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3 市町村の電子自治体化対応状況
 全国の自治体の電子自治体化対応状況については鹿児島総合研究所、日本・アルカディア・ネットワーク、e-GUILDにより総務省の「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策の推進に関する指針」、「地域IT推進のための自治省アクションプラン」にもとづき、進捗度アンケートを行っている。ここでは鹿児島総合研究所他と連携して桑名・員弁広域連合構成自治体の電子自治体への対応状況を検討する。
(1) 全国自治体の電子自治体化関連事業への対応
 全国的な電子自治体への対応状況は、「電子自治体化事業の殆どを平成15年度までに行う」という先進自治体は約1割、「大体の事業について実施計画がある自治体」は約6割となっている。7割程度の自治体は電子自治体化に向けた動きを意識して事業を進めていることがうかがえる。一方、「実施予定は大体平成16年度以降か殆ど未定」というところは3割強であった(図表2-6)。
図表 2-6 電子自治体化への対応状況
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 アクション・プランに示された電子自治体化に直接関わる事業の進捗をみると、「既存住民基本台帳システムの改修」、「ファイア・ウォール(firewall:組織内のコンピュータネットワークヘ外部から侵入されるのを防ぐシステム)などのコンピュータ・セキュリティ対策の実施」といった基盤的なもの、・「個人情報保護条例の制定・改正」、「情報公開条例の制定・改正」といった制度面での整備については、実施済みもしくは実施時期が決まっている割合が8割以上とかなり進捗している。とくに「既存住民基本台帳システムの改修」については、住民基本台帳ネットワーク関連事業の実施を意識して、平成13年度中に集中した形となっている(図表2-7)。
 次に、以前から電子自治体化の中心的事業として掲げられていた「総合行政ネットワークヘの接続」、住民基本台帳ネットワークにかかる「住民基本台帳ネットワークによる本人確認情報の利用開始」、「住民基本台帳カード交付開始」といった事業も実施時期が決まっている割合が6割程度と比較的高い割合になっている。実施時期も「総合行政ネットワークヘの接続」は平成15年度に比較的集中している。住民基本台帳ネットワーク関連の事業については、平成14年度から平成15年度に実施する自治体が多く、「住民基本台帳ネットワークによる本人確認情報の利用開始」は計画自治体の半数弱が平成14年度に、残りの半数弱が平成15年度に実施する。また、「住民基本台帳カード交付開始」は、平成15年度に集中して行われる傾向がうかがえる。
 一方、「組織認証基盤(LGPKI)(※)の整備」、「個人認証基盤(※)の整備」、「自治事務、法定受託事務のオンライン化」、「地方税申告手続オンライン化」、「電子選挙」、「電子調達」など、住民や企業へのサービスを行う事業の多くは、実施時期が「未定もしくは不明」となっており、対応にやや遅れがうかがえる。
図表 2-7 個別電子自治体関連事業の進捗状況
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(2) 構成自治体の電子自治体化関連事業への対応
 桑名・員弁広域の電子自治体化に向けた対応状況を、総務省の「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策の推進に関する指針」に示された主要な項目についての実現時期アンケートにより把握・整理した。
 まず、桑名・員弁広域連合構成自治体の総合的な進捗状況をみると、「大体実施予定あり」のランクに含まれる(図表2-6参照)。ただし、構成自治体でこのランクに含まれているのは2自治体に過ぎず、「実施予定が少ない」というランクに含まれるものが2自治体、「殆ど実施予定あり」という上位ランクに含まれるものが4自治体と非常にばらつきのある結果となっている。
 進捗状況を職員一人1台のパソコン整備、情報系LAN(※)の整備などの「情報通信基盤」、住民向け行政手続のオンライン化、意見公募などによる住民の声の反映などの「住民ニーズ対応」、企業向け行政手続のオンライン化、EC(electronic commerce:電子商取引。個人や企業が行う商取引で、取引のプロセスが電子化、ネットワーク化されているものを示す)向け各種電子証明書などの発行などの「社会経済活性化」、事務処理全般の見直し、総合文書処理システムの導入などの「行政簡素化・効率化」という分野別に整理したものが図表2-8である。
 情報通信基盤、行政簡素化・効率化は全国平均をやや上回り、社会経済活動活性化の分野ではやや全国平均を下回るという、きわめて平均的な位置づけとなっている。情報通信基盤と住民ニーズ対応についてはまとまりがみられる。情報通信基盤整備は平成15年度までにほぼ整備を行うとする自治体が殆どであり、住民ニーズ対応については平成15年度までに整備とするところから大体平成16年度以降とするところまでに若干広がりがみられる。しかし、行政簡素化・効率化については、殆ど未定の自治体から殆ど実施済みとする自治体まで大きなばらつきがみられる。
図表 2-8 情報分野別の追捗度
 次に、「地域IT推進のための自治省アクションプラン」にもとづいて個々の電子自治体関連事業の進捗状況を整理したものが、図表2-9である。全国的にみて早期に実現が図られようとする順に並べ替えている。
 桑名・員弁地域における実現状況をみると、早期に実現されるものでは、「全庁的なLAN(※)(情報系)の整備」、「既存住民基本台帳システムの回収」、「職員一人あたりのパソコンの実現」、「事務の電子化に伴う事務処理手法の見直し」については、全国平均を上回るぺースで実現されようとしている。とくに、職員一人1台のパソコンの実現については殆ど実施済みの状況であり、事務の電子化に伴う事務処理手法の見直しも平成14年度中に実施されようとしている。
 一方、「コンピュータ・セキュリティ対策の実施」、「個人情報保護条例の制定・改正」、「歳入・歳出手続の電子化」については遅れ気味であり、とくに個人情報保護条例の制定・改正は平成15年度以降であり、かなりの遅れとなっている。
図表 2-9 桑名・員弁地域における個別電子自治体関連事業の進捗   
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