当事者について
いつも父にしかられていた
事業を経営する厳格な父親と、いわゆるやさしく献身的な母親との間に長男として誕生する。彼自身の話によれば、父親に対するイメージは、物心ついた頃からとにかくコワイ父親であったという。
勉強のことはもちろん、生活態度をはじめ、何かにつけいつもしかられていたというイメージしかないという。中学の頃には、父が帰宅すると必ず呼びつけられて説教され、時にはなぐられることもしばしばあったという。他に兄弟(弟が2人)がいるが、しかられるのはいつも自分だけである。父のそうした態度に、いつしか「自分は憎まれているからしかられるんだ」と思うようになり、激しい孤独感や不安感、罪責感をつのらせ、自分がなくなっていくように感じたという。毎日のように繰り返される叱責や激しいののしり。父の声を聞くだけで、体が硬直してすくんでしまうこともたびたびあった。
高校3年を迎える頃になると、大学進学という現実的な問題があり、父の期待に応えられない自分に対して葛藤の毎日が続き、高校3年の2学期から、いわゆる不登校の日が多くなり、生活も引きこもり気味になる。腹から胸にかけて、いつも熱風のようなジリジリ熱く痛いものを感じ、苦しい日々を送ったという。
どうにか高校は卒業したものの、将来への夢が持てず、その後30歳になるまで約12年間、長く苦しい引きこもりの生活に入る。その間父との関係に変化はなく、根性のない子、ダメな子、そして怠けている子として扱われる。ただそれでも、母のやさしさだけはなによりの救いだったという。
不登校になる前と後の性格等について
明確な変化は見受けられない。性格や気質については、本質そのものは短期間で変化するものではなく、生活状態に応じ抑圧されて出現したり、または活発になったり積極性を持ったりするものと考える。
―経過―
受け入れから自立回復まで
フリースクール&スペース「うつみね健康学園」は、トータルカウンセリングを事業主体としている、マインドヘルスパーソナリティセンターの付属研修施設として運営されている。