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私が学校へ行き出した理由、それは世間体を気にしてのことです。近所の人の目、学校の私の友達の目を気にして起こした行動です。ですから、自分の将来を考えてとか、私が登校拒否をしてきて親に心配をさせてきたので、学校に行くようになって安心させなくてはといった、親を気にして起こした行動ではなく、ただ世間体を気にしての行動です。

だけど私の両親も、いままで私と同じに世間体を気にしてきたのだろうと思います。なぜなら私が学校を休んだ時などは、どうして行かないの?と、しつこいまでに問いつめていたのに、学校へ行き出してからはそんなことは関係ないようです。

それに、行かなかった時と行っている時とは、様子がまるで違います。つまり、私が学校へ行くか行かないかで、全然違うのです。私が学校へ行けなかった理由などは、もうどうでもいいのだなと思いました。両親なのにすごく他人に思えました。

現実を目のあたりにして、自分のことは自分で解決するしか仕方ないのだということが、はっきりしました。自分は今まで他人ばかり頼りにして、自分で立ち向かうべき問題を避けてきたのだと思いました。

だから不純な動機で通いはじめた学校とはいえ、その学校でどんなに堅い壁が行く先ざきに張りめぐらされていようと、常に自分ひとりだけを頼りにして、少しずつ突き進んで行きたいのです。

ではお元気で、皆様お体に気をつけて下さい。また、あすなろではお世話になりました。

 

●T.Kさんの場合

不登校期間 中学2年5月〜中学3年5月(約1年間) 14歳男子

 

《家族構成》

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当事者について

3人兄弟の長男として出生、祖父母に甘やかされて育った。

 

変わってきた自分 T.K

僕があすなろ学舎に来た訳は、中学2年の時病気にかかり学校をずるずると休んでしまい、勉強も皆と比べるとものすごく差が開いた。少しでも皆に追いつこうとがんばったが、なかなか追いつけなかった。

気は焦るし、勉強ははかどらない。そして、だんだん学校に行きたくなくなった。家でのだらだらとした生活が続いていった。そんな時、新聞記者をしている親戚の叔父さんから「あすなろ学舎」に行ってみないかと紹介された。困っていた僕は、どうにかなるだろうと思い、行ってみることにした。

 

 

 

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