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1] 待ち合わせ場所の確認

特にわかりにくい場所を設定したせいか、不慣れなデパートの中で探すのにかなり手間取ったようだ。まだ、見知らぬ人に場所を尋ねることができず、看板を見ながら自分で探し出す。

2] 物品の購入

会話はほとんど見られないが、無事購入できた。混雑するデパートの中で、少し不安がきたようだが、周囲をうかがいながら無事目的を果たすことができた。最近、積極的に外出を試みているR男の努力が効を奏してきたようだ。

【第4週】受験まで数日、最後の授業の日。

A子さんに声掛けができ、うれしそうにしていた。どちらも良い結果を出して欲しい。

大検−父親と共にH市で2日間(5教科)の日程を終了させる。教室の最後部、出口の近くの席ではあったが、途中でリタイヤすることなく、他の受験生と同様に受験することができた。

終了後、R男は、「思ったより良くできた。途中緊張したが、でもここまでがんばったのだからと思い直し、最後まで取り組んだ」と語っている。

大検という大きな目標を終了させ、表情も明るくなった。とりあえず、1カ月様子を見ることにし、生活面のサポートのみで、指導は休憩とする。

 

〔IV〕大検合格から過敏性大腸炎の克服まで《10月〜12月》

大検に5教科無事合格を果たしたが、テスト後の無気力な状態から立ち直ることができず、新たな目標もないまま、無為に時間を重ねる。ここで再度、ステップの組み直しを検討することにする。

1. 見直し後の指導方向

1] 前述のSUD表を使って、教室内での脱感作を引き続き行う。その際、不得意科目に関して復習を繰り返すなどの学習指導を強化し、得意科目をひとつでも多く増やすことを本人に意識させること(各教科の担当が語りかけや触れ合いを持つ)。

2] 当研究所と深いコンタクトを持つ友愛病院院長の末丸先生に、医学的側面から御指導を受けること(週1回の診察、問診、投薬)。

3] ソーシャルスキルトレーニングの不足を日常生活の細かいところまで指導、トレーニングすることで補うこと(自己修正日記の活用)。

4] 対人や場面恐怖症を克服するための適切な場所を検討すること(魚市場など)。

2. 指導経過

*学習指導と見直し後の指導方向1]の実行

・リブの学習時間−昼)14:00〜17:00、夜)18:00〜21:00

・学習する曜日−月曜日〜金曜日

だだし、体調が悪い時は、自分の状態を担当の講師に詳しく説明し、帰宅の許可を求める。

 

 

 

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