3 リサイクルシステムの構築
(1) 食用廃油
[1] 回収システム
-食用廃油の回収のあり方-
メインシステムとして、ごみステーションをべースとした月1回の回収を行う。ただし、食用廃油の回収には世話役が必要なため、町会・自治会に対する説明会を行い、世話役を置くことができるごみステーションで実施する。
また、サブシステムとして、市役所や出張所などの公共施設や協力の得られる商店等にも回収拠点を設置する。
市民アンケート調査結果より、食用廃油のリサイクルに協力意向のある世帯が74.7%であり、システムが整備されれば多くの世帯の協力は可能である。
多くの市民が参加できる回収場所までの距離は、ごみステーションと同じくらいという回答が70.0%であったことから、ごみステーションをべースとした廃油回収を行う。
ごみステーションで回収を行う場合には、回収容器の保管や排出時の立ち会いなど世話役の確保が不可欠である。世話役としての協力意向は、協力できる世帯が9.4%、手間がかからなければ協力できる世帯が38.6%であったが、回収容器の保管や排出時の立ち会いにはかなりの労力を要するため、世話役として協力できる世帯は限定されると考えられる。そのため、多くの市民の協力が得られるシステムとするためには、町会や自治会に対して密に説明会を実施するなど、できるだけ多くの世話役を確保する。また、世話役の負担をできるだけ軽減するためには、回収頻度は月1回程度とする。
また、市民生活は多様であり、決められた回収時間に排出できない市民がいると考えられることから、公共施設や商店等での拠点回収システムを合わせて構築する。
[2] 処理システム
-食用廃油の処理システムのあり方-
ごみステーションをべースとした回収により、多くの回収量を期待できることから、メインシステムとしてバイオディーゼル燃料としての再利用を行う。製造したバイオディーゼルはごみ収集車の燃料として活用するほか、坊っちゃん電車の燃料など啓発効果の高い事業に使用することを検討し、食用廃油の市内循環システムを構築する。
また、サブシステムとして、消費者団体等と協力して、リサイクルプラザなどで行う廃油石けん教室に廃油を供給することも検討する。
世話役が配置可能なごみステーションで回収した場合、5カ所に1カ所のごみステーションで回収し、廃油を排出している世帯(全体の約7割)のうちの5割の世帯が協力したと仮定すると、180,000世帯×1/5×70%×50%×6リットル=約75,000リットル/年の回収が見込まれる。これだけの廃油を、廃油石けん教室や既存のリサイクルルートで再利用することは不可能であり、需要量の大きいバイオディーゼル燃料としての再利用を行う。
製造したバイオディーゼル燃料は、ごみ収集車の軽油代替燃料として使用することで、松山市から排出した廃油の市内での再利用が可能である。また、民間企業と協力することで、坊っちゃん電車のような松山市の特徴的な事業にバイオディーゼル燃料を使用することで、市民に対するPR・啓発効果も期待される。
処理施設については、当面のモデル事業では県外にある民間処理施設に委託することで処理は可能であるが、将来的には、市内に施設を確保する必要がある。市内の民間事業者の中には、事業系食用廃油を収集してバイオ・ディーゼル燃料に再生する計画を持っているところがある。施設整備は、これらの民間事業者を有効に活用し、家庭系の食用廃油についても、事業系の食用廃油と一緒に処理を行うことにより、効率的なシステムの事業を行い、かつ、民間事業者の育成支援を図る。
松山市では、リサイクル教育の一環として、食用廃油から粉石けんを製造する設備を有している。また、消費者団体が主体となって廃油からの石けんづくり教室を開催しているという土壌がある。このような、リサイクル教育や消費生活活動とリンクした取り組みについても検討する。
また、廃油を使い切ることが最も環境に負荷を与えない方法であるため、廃油を使い切るようなPR・啓発についても検討する。
図表6-1 食用廃油のリサイクルシステム
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[3] 役割分担
食用廃油のリサイクルシステムについて、市民・事業者・行政の各々の役割分担は図表6−2に示すとおりである。
図表6-2 各主体の役割分担(食用廃油)
主体 |
役割 |
市民 |
○食用廃油リサイクルシステムの意義の理解
○食用廃油の排出
○回収拠点での世話役としての協力
○石けんづくり教室での食用廃油の利用 |
事業者 |
○事業系リサイクルシステムの構築とプラントの建設・運営
○行政が回収した家庭系食用廃油の受け入れ
○行政へのバイオ・ディーゼル燃料の提供 |
行政 |
○家庭系リサイクルシステムの構築
○市民への事前説明会の実施
○分別収集の実施
○拠点回収の実施
○石けんづくり教室への食用廃油の提供
○プラントの建設・運営支援
○バイオ・ディーゼル燃料の使用
○市民・事業者へのPR・啓発事業の実施 |