ケアは、人の他人に対するいたわりとか、優しさだと、もちろん私も思っています。しかし、そのことを突き詰めていくと、自分が乱れている、その自分の乱れに向き合うという、非常に危ういところまでいってしまわざるをえないようなことではないかと、現在のところ考えています。
鷲田清一
1949年生まれ。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了。関西大学文学部教授を経て、現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専攻は哲学・倫理学。
主な著書に、『「聴く」ことの力―臨床哲学試論―』(TBSブリタニカ)『顔の現象学』(講談社学術文庫)『だれのための仕事』(岩波書店)など。エッセイ集に『普通をだれも教えてくれない』(潮ライブラリー)など。