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2 電子自治体化
(1) 電子自治体化に向けた国、県の動向
ア 国の動向
 電子政府という言葉が公的に使い始められたのは、平成9年12月の「行政情報化推進基本計画」であり、そこでは21世紀初頭の電子政府の実現がうたわれていた。2年後の平成11(1999)年12月に示された「ミレニアムプロジェクト」では平成15年度までに電子政府の基盤を構築するとして、より実現時期が明確になった。さらに、平成13年3月の「e-JAPAN重点計画(※)」では平成15年度の目標時期は変わらずに、「電子情報を紙情報と同などに扱う行政を実現する」という表現で電子政府そのものを実現する目標が設定された。
 このように実現時期が前倒しになるとともに、目標そのものも当初の電子政府の基盤づくりから電子政府そのものの実現が図られようとしており、電子政府、電子自治体実現の道のりはかなり厳しいものとなっている。
 e-JAPAN重点計画(※)では、平成15年に実現される電子政府のイメージを描いており、これを電子政府における住民、企業との関係(パブリックアクセス)、電子政府自身の経営(パブリックマネジメント)といった視点で整理すると、図表2-4のようにまとめられる。パブリックアクセスでは「行政情報の電子的提供」、「申請・届出など手続の電子化」、「調達手続の電子化」についてインターネットを通じて殆ど全てのサービスがどこでも、24時間いつでも受けることを可能にしようとしている。パブリックマネジメントではインターネット上での納税や手数料納付を実現する「歳入・歳出の電子化」、関係業務の電子化、書類、通知などの「ペーパーレス化」を進め、パブリックアクセス実現の基盤を形成している。
図表 2-4 平成15年度に実現される電子政府のイメージ
分野 主な項目 平成15年度における姿
パブリックアクセス 行政情報の電子的提供 行政機関の組織・任務、所管法令や施策・事業の計画や実績、官報などで公表が義務付けられている報告や統計調査結果、審議会答申などの報道発表資料などの行政情報を、原則として、紙ベースとは別にインターネット・ホームページでも24時間、容易に、電子的に手に入れることが可能となる。
申請・届出など手続の電子化 実質的にすべての申請・届出など手続が、原則として24時間、自宅や事務所から行うことが可能となる。(例) 国税申告手続、電気通信事業関係手続、貿易管理関係手続、道路運送・海上運送・航空業関係手続
調達手続の電子化 入札・開札がインターネットにより可能となる。(公共事業は、原則として平成16年度までに)
パブリックマネジメント 歳入・歳出の電子化 申請・届出などに必要な手数料納付、納税などをインターネットにより行うことが可能となる。
ペーパーレス化
(電子化)
各府省 LAN や霞ヶ関 WAN を活用し、行政機関内部や各行政機関間において紙ベースで行われている法令などの協議、各種会議開催通知、業務関係資料の配布 (回覧)などを実質的にすべてペーパーレス化 (電子化)する。

資料:
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部「e-JAPAN重点計画」(平成13年3月)


 
 電子政府実現の主要目的に「住民へのサービスの向上」があることから、住民との接点が多い自治体の電子化も不可欠ととらえられている。平成12年7月、自治省に「地域IT推進本部」が設置されて、自治体の電子化に向けた取組の支援を開始している。電子自治体推進施策としては8月に「地方公共団体における情報化施策などの推進に関する指針」、12月には「地域IT推進のためのアクションプラン」とやつぎばやに示されている。
 地域IT推進のためのアクションプランでは、基盤として、総合行政ネットワーク(LGWAN)(※)住民基本台帳ネットワーク(※)などの構築が位置づけられ、全ての自治体が平成15年度までにはこれに接続することを要請されている。パブリックアクセス分野については「組織認証基盤(LGPKI:local governmental public key infrastructure。電子文書が当該組織によってなされたものであるかを確認するためのシステム基盤)の整備」、「個人認証基盤(電子文書が当該個人によってなされたものであるかを確認するためのシステム基盤)の整備」、「オンライン化に係る法令の整備」、「地方税の申告手続のオンライン化」といった住民からの申請・届出などのオンライン化の推進に係る基盤整備を中心に具体的プランが示されている。パブリックマネジメント分野においても、「総合行政ネットワークの整備」、「住民基本台帳ネットワークの整備」、「コンピュータ・セキュリティ対策」といった基盤的な内容が中心となっている。また、電子政府・自治体における住民参加を実現するデジタルデモクラシー分野についても「電子機器利用による選挙システムの検討」といった基礎的な検討作業が進められている。
 
イ 三重県の動向
 三重県においては、平成9年度に作成した21世紀三重情報化社会推進プランにおいて「電子県庁の実現」を掲げており、早い時期からの取組を行ってきている。現在、総合文書管理システムを軸に、行政LAN(local
area network:庁舎内などの限られた空間でコンピュータや周辺機器を接続し、ファイルやプリンターを共有するネットワーク)やWAN(wide area network:庁舎間などの広い範囲に渡って結ばれたネットワーク)の整備・活用、一人1台パソコンの整備・活用などを進めるハード基盤の整備、電子メール・掲示板などの活用、業務システムの再開発などを進めるソフト基盤の整備、情報化キーパーソンの設置、情報化専門職員の育成などを進める人的基盤の整備を行っているところである。
 電子県庁の推進状況と整備スケジュールは、図表2-5に示したとおりであり、平成13年度は申請・届出手続の電子化、住民基本台帳ネットワークシステム、総合行政ネットワークなど主要プロジェクトの集中的な準備期間となっている。また、平成14年度から15年度にかけて、住民基本台帳ネットワーク、総合行政ネットワークとの接続、CALS/EC(commerce at light speed/electronic commerce:製品生産、保守にかかるすべての情報を共通のデータベースで管理して相互に利用し企業間取引の効率化を図る規格と電子商取引)の実証実験など市町村に順次展開が図られていく。
 平成13年度から三重県においてもIT戦略推進本部が設置され、三重県のIT化に向けた戦略プロジェクトの検討を進めている。戦略プロジェクトとして「電子自治体推進」、「志摩サイバーべース・プロジェクト(※)推進」、「GIS(geographic information system:地理情報システム。)の整備推進」、「地域保健医療福祉情報ネットワーク推進」を採択し、それぞれワーキンググループを設置して推進を図っている。
 とくに、市町村の電子自治体化推進については、「市町村電子化推進ワーキンググループ」において、県民局が主体となって広域研究会を設置し、総合行政ネットワーク、電子申請・届出、人材育成など電子自治体構築に向けてのベンチマーク研究を行う。また、市町村が研究・研修できる場を平成13年度内に設けて市町村の電子化を支援し、住民のITリテラシー(情報通信システムを使いこなす能力)向上も図る。
図表 2-5 電子自治体化関連事業スケジュール
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(2) 北勢地域電子自治体構想
 四日市市、桑名市、鈴鹿市など北勢地域16市町は、平成13年度から「住民基本台帳ネットワークシステム広域運用」の検討を行っており、併せて北勢地域全体で電子自治体化に取り組む「北勢地域電子自治体構想」の検討も進められている。
 住民基本台帳ネットワークシステムの広域運用については、桑名市、鈴鹿市、四日市市および郡代表で幹事会を構成し、システムの詳細を検討する。システム運用イメージとしては、三重ソフトウェアセンターにゲートウェイサーバを置き、都道府県ネットワーク、各自治体の住民基本台帳システムと専用線で結んで運用される方向で検討されている。








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