・ディン・ラム副総裁から閉会のご挨拶をお願い致します。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION