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付録6
リスク制御手段の属性
1 分類区分Aの属性
 
1.1 「Preventive risk control(予防的リスク制御)」とは、リスク制御手段が、事象の確率を軽減する場合をいう。
 
1.2 「Mitigative risk control(リスク軽減制御)」とは、リスク制御手段が、事象の結果又は、もしあれば、後発事象の結果の厳しさを軽減する場合をいう。
2 分類区分Bの属性
 
2.1 「Engineering risk control(エンジニアリング・リスク制御)」とは、設計の中に安全手段を含めていることをいう(組み込まれていても、追加でも良い)。このような安全手段は安全限界であり、安全手段が無い場合には許容できないレベルのリスクをもたらす。
 
2.2 「Inherent risk control(固有リスク制御)」とは、設計プロセスにおける最も高い概念レベルで、潜在的リスクのレベルを制限する選択を行なった場合をいう。
 
2.3 「Procedual risk control(手続的リスク制御)」とは、運用者が、それに従って行動することにより、リスクを制御するために依存する所定の手続きをいう。
3 分類区分Cの属性
 
3.1 「Diverse risk control(分散的リスク制御)」では、システムの側面に異なった方式でまたがって、制御が分布している。一方、集中リスク制御は、システムの側面に対して、リスク制御が同じ方式となっている。
 
3.2 「Redundant risk control(冗長リスク制御)」では、リスク制御の不全に対してしっかりとしている。一方、「単一リスク制御」は、リスク制御の不全に弱い。
 
3.3 「Passive risk control(受動的リスク制御)」は、リスク制御手段をやり遂げるためのアクションを必要としないのに対し、「Active risk control(能動的リスク制御)」は、安全設備あるいは運用者のアクションを必要とする。
 
3.4 「Independent risk control(独立リスク制御)」は、リスク制御手段が他の要素に影響を与えない場合をいう。
 
3.5 「Dependent risk control(依存方リスク制御)」は、1つのリスク制御手段が、risk contribution treeの別の要素に、影響を及ぼす場合をいう。
 
3.6 「Involved human factors(含まれた人的要因)」とは、リスク制御に人間のアクションを必要とするが、人間のアクションの失敗が、それだけで、事故の発生や事故連鎖の進行につながらないものをいう。「Critical human factors(重大人的要因)」は、人間のアクションの失敗が直接事故を引き起こすか、事故連鎖を進行させる場合に、人間のアクションがリスク制御に不可欠なことをいう。
 
3.7 「重大人的要因」の属性がある場合には、リスク制御手段の中で、人間のアクション(あるいは重大タスク)が明確に定義されなければならない。
 
3.8 「監査可能」又は「監査不可能」とは、リスク制御手段を監査することができるかできないかを示す。
 
3.9 「定量的」又は「定性的」とは、リスク制御手段がリスクの定量的評価に基づくか定性的評価に基づくかを示す。
 
3.10 「確立された」又は「新規の」とは、リスク制御手段が既存の海事技術あるいは運用を拡張したものであるか、或いは、新しい手段であるかを示す。異なるグレードを与えることも可能であり、例えば、その手段が海運では新規であっても他の産業では確立されたものであったり、海運でも他の産業でも新規であったりする。
 
3.11 「完成した」又は「未完成の」とは、リスク制御手段の背後にある技術が、その技術的有効性と基本コストの両面で完成されたものであるかどうかを示す。「未完成の」とは、技術的に未完成であるが、十分に完成を見込むことができる場合、若しくは、その基本コストが所定の期間内に低減されることを期待できる場合をいう。この属性を考慮する目的は、発展を期待し、前向きの手段やオプションの創出を試みることにある。








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