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T:「ええよ。写真より顔を見るほうがずーっとうれしいもん」

Kは自室のドアを開け、顔を出す(5秒程度)。これを2度繰り返したので、この日の取り組みを終了する。

その後Tが家庭訪問をしても、Kは部屋にこもることはなくなった。

1997年 7月14日 15:00 Kが母親といっしょにTのもとに来談する

30分程度雑談したのち、セブンイレブンでジュースを買いニコニコして帰宅する。

1997年 7月18日 11:00 Tが家庭訪問する

これからの計画を両親と確認したのち、Kにそのことを説明する。その要点は以下のとおり。

【夏休みの指導計画内容】

*自室でのクーラーの使用を禁止する(自室に引きこもらさず、家族共同のスペースで多くの時間過ごすことを目的とする。夜は両親とKで、川の字になって寝るなどの、スキンシップを大切にする)。

*Kにはクーラーの故障を理由に、良いチャンスなので、居間でいっしょにテレビなどを見ようと母親が提案する。

*テレビ、ビデオなどをKの自室から持ち出し、居間のテレビにゲームを接続する(家族が日常の様子を知ることができ、接触の時間も増える)。

*ターゲット行動として、次のふたつを設定する。

・起床時間の設定

7月21日〜7月31日

起床時間9時

離床時間10時

8月1日〜7月31日

離床時間9時

起床時間が守れない日は、母親はKの朝、昼御飯の支度をしない。

自分でカップヌードルを作らせるなどの措置をとる(この時、母親はKを大変大事に思い愛しているが、Kを甘やかすことはKのためにならないと判断したので、心を鬼にして努力しているのだとKにしっかり話しておく)。

・1日1回は外出する(母親といっしょでもよい)

外出チャンスがない場合は、自動販売機(家から200mの距離)に缶ジュースを買いに行かす。

*上記の約束が守られたら(1週間単位)賞として、母親といっしょにビデオテープを借りて見る。

 

〔II〕夏休み指導計画の開始から再登校まで(第2ステージ)

1997年 7月21日 9:00〜7月31日 9:00 Tが毎日家庭訪問をし、Kに起床の声をかける

・11日間中2日だけ離床時間が守れず、自分で食事を作るが、その他の日は努力の成果が見られ、最終日にはケーキでお祝いをした。

8月1日〜8月27日 Tが3回の家庭訪問と電話連絡をとる

・9割の確率で離床時間を守る(賞として、ビデオテープ3本、漫画2冊を得る)。

⇒8月10日 学校行事PTCに親子で参加する

中学へは3カ月ぶりであったが、友達や保護者が集まり積極的な声掛けをしてくれる。Kは少し照れながら元気に対応していた様子。

 

 

 

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