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4月15日−私(母親)の体を気遣う優しい面が見られた。久しぶりに写真を撮り、楽しそうに写真の話をする。写真代のことで不満をもらす。

4月16日−今日は友達が学校帰りに寄ってくれた。自分から遊びに行けないので、友達が来てくれるのを待つだけで寂しそうだ。テレビを見る時間がかなり多くなっているのが心配だ。

4月17日−父親は「R男は横着で自分のしたいことしかしない。そんな生活だから病気になる」と、批判的だ。実際勉強せず、ゲームに夢中になった頃から体調が悪くなってきた。私は子どものつらさをわかり、支えてやりたいと思いながら、一方では、受け入れがたい行動を取る子どもを責め、後でまたそんな行動をする自分を責めている(と、後に母親は二律背反の自分の気持ちを述懐する)。

夜、高校の音楽のS先生(女性、高校在学中から何かと気を遣い接してくれている。今、話を聞いてもらえる唯一の人である)と、電話で楽しそうに話をしている。

 

4月19日(金)−13:00(家庭訪問)本人、両親と面接。

1. 「大検を受けて大学に行きたい」という将来像を明確にイメージさせる。

2. 指導のために、ひとりで福山まで来るためのステップを考える。

・紙オムツをして母親の車で治療室(福山)まで来る(4/25)。

・セラピストの車を使う(5/2、5/9)。

・リブの男性講師の車を使う(5/16、5/23)。

・電車、バス、タクシーを使う(6月以降)。

3. 行動契約書を作成する。

・テレビ1日3時間以内(週27時間以内)。

・朝、昼、晩と自律訓練(注1)のテープを聴く。

・日々の生活を正確に日記に付ける。

4. 「F市で下宿し、大検の勉強をする」ことの可能性を考える。

 

《母親の日記から》

4月19日−夜、面接の内容(上記の2)から先々のことをいろいろ心配している。大らかな気持ちで構えて欲しいのだが…。電車、タクシーを使うより下宿のほうが良いと本人は考えたのか、ひとり暮らしの生活費のことを含め、自分勝手な要求ばかりしてくる。私も「いい加減にしなさい」と、怒ってしまった。

4月21日−この3日間テレビも3時間にして、勉強に励んでいる。今日はため息ばかりついていた。いろいろなことが心配でたまらない様子だ。夜、先生(セラピスト)の所へ電話したいという。電話の前、すごく緊張して何度もトイレに行く。先生から「よう電話してきたな」と言われ、笑顔が戻り、安心したようだ。

4月22日−今日はおなかの調子が非常に悪く、下痢気味だったようだ。しかし、先生(セラピスト)の励ましもあり、勉強や外出もしたようだ。少しずつ前向きになる子どもを見て本当にうれしく思う。

 

(注1) 自律訓練 想像をすることで精神的・身体的な弛緩を練習する治療法。種々のストレス性障害(特にストレス性の生理的障害)に適用される。典型的な自律訓練は、四肢の重感と温感、心臓と呼吸の調整、腹部の温感と前額の冷感を得ることの6要素からなる。

 

 

 

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