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8月28日 11:00 Tが家庭訪問する

両親とKの4人で、9月の登校スケジュールを確認する。

*7時45分にTが家庭訪問する。

第1週)毎日、第2週)4回、第3週)隔日、第4週)1回

*近所の幼なじみY君に毎日迎えに来てもらう(Y君とY君のご両親はKの状態をよく理解し、この1年間惜しみない協力をしてくれた)。

*美術、体育、技術の時間は授業に出ることを強制しない(保健室で過ごすことを勧める。しかし、連続して2時間以上保健室にいないこと。もし、教室へ入ることが不安であれば、養護教員の判断でクラスの友達に迎えに来てもらう)。

 

夏休みの間、Tは起床時間を守ることだけをKのターゲット行動とし、強化をしていった(Tはそれ以外のKの不適応行動について、いっさい指摘をしないこととした)。また、両親は極力近所の友達に声掛けをし、Kに外出チャンスを作るなどの積極的な働きかけをした(キャンプや釣りなど)。大学生の姉は、食事時などにたびたび学生生活のエピソードを話題にし、Kに写真を見せながら中学、高校の思い出話をした。こうして、少しずつKを取り巻く環境を変化させ、学校生活への不安を取り除く工夫をしていった。

母親は、「今まではれ物に触るようにしてきたけれど、徐々に昔のようにしかったり、言いたいことを言ったりできるようになってきた。なんだかKといっしょに生活しているんだという(子育てしているんだ)実感がわいてきた。PTCに参加したKの姿を見た時には、感激して涙が出て止まらなかった。笑いながら泣きました」と、語ってくれた。9月からが勝負と、Tは気を引き締めた。

 

9月第1週 9月1日、2日、3日と、元気にY君と登校する(終日学校で過ごす)。

⇒9月3日 11:30 Tは中学を訪問する

校長、養護教員に会い、廊下からKの教室を見学する(少し元気すぎるのが気になるが、Kが登校したことで先生方が大変喜んでおられた)。

⇒9月4日 兄の1周忌の法要のため欠席

(この頃から、Kは母親に兄の死について語り始めた。Kと両親は、いまだ兄の話題に触れることを恐れていたが、しかしTは、これを機に「兄について」「死について」親子で語る時間を持つことは非常に大切だと考え、両親に積極的に会話をするように勧めた)

⇒9月5日 Kに少し疲れが見え始める。

9月第2週 先週(9月、1、2、3日)には終日登校したが、Kは遅刻や早退を嫌い、一度登校すると、他の生徒と同じように学校生活を送ろうとするためか、心身共に疲労の色が濃く観察されたので、このままでは再び不登校の状態に後戻りする危険性が読みとられた。そこで、再登校を確実なものとするために、今週から改めてスモール・ステップでの行動形成を試みることとした。

まず、次のふたつを、Kと話し合い、実行するように勧めた。

*登校できると思う日を自分で決めてカレンダーに記入すること。

 

 

 

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