7 FSAステップ3 : リスク制御オプション(RCO)
7.1 範囲
7.1.1 ステップ3の目的は、効果的かつ実用的なリスク制御オプション(RCO)を提案することにあり、以下に示す、主要な4つの段階で構成される:
.1 制御を必要とするリスク分野に注目すること;
.2 潜在的なリスク制御手段(RCM)を特定すること;
.3 ステップ2を再評価し、RCMのリスク削減に対する有効性を評価すること; 及び
.4 RCMを実用的な法規オプションとしてグループ化すること。
7.1.2 ステップ3は、既存のリスク及び新技術又は運航や管理の新たな方法によってもたらされるリスクの双方に対応するリスク制御オプションの創出を目指している。昔から存在していたリスク及び(ステップ1及び2から)新たに特定されたリスクの双方を検討し、広い範囲をカバーするリスク制御手段を生み出さなければならない。特定のリスク及び潜在的要因の双方を取り扱うよう設計された手法を使用しなければならない。
7.2 方法
7.2.1 制御が必要な分野の決定
リスクに焦点をあわせる目的は、ステップ2の成果物を振い分けして、最もリスク制御を必要としている分野に注目することにある。この評価を実施する上での主要調査項目は以下のとおりである:
.1 発現頻度と結果の厳しさを考慮して、そのリスクレベルを調査する。許容しがたいリスクレベルを有する事故が主要な調査対象になる;
.2 最も高い発現頻度を有するリスクモデルを特定して、その発生確率を調査する。これらは、結果の厳しさには関わり無く取り扱われる;
.3 最も厳しい結果に寄与するリスクモデルの部分を特定して、その厳しさを調査する。これらは、その発生確率とは関係なく取り扱われる;及び
.4 リスクモデルのリスク、厳しさ又は発生確率に相当の不確実性が存在する部分を特定して、その信頼性を調査する。これらの不確実性を有する部分も取り扱われなければならない。
7.2.2 潜在的なRCMの特定
7.2.2.1 既存の手段では十分に制御できないリスクに対する新たなRCMを特定するために、通常は、体系的な調査手法が使用される。この手法は、適切な手段の開発を促進することができ、リスクの属性及び事故の連鎖を含むものである。危険属性は、「惨事に通じる始めの事象」においてリスク制御を導入することができるかもしれない危険及び事故の連鎖をどのようにリスク制御手段が制御できるかに関係する。
7.2.2.2 RCM(及びこれから決められるRCO)は幅広い属性を有している。これらの属性は、付録6の例に従って分類することができる。
7.2.2.3 属性を定義する主要目的は、RCMがどのように機能し、それがどのように適用され、また、それがどのように作用することになるのかを理解するために、体系的な検討プロセスを容易にすることである。属性はまた、適用可能な異なる種類のリスク制御についてガイダンスを提供すると考えることができる。多くのリスクは、出来事の複雑な連鎖及び原因の多様性の結果として現れる。このようなリスクについては、以下に示す因果関係の連鎖を発展させることにより、RCMの特定を支援することができる:
因果関係の要因→不全→状況→事故→結果
7.2.2.4 RCMは、一般的に、以下の1つ以上を目的としている:
.1 より良い設計、手順、運営方針、訓練等を通じて、不全の頻度を低減すること;
.2 事故を防止するために、不全の影響を緩和すること;
.3 不全が生じ得る環境を緩和すること;そして
.4 事故の結果を緩和すること。
7.2.2.5 RCMのリスク削減の効果については、ステップ2の方法を用いて評価されなければならない。その評価には、RCMの導入による潜在的副作用についての考察も含まれる。
7.2.3 RCOの構成
7.2.3.1 このステージの目的は、RCMを、限られた数の十分に考え抜かれた実用的な法規オプションにグループ分けすることである。個々の手段をオプションにグループ分けする方法は、幅広く存在している。起こり易さ及び段階的拡大と関連した、以下の2つの方法が考えられる:
.1 「一般的なアプローチ」は、事故発生の起こりやすさを制御することによってリスクを制御するもので、別々の事故が相次いで起こるのを防止するのに有効である;及び
.2 「分散的アプローチ」は、事故が段階的に拡大すること、及び恐らく関連はない他の事故が考えている事故の段階的拡大の後半段階に影響する可能性を制御するものである。
7.2.3.2 RCOを作成する際には、提案された一連の手段によって影響を受ける可能性がある,利害関係者を特定しなければならない。
以下に、ステップ3の成果物を示す:
.1 一連のRCOs、そのリスク削減の効果が評価される;及び
.2 特定されたRCOsによって影響を受ける利害関係者のリスト。