(イ) 今まで自由にさせていたSUD表のkの項目の時間内に、英語の単語、熟語の暗記と確認テストを行う。
(ロ) SUDのjの時間に受け身ではなく、質問を中心とした授業を行う。
(ハ) 夜の授業では、いろいろなタイプのクラスに入りSUDのd、e、gの脱感作を行う。その際講師はR男の態度、視線、トイレの回数を細かくチェックする。
上記の(イ)〜(ハ)を1カ月連続して行う。
《R男の状態》
大検が終わり外出する回数も増え、週末は親戚など、慣れた場所なら出かけられるようになった。しかし、月曜日は週末の疲れを引き、しばしば体調の不良を訴える。月曜日の夜R男の不安を聞き、「君は立派に大検を受けたではないか。やればできる」と激励を入れた臨床カウンセリングを行うと、翌日から、2、3日は快調に過ごすことができる。がまた、木曜の夜あたりから不調を訴え、やる気の低下や早退を繰り返す。この繰り返しで10月が終了した感がある。引き続き11月も(イ)〜(ハ)を繰り返し、同時に見直し後の指導方向3]を実行に移す。
*見直し後の指導方向2]の実行
10月2日(水)−11:00 精神科医の末丸先生の初診を受ける。
現実脱感作のスケジュールを組み直す。そこで、友愛病院に通院することを機に、前述のSUDのcに取りかかる。
10月9日(水)−セラピストの車で病院まで往復する。
<投薬>・レンドルミン(催眠鎮静剤)・アナフラニール(抗うつ剤)
10月16日、23日(水)−他の先生(セラピスト以外)の車で往復。
前略
いつもお世話になっております。
現在、治療しておりますR男の件ですが、今日初めてバスで病院から帰宅させ、新しい歴史を加えさせようと思っております。
不安発作も予想されますので、対抗する頓服薬でもあれば持たせてください。
11月5日
友愛病院院長侍史
桜井久仁子
11月5日(火)−セラピストの車で病院へ行き、途中最寄りのバス停で、帰りのバスの時間を確認させる。その際、もし不安がくれば、セラピストに電話を入れるよう指示。その時はすぐに治療者が迎えに来るとの保証を与える。病院の玄関で「バスの運転手は親切だ。バスは停留所以外でも簡単に止めることができる。君がひと言声を掛ければいいんだ」とイメージさせ、セラピストはR男を残して帰宅する。
R男はバス停で少し迷ったが、無事にバスで帰れた。しかし、過度の緊張のため腸の調子が悪く、授業を受ける余裕がなかった。