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4 情報基盤の整備状況
 桑名・員弁地域の情報基盤について、次世代の高速・常時接続サービスを担うと目されているCATV(※)ADSL(※)、光ファイバ網に着目し、地域での整備状況を検討する。
(1) CATV
 CATVは21世紀三重情報化社会推進プランにおいても三重県における主要な情報通信基盤と位置づけられ、積極的な整備が進められてきたところである。県庁舎とCATV各局を結ぶ県所有および賃貸光ファイバ網により、これまでNTTなどの専用線網で形成されていた行政ネットワークがCATV網を使う形に再構築され、志摩サイバーべースプロジェクト(※)により全県的な高速大容量のビジネスネットワークが新たに構築される。
 各市町村のCATVネットワークも整備が進んでおり、図表2-10に示したように、桑名・員弁地域の木曽岬町を除き、平成14年度までの整備が決まりつつある。
図表2-10 三重県のケーブルテレビ整備状況
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 桑名・員弁地域のCATVサービスは、勢慶映像ネットワーク、CTY、東員プラムチャンネルの3社が行っている。その内、インターネットサービスを行っている前2社について基盤整備状況、サービス内容を概観する。東員プラムチャンネルは東員町内の住民にTV放送の再送信を中心に行っており、現在はインターネットサービスを行っていない。
 
ア 勢慶映像ネットワーク
 勢慶映像ネットワークは平成4(1992)年12月に開局し、現在サービスエリアは桑名市と東員町の一部(西桑名ネオポリス団地)であり、桑名市のカバー率は約6割である。
 テレビ放送は、東海テレビなどの再送信に加え、地域の情報番組を流す桑名テレビ、有料チャンネルなどが36チャンネルあり、FM放送は東海FMなど5波を放送している。
 インターネットサービスは平成13(2001)年2月より開始しており、3月末で350世帯となっている。現在、下りの通信速度256〜512Kbpsである。インターネット利用料金は、月額利用料金が5,600円となっている(平成13年6月時点)。今後は、NTTのADSLサービスがライバルとなるものとみられ、ADSL(1.5M)に対抗して増速を予定している。また、ADSL自体は過渡的なものであり、2年後に普及するであろう光ファイバの方が脅威と考えている。
 今後のマーケット拡大に向けて、桑名ビジネスリサーチパークに遠隔教育支援、行政情報、生涯学習支援、産業支援などのシステム提案を進めているところでもある。
 
イ CTY
 CTYは平成2年1月に開局し、現在サービスエリアは四日市市、菰野町、楠町、員弁町、大安町に広がり、そのカバー率は約8割である。
 テレビ放送は、東海テレビなどの再送信に加え、市の広報、地域情報、オリジナル文字情報、デイリーニュースなどを流すコミュニティチャンネルが3チャンネルあり、全体で39チャンネル送信している。FM放送は、FMよっかいちポートウェイブなど5波の放送をしている。
 インターネットサービスは平成9年4月から開始し、平成13年4月現在で13,632世帯が加入していて、最近1年間で倍増のぺースと急速に拡大している。利用料金は、月額で最大512Kbpsが5,800円、1Mbpsが8,800円となっている(平成13年6月時点)。今後、ライバルはエリア的な限定があるとはみられるがADSLと考えている。ただし、NTTは現状で価格帯にも大きな差はないので解約、乗り換えなどは起きていない。一方、Yahooは安価な上にコンテンツも多く、脅威となるものとみている。
 今後のマーケット拡大に向け、利用者の操作性向上のために、パソコンに代わるタッチパネル形式の端末をメーカーと共同開発しており、平成15年頃に無料で配布を予定している。また、地域コンテンツを重視しており、開局当時から撮りためた幼稚園、保育園番組、地域音楽活動などの映像を、電子データとして保存し、ビデオ・オン・デマンド(放送局と各家庭の端末をネットワークを介して接続し、各家庭で任意の時間に任意の放送を見ることができるサービス)で配信することも考えている。
(2) ADSL
 ADSLは、既存の電話回線を利用して高速通信を可能とするもので、全国で2,900万回線がADSL化することが可能とみられている。総務省調査によれば、2、3ヶ月で倍増のぺースで増加しており、平成13年11月末に120万加入に達している。
 
ア NTT西日本
 NTT西日本によるADSLのサービスエリアは、桑名・員弁地域全域である。平成13年6月から、市部についてサービスを開始し、町部も今年度中にサービスを行う予定である。
 利用料金は、通信速度最大1.5Mbpsで月額2,900円(平成13年12月現在)。最大8Mbpsで月額3,100円である(圏域内では平成14(2002)年3月8日から桑名市でサービス開始予定)。ユーザーの反響はおおむね好調であるが、現在の申込状況をみる限りは、ヘビーユーザーが中心とみられる。今後、一段の値下げで一般ユーザーへの普及を図る。Yahoo-ADSLについては、ユーザーの関心を相当呼んでいるが、NTTでもサービスできない地域がかなりあり、既存回線を借りるYahooが桑名・員弁地域でどの程度できるかは明らかではない。
(3) 光ファイバ網
 加入者系(利用者の自宅と通信事業者の最寄りの局とを結ぶ回線)光ファイバ網の全国カバー率は、総務省調査によれば平成12年度末で43%に達している。ただし、光ファイバによるインターネット接続サービスに加入可能な地域は政令指定都市地域を中心とした一部地域に限定されており、加入数も平成13年9月末で3,500件とかなり少ない状況にある。
 
ア NTT西日本
 NTTの行う光ファイバサービスは、Bフレッツの名称で開始されており、最大100Mbpsのべーシックタイプ、最大10Mbpsのファミリータイプ、マンションで共用するマンションタイプなどがある。利用料金は、べーシックタイプが9,000円、ファミリータイプが5,000円、マンションタイプが3,000円〜3,500円である。
 東海地域では平成13年11月現在、愛知県名古屋市内の中区、東区、中川区などでサービスされている。桑名市では大山田団地に光ファイバを敷設済みであり、一般家庭へのサービスもニーズを見合った上で展開されるものとみられる。
 今後、超高速通信基盤となるFTTH(fiber to the home:利用者の家まで光ファイバよる超高速通信ネットワークを引き込むこと)を地域で展開していくには、基盤整備に大きなコストがかかるので、通信事業者としては、地域内の基幹線部分(例えば本庁から支所、学校などの公的施設間)を光ファイバーで結ぶ事業を公的機関が中心になって行い、その先の需要開拓を通信事業者が行う形とするような役割分担が必要ではないかと考えている。なお、地域高速ネットワークの整備については、総務省が地域公共ネットワークの整備について公的資金による支援を計画しており、公的機関との連携の可能性がうかがえる。








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