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4 問題の定義
 
 問題定義の目的は、見直し中又は開発中の法規との関連において、分析中の問題を慎重に定義することである。問題の定義は、関連する全ての側面を考慮することにより、運用実績と現行法規との整合性が取れたものでなければならない。船舶を取り扱う場合に関連すると考えられる事項は、以下のとおりである(必ずしも、重要性の順に並べてはいない):
 
.1 船舶の分類区分(例えば、種類、長さ又は総トン数の範囲、新造船又は現存船の区分、貨物の種類);
 
.2 船舶のシステム又は機能(例えば、配置、区画、推進方式);
 
.3 船舶の運航(例えば、港内操船及び/又は航海中の操船);
 
.4 船舶に対する外部影響(例えば、船舶交通システム、気象予測、報告、航路選択);
 
.5 事故カテゴリー(例えば、衝突、爆発、火災);及び
 
.6 旅客や乗組員の負傷及び/又は死亡、環境影響、船舶や港湾設備へ損傷、或いは、商業面への衝撃のような結果に関与するリスク。
 
4.2.1 一般的に、検討中の問題は、多くの機能によって特徴づけられる。問題が船舶の種類に関連する場合を例にとると、これらの機能には、有料貨物の輸送、通信、危機対応、操船性等が含まれる。また、問題が、例えば火災のようにハザードの種類に関連している場合には、これらの機能には、防火、検知、警報、封鎖、非難、消火等が含まれる。
 
4.2.2 したがって、FSAの適用に対しては、一般化モデルを定義して、取り扱う問題に関連する全ての船舶や区画に共通な機能、特徴、特性及び属性を記述しなければならない。
 
4.2.3 一般化モデルを独立した個船として見ることはせず、むしろ、定められた機能要件を満たす組織、管理、運航、人間、電子機器及びハードウェアといった側面を含む、システムの集合体として考えなければならない。機能及びシステムは、適切なレベルまで細分化される。機能とシステムの相互作用の側面及びその変動幅についても取り組まなければならない。
 
4.2.4 物理法則によって支配される、船舶の技術的及びエンジニアリング・システムが統合されたシステムの中心にあることを認識し、Figure 3に示すような包括的な見方をしなければならない。技術的及びエンジニアリング・システムは、乗客及び乗組員とは不可欠に関係しており、これは人間の行動の機能となる。乗客や乗組員は、船舶の組織基盤や管理基盤、及び、船舶や船隊の運航、保守及び管理に従事する人と相互に作用し合う。これらのシステムは、外部の環境状況に関係し、これは、海運に関与するあらゆる当事者及び公衆からの圧力や影響に支配される。これらのシステムの構成要素は、夫々、動的に相互に影響し合う。
4.3 結果
 
以下のものが問題定義の出力となる:
 
.1 問題の定義及び境界条件の設定;及び
 
.2 一般化モデルの作成。








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