5 バイオ・ディーゼル燃料の特徴
○ 排ガスの硫黄酸化物が非常に少なくなる
○ 排ガスの黒煙が軽油の1/6〜1/3
[1] バイオ・ディーゼル燃料の性状は、硫黄が少なく、炭素・水素以外に酸素が多く含まれており、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)は検出限界以下、黒煙は軽油の1/6〜1/3に軽減しており、地域の環境保全に寄与する。
[2] 炭素の含有量が軽油に比べて約10%少ないことから、地球温暖化につながる排ガス中の二酸化炭素(CO2)の発生量も少なくなり、地球温暖化の防止にも寄与すると考えられる。
[3] 軽油の発熱量(約10,000カロリー)と比較して、バイオディーゼル燃料は約9,000カロリーであり、エンジン性能(馬力)に関しては、若干低下の可能性が予測されたが、軽油と比べて特に差異はなかった。
[4] 基本的に軽油とよく似た性状であり、環境・安全の観点から法律(揮発油等の品質の確保等に関する法律)で規定されている軽油の強制規格基準もほぼ満足している。
バイオ・ディーゼル燃料と軽油の性状比較
燃料性状 |
新バイオディーゼル燃料 |
バイオディーゼル燃料 |
軽油 |
基準値 |
硫黄分 (%) |
0.0001 |
0.0002 |
0.2 |
0.05以下* |
セタン指数 |
60 |
55〜57 |
58 |
45以上* |
90%留出温度 (℃) |
340 |
357〜362 |
335 |
360以下* |
引火点 (℃) |
135-145 |
148〜156 |
88 |
45以上 |
流動点 (℃) |
-5.5 |
-4〜-4.5 |
-11.5 |
-7.5以下 |
残留炭素分 (%) |
0.05 |
0.06〜0.07 |
0.1 |
0.1以下 |
動粘度 (m2/s) |
5.6 |
6.21〜6.37 |
3.0 |
1.7以下 |
炭素 (%) |
77.1〜77.9 |
77.1〜77.9 |
87.2 |
  |
水素 (%) |
11.7〜11.8 |
11.7〜11.8 |
12.8 |
  |
酸素 (%) |
11.1〜11.2 |
11.1〜11.2 |
0 |
  |
発熱量 (cal/g) |
約9,000 |
約9,000 |
約10,000 |
  |
*品質確保法による軽油の強制規格基準
(硫黄分は平成8年度までは、0.2%以下であり、平成9年度より0.05%以下に強化された。)
バイオ・ディーゼル燃料と軽油の排ガス調査結果比較
分析項目
|
詳細調査(冬季) |
詳細調査(夏季) |
参考
():平均値
|
新バイオディーゼル燃料 |
軽油 |
バイオディーゼル燃料 |
軽油 |
CO(ppm) |
219 |
174 |
210 |
136 |
980(790) *1 |
HC(ppm) |
39 |
33 |
<40 |
<40 |
670(510) *1 |
NOx(ppm) |
125 |
135 |
131 |
154 |
350(260) *1 |
SOx(ppm) |
<0.2 |
22 |
<0.6 |
20 |
  |
CO2(%) |
3.2 |
3.6 |
3.2 |
4.5 |
  |
O2(%) |
16.6 |
16.1 |
15.8 |
15.9 |
  |
黒鉛濃度(%) |
6 |
18 |
3 |
19 |
50 *1 |
ホルムアルデヒド(ppm) |
8.8 |
6.9 |
  |
  |
  |
アセトアルデヒド(ppm) |
1.5 |
1.2 |
  |
  |
50 *2 |
アクロレイン(ppm) |
0.05 |
<0.05 |
  |
  |
0.1 *2 |
プロピオンアルデヒド(ppm) |
0.07 |
<0.05 |
  |
  |
  |
ベンゼン(ppm) |
0.4 |
0.4 |
  |
  |
10 *2 |
*1:自動車排ガス規制値(平成元年規制)
*2:労働環境に関する参考値(日本産業衛生学会勧告値)
(注)新バイオ・ディーゼル燃料とは、走行実験時に使用したバイオ・ディーゼルの燃料の生成工程に、吸着剤による精製工程を追加し、不純物をより高度に除去した燃料である。