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5 FSAステップ1 : ハザードの特定
5.1 範囲
 
ステップ1の目的は、検討中の問題に特有のリスクレベルにより優先度を付けられた、一連のハザード及び関連するシナリオを特定することにある。この目的は、事故に繋がる可能性のあるハザードを特定する標準的手法の利用、及び、利用可能なデータと判断の組み合わせによりハザードのふるいわけすることにより達成できる。ハザードを特定する作業は、検討中の船舶の種類や問題を一般化した機能やシステムのもとで実施される。これは、パラグラフ4.2の中で一般化モデルを見直すことにより確立される。
5.2 方法
 
5.2.1 潜在的ハザードの特定
 
5.2.1.1 ハザードの特定に際しては、関連する全てのハザードを特定するため、通常、創造的手法と分析的手法の双方が組み合わされる。創造的手法により、そのプロセスが予防的であり、かつ、過去に現れたハザードだけに限定されないことが保証される。通常、創造的手法は、事故の原因と結果及び関連するハザードの特定を目的として組織化されたグループによる調査によってなされる。機能的欠陥についての考察が、このプロセスに役立つ可能性がある。このように体系的な調査を実施するグループには、船舶の設計、運航及び管理のような様々な分野の専門家、及びハザードを特定するプロセスや人的要因を組み入れる作業を手助けするスペシャリストを含まなければならない。組織化されたグループによる調査は、数日間に渡って行われることがある。一方、分析的手法により、過去の経験を正しく考慮し、通常はその背後にある情報(例えば、適用法規、事故カテゴリー毎の利用可能な統計データ、及び、人的ハザード、有害物質、着火源等のリスト)を利用することが可能になる。船内作業に関連するハザードの例を付録2に示す。
 
5.2.1.2 それぞれの事故カテゴリーにおいて起こり得る原因と結果についての大まかな分析は、対象となる問題に対応して選択された、確立された手法(付録3に例を示す)を用いて実施されなければならない。
 
5.2.2 順位付け
 
対象になっている問題に関連して特定されたハザード及び関連するシナリオには、順位付けをして優先順序を定め、また、重要度が低いと判断されたシナリオは廃棄されなければならない。各シナリオがもたらす頻度と結果について評価しなければならない。順位付けは、シナリオに沿って、利用可能と判断されたデータを使用して実施される。Figure5に一般化されたリスク・マトリックスを示す。リスク・マトリックスで使用される頻度と結果の区分は、明確に定義されなければならない。頻度と結果区分の組み合わせは、リスクレベルを表している。付録4に頻度と結果の区分を定義する方法、及びランク付けをするためにリスクレベルを決める方法を例示する。
 
以下に、ステップ1の成果物を示す:
 
.1 ハザードリスト及びリスクレベルで優先順序付けされた関連シナリオ;及び
 
.2 原因と影響の記述。








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