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気分転換をかねて海外旅行を計画。生活面で神経症的なところは見受けられるが、以前より良くはなってきている。子どもとの密着感も、ハッキリと感じる。言葉も生活習慣も違う所の方が、子どもと対等になれるし、5日間という日程で今までと違うパターンの生活を送ることは、これから先の見極めにもつながる。子どもも、旅行に賛成してくれた。専門学校のことはもう少し後でも間に合うし、学校に行くようになったら、子どもと海外旅行など夢のまた夢になってしまう。今しかない!旅行中、子どもの背中を見て一回り大きくなったのを感じた。絆もつながったように思える。

そして長男は、4月から専門学校に通うことになる。

子どもに動かされ、乗り越えてきたもの、意味の深さを大事にしたい。

 

子どもの強迫症状について

風呂のこと

心にゆとりをと仕事を変えてみたものの、時間的余裕ができたということは、経済的には大変なことになった。新しく独立した上司のもとで、まともに給与が支給されたのは2カ月。遅れながらも、給与が支給されていたのが約半年。その後は給与が滞り、1年後には、友人と共同経営という形で店舗を引き継ぐことになった。

集客したお客様のことや、子どもの居場所にもなることなど、前向きに考えて下した決断だった。が、出費も大きい。赤字は免れても、会社員のように、一定の給与をとることはできない。

そんななかで、長男は長時間風呂に入り、水道代、ガス代が何万円もかかることに焦燥を感じてしまう。私の元に来てからも、1日おきとはいえ、3〜5時間シャワーを浴びている。どうしても、「早く出て」とか、「何時に出るの?」とか、せき立ててしまう。思いあまって、「お母さんが体を洗ってあげようか?」と言ったこともある。風呂場に時計を置いたりもした。

風呂場で口論すると必ず、「ボクだって何とかしたい」と言う。追いつめているのは、私も承知している。確かにシャワーを浴びると、ストレスがたまっている時など、頭の中がすっきりするように感じる。子どもは、心の中にたまっているものを、シャワーで洗い流しているのだと思う。切なく苦しい。手を洗うことも、祖母の所にいる時は30分以上何度も何度も洗い、足まで洗っていた。1日に何回も。

シャンプー剤、石鹸も1回の入浴ですべて使い切る。こんなに使って、“頭がハゲてしまうのでは”“体に害になるのでは”と、心配が先に立つ。どうしたら治してあげられるだろうと思い悩む。子どもとの葛藤の日々。

ふと気づいたら、風呂に入る時間は少しずつ短くなり、使う石鹸も数が減り、お風呂も自分で点けて入るようになり、手洗いも短くなってきていた。

さらに良くなることを期待しつつ、気長に待とうと思っている。

 

手を使わないことetc

今でも、玄関は足で開けているが、家以外の所では手を使ってドアを開けている。最初の頃は、私がドアを開け閉め、祖母にいたっては、長男の後をついて歩き世話をやいていた。テレビのリモコンも同じ。ジュースの缶の底で、器用にリモコンを操作する。さわるものは、すべてティッシュペーパーを使い、直接手で触れることをしなかった。

 

 

 

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