日本財団 図書館


Kと母親の会話 その1

2学期の中間テストを前にして、初めての経験にちゅうちょするKに母親が、

母:「テストを受けないと成績表がもらえない。お兄ちゃんの時のようにお母さんはKの成績表をもらいに学校へ行きたい」

K:「でも0点の成績表かもしれんよ」

母:「ええよ。お母さんはKの成績表がもらえることがうれしいんで、良い点数を見ることがうれしいんじゃないんよ」

K:「ホント、0点でも怒らない」

母:「絶対怒らないと約束するよ」

この後、Kはテストを受け、母親はテストの点数を話題にすることなく、その成績表を母親の宝物にすると宣言した。

 

Kと母親の会話 その2

土曜日に学校に行き渋るKに母親が、

母:「Kちゃん、Kちゃん今日学校に行かなかったら、みんな病気だと思う。そしたら友達が日曜日に『遊ぼう』と誘いにきても、お母さんは病気の子どもを遊ばせていると思われるから『いいよ』と言えないよ。でも、今日がんばって学校に行ったら、Kちゃんは元気なのだから、お母さんは気持ちよく『いってらっしゃい!』と言えるよ」

K:「じゃあ、今日学校に行ったら、明日一日遊んでもいい」

母:「ええよ、みんなを誘って遊びに行ったら。今日、学校でみんなと約束して帰るといいね」

この日から、Kは土曜日に学校を休むことをしなくなった。

 

11月 Kは学校を休んだ日でもクラブ活動(テニス)だけは出るようになる(Tの家庭訪問は月曜日のみ、週3回電話連絡を取る。出席率62%)。

12月 期末テストも渋ることなく受ける(Tは家庭訪問を取りやめ、週1回電話連絡を取る。出席率89%)。

1月 美術と音楽のみ保健室で過ごす。体育はグランドで見学か参加するようになる(欠席4日)。

2月 風邪のため欠席するが、その後、学校に行き渋ることもなく登校する(欠席7日、病欠を含む)。

3月 美術の授業は出られなかったが、美術の先生と仲良く話をする機会が持てた(欠席2日)。

*第2ステージが終了後、Tの直接介入を終了することをKに宣言する。

4月以降は母親の相談相手であり、KのカウンセラーではないことをKに話し、様子を見る。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION